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さらなる復讐
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*
「なるほど…シャールにはそんな過去があったのか…」
「ええ…ですから、当時はいつもとてもお寂しそうなご様子で…」
「そうか…それは気の毒にな…」
あれからベルナールはなにかと口実を作ってはリッキーから様々な情報を仕入れた。
下級悪魔だった彼は、生まれた頃から厳しい生活を強いられ、なんとしても力を得たいと考えた。
そして、力を得るためには上級悪魔に仕えるのが早道だと考え、幾つもの伝手を辿ってようやくエドガーの元へ辿り着いたのだと言う。
残念ながら彼のその容姿は誰が見ても良いとは言えず、そのため、エドガーの寵愛を受けることは出来なかったが、ここにいることで生活は安定していると嬉しそうに語った。
リッキーがこの屋敷にやって来たのは、シャールが来る数ヶ月前のことだそうで、そんなことからも二人は親近感のようなものを感じたということだった。
(これは、使えそうだな…)
ベルナールは、頭に浮かんだ名案に口端をそっと上げる。
*
「ベルナール、いるか?」
部屋の扉を叩いたのは、シャールだった。
「あぁ、いるよ。
今は、オルジェスがお呼びでな…」
「こんなことを言っては申し訳ないけど、君達が来てくれて僕は本当に楽になったよ。
エドガー様は君達のことをとても気に入ってるからね。
特に君への惚れこみようはすごいもんだよ。」
そういうシャールの頬のあたりは、初めて会った時に比べると少しふっくらとして来たように見える。
「つかぬ事を尋ねるが…君は、元々、男が好きってわけじゃないんだな?」
「当たり前だろ!
今だって……いや、今のは聞かなかったことにしてくれ…」
シャールは言いかけた言葉を飲みこんだ。
「……リッキーから君のことを聞いたよ。
君の彼女も可哀想に…」
「リッキーに…!?……あいつ……」
シャールは唇を噛み、眉をひそめた。
「シャール…いいかげん、私のことを信用してくれよ。
私達は同じ境遇じゃないか…
いや、違うな…
私達は、自ら希望してここへやってきた。
贅沢な暮らしと引き換えに、自らを売った…
だが、君は違う…
本当に、気の毒な話だと思うよ…シャール、辛かっただろう?」
「……もう良いんだ…」
「君がたまたま彼と出会ってしまったために、君はこんな所に連れて来られ、そして彼女は命を落とすことになろうとは…
酷い!…あんまりだ!」
ベルナールは、込み上げる憤りをぶつけるかのように拳でテーブルを叩き付けた。
「なるほど…シャールにはそんな過去があったのか…」
「ええ…ですから、当時はいつもとてもお寂しそうなご様子で…」
「そうか…それは気の毒にな…」
あれからベルナールはなにかと口実を作ってはリッキーから様々な情報を仕入れた。
下級悪魔だった彼は、生まれた頃から厳しい生活を強いられ、なんとしても力を得たいと考えた。
そして、力を得るためには上級悪魔に仕えるのが早道だと考え、幾つもの伝手を辿ってようやくエドガーの元へ辿り着いたのだと言う。
残念ながら彼のその容姿は誰が見ても良いとは言えず、そのため、エドガーの寵愛を受けることは出来なかったが、ここにいることで生活は安定していると嬉しそうに語った。
リッキーがこの屋敷にやって来たのは、シャールが来る数ヶ月前のことだそうで、そんなことからも二人は親近感のようなものを感じたということだった。
(これは、使えそうだな…)
ベルナールは、頭に浮かんだ名案に口端をそっと上げる。
*
「ベルナール、いるか?」
部屋の扉を叩いたのは、シャールだった。
「あぁ、いるよ。
今は、オルジェスがお呼びでな…」
「こんなことを言っては申し訳ないけど、君達が来てくれて僕は本当に楽になったよ。
エドガー様は君達のことをとても気に入ってるからね。
特に君への惚れこみようはすごいもんだよ。」
そういうシャールの頬のあたりは、初めて会った時に比べると少しふっくらとして来たように見える。
「つかぬ事を尋ねるが…君は、元々、男が好きってわけじゃないんだな?」
「当たり前だろ!
今だって……いや、今のは聞かなかったことにしてくれ…」
シャールは言いかけた言葉を飲みこんだ。
「……リッキーから君のことを聞いたよ。
君の彼女も可哀想に…」
「リッキーに…!?……あいつ……」
シャールは唇を噛み、眉をひそめた。
「シャール…いいかげん、私のことを信用してくれよ。
私達は同じ境遇じゃないか…
いや、違うな…
私達は、自ら希望してここへやってきた。
贅沢な暮らしと引き換えに、自らを売った…
だが、君は違う…
本当に、気の毒な話だと思うよ…シャール、辛かっただろう?」
「……もう良いんだ…」
「君がたまたま彼と出会ってしまったために、君はこんな所に連れて来られ、そして彼女は命を落とすことになろうとは…
酷い!…あんまりだ!」
ベルナールは、込み上げる憤りをぶつけるかのように拳でテーブルを叩き付けた。
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