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不運な幸運
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「どうです、フリードマンさん?
とても珍しい石でしょう?」
「確かにな。
私も長年、宝石を扱ってきたが、これは今まで見たことのない石だ。」
「でしょう?
じゃあ、引き取っていただけますね?」
「う~ん…しかし、この値は…」
宝石商を営むフリードマンは、眉間に皺を寄せた。
道具屋の手によって突然持ちこまれた石は、確かに彼にも魅力的なものに思えたが、道具屋の提示した額はとんでもなく高価なものだった。
質の良い大粒のエメラルドをも上回る値を言って来たのだ。
道具屋はこの石をリュタンの石だと言ったが、それは本当のことなのか…
本当にそうであれば、この値でも物好きな金持ちに売れるだろうが、もしも、それが嘘だったら…
そんなことを考えると、フリードマンはすぐには答えを出せないでいた。
「あぁ、そうですか。
わかりましたよ。
じゃあ、もうこの話は忘れて下さい。
別の宝石商に持っていくことにします!」
道具屋のおやじは、早口にそうまくしたてると黒い宝石を小箱の中に閉まった。
「ま…待て!」
皮肉にもその言葉が、フリードマンの心を決めた。
「そう急がなくても良いじゃないか。
そうだ、コーヒーでも飲んでいかないか。
それともなにか食べるか?」
「あいにくと、俺はそんなに暇じゃないんでね。
これから他の宝石商にも行かなくちゃならないんだ。
買う気がないなら、無駄に引きとめるのは止して下さいよ。」
「……わかった。
その宝石をおまえの言い値で買おう…」
「ほ、本当ですかい?!」
フリードマンは黙って頷いた。
「最後にもう一度聞くが、これは本当にリュタンの石なんだな?」
「ええ、間違いありません。
うちにこの石を持ちこんだ男は、リュタンと取引をしてる男で、鑑札表もちゃんと持ってましたからね。」
「なぜその者は、リュタンから石をもらったんだ?」
「そ…それは…」
道具屋はそこまで詳しいことは聞いていなかった。
「それはですな。
近くの森で具合が悪くなってるリュタンをそいつがみつけて介抱したんです!
そのおかげでリュタンは元気を取り戻し、その恩返しってことでそいつはリュタンと取引も出来るようになったし、宝石ももらったということだそうですぜ。」
「…なるほど…そういうことだったのか。」
咄嗟についた作り話が、フリードマンにすんなりと受け入れられたことで道具屋はほっと胸をなでおろした。
「どうです、フリードマンさん?
とても珍しい石でしょう?」
「確かにな。
私も長年、宝石を扱ってきたが、これは今まで見たことのない石だ。」
「でしょう?
じゃあ、引き取っていただけますね?」
「う~ん…しかし、この値は…」
宝石商を営むフリードマンは、眉間に皺を寄せた。
道具屋の手によって突然持ちこまれた石は、確かに彼にも魅力的なものに思えたが、道具屋の提示した額はとんでもなく高価なものだった。
質の良い大粒のエメラルドをも上回る値を言って来たのだ。
道具屋はこの石をリュタンの石だと言ったが、それは本当のことなのか…
本当にそうであれば、この値でも物好きな金持ちに売れるだろうが、もしも、それが嘘だったら…
そんなことを考えると、フリードマンはすぐには答えを出せないでいた。
「あぁ、そうですか。
わかりましたよ。
じゃあ、もうこの話は忘れて下さい。
別の宝石商に持っていくことにします!」
道具屋のおやじは、早口にそうまくしたてると黒い宝石を小箱の中に閉まった。
「ま…待て!」
皮肉にもその言葉が、フリードマンの心を決めた。
「そう急がなくても良いじゃないか。
そうだ、コーヒーでも飲んでいかないか。
それともなにか食べるか?」
「あいにくと、俺はそんなに暇じゃないんでね。
これから他の宝石商にも行かなくちゃならないんだ。
買う気がないなら、無駄に引きとめるのは止して下さいよ。」
「……わかった。
その宝石をおまえの言い値で買おう…」
「ほ、本当ですかい?!」
フリードマンは黙って頷いた。
「最後にもう一度聞くが、これは本当にリュタンの石なんだな?」
「ええ、間違いありません。
うちにこの石を持ちこんだ男は、リュタンと取引をしてる男で、鑑札表もちゃんと持ってましたからね。」
「なぜその者は、リュタンから石をもらったんだ?」
「そ…それは…」
道具屋はそこまで詳しいことは聞いていなかった。
「それはですな。
近くの森で具合が悪くなってるリュタンをそいつがみつけて介抱したんです!
そのおかげでリュタンは元気を取り戻し、その恩返しってことでそいつはリュタンと取引も出来るようになったし、宝石ももらったということだそうですぜ。」
「…なるほど…そういうことだったのか。」
咄嗟についた作り話が、フリードマンにすんなりと受け入れられたことで道具屋はほっと胸をなでおろした。
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