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帰還
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「……あんたは、どういう…」
「縁というものは、本当に不思議なものだな…
こんな所でおまえと出会えたことが運命のように思えるよ。
実はな…私もおまえと同じなのだ。
私の母親は悪魔だ…だが、人間であるトレルを真剣に愛し、そして…邪魔になって殺された。
つまり…私はおまえの義理の兄なのだ。」
「兄さん?!」
ベルナールは黙って頷いた。
「おまえと会った時…すぐにわかった…
人間でも悪魔でもないその気配…
驚いたよ…エルスールのことは聞いていたが、まさかその子であるおまえに…
私と同じ境遇の弟に会うことなあるなんて、今まで思ってもいなかったからな。
……だから、本当は話したくなかったのだ。
私が味わった苦しみを、おまえには与えたくはなかった…
どうか、許してくれ…!」
ベルナールは、涙を浮かべ、地面に頭がこすれる程に頭を下げた。
「そ、そんな…やめてくれ!
あんたには、感謝してる…
本当のことを教えてもらって、ありがたいと思ってる。
そうでなきゃ、俺は、ずっと父さんやイアンさんを良い人だと信じて生きてたと思う。」
ベルナールは、その言葉に哀しい笑みを浮かべた。
「その方が幸せじゃないか…それがたとえ真実ではなくとも、そんな風に思えるなんて……
私は…実の父親に復讐をしようとしてるんだ。
私の母親を殺したトレルやイアンを許すことは出来ない!
悪魔でも人間でもないこんなどっちつかずの私を作ったあいつに、死ぬよりも苦しい罰を与えてやろうと思ってるんだ!
……最悪じゃないか…私は親とは思ってはいないが…こんなにも親を憎まねばならんなんて…」
「復讐を……」
オルジェスは戸惑いながらもなにかを考えるように、ベルナールの瞳をじっとみつめた。
「……俺も……俺にも一緒にやらせてくれ!」
「……馬鹿なことを言うな。
おまえは、トレルと一緒に暮らしていたのだろう?
私は、悪魔に育てられたからそうでもないが、一緒に暮らしていたのなら私ほど割りきる事は出来ないだろう?」
「……出来るさ…」
「やめておけ…
おまえはすべてを忘れて生きてくれ。
復讐は私一人でやる。
おまえの手を汚させるわけにはいかないさ。」
「いや…頼む!
どうか俺も一緒にやらせてくれ!!
あ…俺はオルジェス…
あんた…いや、兄さんは?」
「オルジェス…!
私のことを兄と呼んでくれるのか…
ありがとう…ありがとう、オルジェス…
私は、ベルナールだ…
私達の関係はしばらく隠しておいた方が良さそうだ。
私のことは、『ベルナール』と呼んでくれ…」
「わかったよ、ベルナール。」
「オルジェス…私の可愛い弟…」
ベルナールは、オルジェスの身体をきつく抱き締めた…
「縁というものは、本当に不思議なものだな…
こんな所でおまえと出会えたことが運命のように思えるよ。
実はな…私もおまえと同じなのだ。
私の母親は悪魔だ…だが、人間であるトレルを真剣に愛し、そして…邪魔になって殺された。
つまり…私はおまえの義理の兄なのだ。」
「兄さん?!」
ベルナールは黙って頷いた。
「おまえと会った時…すぐにわかった…
人間でも悪魔でもないその気配…
驚いたよ…エルスールのことは聞いていたが、まさかその子であるおまえに…
私と同じ境遇の弟に会うことなあるなんて、今まで思ってもいなかったからな。
……だから、本当は話したくなかったのだ。
私が味わった苦しみを、おまえには与えたくはなかった…
どうか、許してくれ…!」
ベルナールは、涙を浮かべ、地面に頭がこすれる程に頭を下げた。
「そ、そんな…やめてくれ!
あんたには、感謝してる…
本当のことを教えてもらって、ありがたいと思ってる。
そうでなきゃ、俺は、ずっと父さんやイアンさんを良い人だと信じて生きてたと思う。」
ベルナールは、その言葉に哀しい笑みを浮かべた。
「その方が幸せじゃないか…それがたとえ真実ではなくとも、そんな風に思えるなんて……
私は…実の父親に復讐をしようとしてるんだ。
私の母親を殺したトレルやイアンを許すことは出来ない!
悪魔でも人間でもないこんなどっちつかずの私を作ったあいつに、死ぬよりも苦しい罰を与えてやろうと思ってるんだ!
……最悪じゃないか…私は親とは思ってはいないが…こんなにも親を憎まねばならんなんて…」
「復讐を……」
オルジェスは戸惑いながらもなにかを考えるように、ベルナールの瞳をじっとみつめた。
「……俺も……俺にも一緒にやらせてくれ!」
「……馬鹿なことを言うな。
おまえは、トレルと一緒に暮らしていたのだろう?
私は、悪魔に育てられたからそうでもないが、一緒に暮らしていたのなら私ほど割りきる事は出来ないだろう?」
「……出来るさ…」
「やめておけ…
おまえはすべてを忘れて生きてくれ。
復讐は私一人でやる。
おまえの手を汚させるわけにはいかないさ。」
「いや…頼む!
どうか俺も一緒にやらせてくれ!!
あ…俺はオルジェス…
あんた…いや、兄さんは?」
「オルジェス…!
私のことを兄と呼んでくれるのか…
ありがとう…ありがとう、オルジェス…
私は、ベルナールだ…
私達の関係はしばらく隠しておいた方が良さそうだ。
私のことは、『ベルナール』と呼んでくれ…」
「わかったよ、ベルナール。」
「オルジェス…私の可愛い弟…」
ベルナールは、オルジェスの身体をきつく抱き締めた…
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