深淵に眠る十字架 The second

ルカ(聖夜月ルカ)

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ゲームの始まり

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「おまえは本当に良い子だ…
だから苦しむんだ…
ルーク、可哀想に…
おまえはなんと可哀想な子なのだ…」

ベルナールは、まるで小さな子供にするかのようにルークの頭を優しく撫でた。



「捨てるんだ、ルーク…
家族との思い出を…人間の感情を…
それが苦しみを感じなくする術だ。
その代わりにおまえの母親の苦しみ…卑劣にもおまえを悪魔の器にしようとした奴らへの憎しみで心を満たせ!
……そうすれば、苦しまないで済む…」

ベルナールはルークの耳元に口を寄せ、まるで呪文のようにそう囁いた。



「ありがとう、ベルナール…」

何度も揺らぐ気持ちが、ルークはやっと固まったかのように思えた。
母親のこと、そして自分の生まれて来た経緯を考えると憎しみは募ったが、その度に家族との関わりが思い出され、憎しみの気持ちがぐらついた。
だが、ついにそんなルークの気持ちにも踏ん切りが着いた。
オルジェスを巻き込んでしまった…
サマンサを汚してしまった…
そのことをベルナールにはっきりと言われ、自分はもう後戻り出来ないのだということが実感として感じられたのだ。



「ベルナール…それで…ローリーをどうすれば良いの?」

ベルナールがルークの瞳をじっとのぞきこむ…



「オルジェスと一緒にローリーをその袋に入れて連れて来るんだ。
さっき、オルジェスに渡したものは眠り草だ。
それを嗅がせて、袋に詰めたらすぐにこの村からおさらばだ。
今夜は、皆、サマンサの方に気を取られているだろうからそう難しくはないはずだ。」

「……ローリーを殺すの?」

「いや、そんなことはしない…
人買いに売り飛ばすだけだ。
大事な子供がいなくなれば、ランディもきっと気付く…
自分がおまえにしようとしたことが、いかに酷い事だったかということにな…」

「……じゃあ、行って来るよ…」

ルークは、オルジェスの方も見ず、廃屋の外へ飛び出した。



「待てよ、ルーク!」

「では、村外れで待っているからな…」

二人の背中に声をかけ、ベルナールはにっこりと微笑んだ。



(今度こそ、私の駒になったな…)

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