深淵に眠る十字架 The second

ルカ(聖夜月ルカ)

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ゲームの始まり

26

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「やっぱりか…」

その後も、オルジェスらしき男と金髪の美青年の足取りは容易に掴めた。
その足跡から、二人は、ゆったりと馬車の旅を続けているように思える。



「ここからだと、やはりサーリックを目指したと考えるのが自然だな。」

「でも、サーリックはオルジェスにとっての故郷みたいなもんだろ?
友人を故郷に案内してもおかしくはないんじゃないか?」

「それはそうだが…」

やはり、自分は考えすぎていたのか?
そう思う気持ちが自分の中でだんだんと大きくなっているのをアズラエルは感じていた。
しかし、それでも、まだ不安は完全には消えない。
本能のようなものが、ルシファーの息吹を感じ、警告していた。



「……とさん…た…て…」



アルグが、動きを止め宙を見つめる。

「おじさん、今、何か聞こえませんでしたか?」

「何がって何がだ?」

「しっ!」




「こ…とさん…たす…て!」



「アズラエルさん!ゆっくりと、あっちの方に行ってみてもらえますか?!」

アズラエルはアルグに言われるままに、少しずつ町の中心地から離れていく。



「やっぱりこっちだ!」

「アルグ、何があるっていうんだ?
ボクには何も聞こえないぞ。」

「おじさん、黙って精神を集中して…!!」



「たす…けて…」



「あ…!!聞こえた!
誰かが助けを求めてるぞ!」

アズラエルも頷いた。



「私にも、聞こえた。
こっちだな!」

アズラエルの足が速まる。



アズラエルとリュタン達が行き着いた場所は町外れの空き地だった。
そこには、窓に目隠しをされた一台の馬車が停まっていた。
アズラエルはゆっくりと馬車に近付く…



「おい、なんだ、てめぇは!」

「その馬車の中を見せてもらおう。」

「なんだと…!!」

アズラエルのローブを掴んだ男の手首を、アズラエルが握り潰す…
男は悲鳴を上げ、その場にうずくまった。



「ここで死にたくなければ、私の邪魔はするな…」

男は脂汗を流しながら、何度も頷いた。
アズラエルが馬車の扉を開けると、そこには後手に縛られ猿ぐつわを噛まされた小さな少女の姿があった。



「君は確か…」

アズラエルは少女の戒めを解く…



「おじちゃん!小人さん!」

「ローリー!!」

少女は目にいっぱいの涙を浮かべ、アズラエルの胸に飛び込んだ。
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