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復讐の連鎖

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「すまなかった、ルーク…
 ……だが…それなら直接俺にあたれば良いじゃないか!
 他の者にあたるのはやめろ!
ルーク、おまえはとても重い罪を犯した。
だが、おまえが俺の大切な息子であることは変わっちゃいない!
おまえを愛している気持ちは少しも変わっちゃいないんだ。
おまえさえ、やり直す気になってくれるのなら、父さんは家を出ておまえと二人で暮らす。
おまえの罪を二人で償っていこう……な、ルーク…」

その言葉をルークは鼻で笑い、ランディの差し伸ばした手は、ルークに叩き返された。



 「あいにくだけど、僕はあんたのことを父親だなんて思っちゃいないし、愛してもいない。
 罪を償う気もないね…」

 「ルーク!おまえは…おまえって奴は…!!
スーザンやローリーにあんな酷いことをした上に、コージーの命まで奪っておいて、それをなんとも思わないっていうのか!!」

ランディの身体は激しい憤りのためにぶるぶると震えた。



 「……今、なんと言った?
コージーが…あのコージーが死んだっていうのか…?」


ルークの瞳が大きく見開かれ、ランディをじっとみつめる。



 「……そうだ。
おまえたちの放火のせいで、コージーは…
逃げ遅れたローリーを助けようとして、コージーは死んだ…
そして、ローリーはあの火事のショックで心が壊れた……」

 「コージーが……」

ルークの脳裏にコージーの顔が浮かびあがった。
 年は下なのに、まるで兄のようになにかとルークの世話を焼いてくれたしっかり者のコージー…
他の兄弟の誰よりも、一番打ち解けて信頼していたコージーの死を知らされ、ルークの心は大きく動揺した。



 「ルーク…わかってるよ。
おまえも、まさかこんなことになるとは思わなかったんだよな?
ただ、ほんの少し俺達を困らせようとしただけなんだろう?」

 「……僕は…知らない……」

ルークは俯いたまま、首を振る。



 「ルーク…!!
おまえ、まだそんなことを…」

 「僕は知らない…僕は本当にやってないんだ!」

 「ルーク!!」

ランディの大きな手が、ルークの頬を激しく打った。

 
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