深淵に眠る十字架 The second

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
272 / 355
復讐の連鎖

85

しおりを挟む




 「……このくらいで良いだろう…
すまなかったな、ルキティア…」

 「ベルナール…やりすぎ…だよ…」

 髪を乱し、大きく肩で息をするベルナールは、ルキティアの血に染まった唇に優しく口付けた。




 「では、行こうか…
最後の仕上げだ。
さっき言った通りに、うまくやるのだぞ…」

 朦朧とする意識の中、ルキティアは黙って頷いた。
ベルナールは、彼女の身体を抱き上げ、トレルの部屋に運ぶと、血で汚れたベッドの上に乱暴に放り投げた。



 「ベルナール!!」

 二人は、激しく痛め付けられたルキティアの姿に息を飲む。



 「オルジェス…ちょっとこっちへ」

ベルナールは、オルジェスを部屋の外へ呼びつけた。



 「残念だがオルジェス…おまえの希望は叶えられそうにない。
ルキティアはあれだけ制裁を加えても、頑なにトレルと別れる気はないと言った。
トレルを愛していると……あの女はそう言ったのだ。」

オルジェスは唇を噛み締め、身体を震わせた。



 「……今から二人に罰を与える…
オルジェス…おまえに、その刑の執行が出来るか…?」

 「お…俺が…!?」

 「無理にとは言わん。
おまえに出来ないのなら、私がやる…どうする、オルジェス?」

しばしの沈黙の後、オルジェスは消えいりそうな声で呟いた。



 「……ベルナール、俺がやるよ。
 俺にやらせてくれ…」

 「……本当に出来るのか?」

 「出来る!!」

オルジェスは瞳にいっぱいの涙を浮かべ、そう言い放った。



 「……よし、わかった。
では、おまえにすべてを託そう。
 良いか…今から、トレルの前で、ルキティアを犯すのだ。
そして、最後にはあの女の心臓をえぐり出せ!
……これが二人に与える罰だ。
 愛する女を息子に汚され殺される……トレルにとっては死ぬよりも辛いことになるだろう。」

オルジェスは大きく目を見開き、その唇は言葉を失った。



 「……オルジェス…ルキティアの姿が変わっているのに気付いたか?
あれは、トレルの趣味だそうだ。
あの誇り高い女が、好きな男のために容姿まで変えるとは…
 ……残念だが、おまえに勝ち目はない…」

ベルナールは腕を伸ばし、オルジェスの身体を抱き締める。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

ギルドの受付嬢はうごかない ~定時に帰りたいので、一歩も動かず事件を解きます~

ぱすた屋さん
ファンタジー
ギルドの受付嬢アイラは、冒険者たちから「鉄の女」と呼ばれ、畏怖されている。 絶世の美貌を持ちながら、常に無表情。そして何より、彼女は窓口から一歩も動かない。 彼女の前世は、某大手企業のコールセンター勤務。 営業成績トップを走り抜け、最後には「地獄のクレーム処理専門部署」で数多の暴言を鎮めてきた、対話術の怪物。 「次の方、どうぞ。……ご相談ですか?(クローズド・クエスチョン)」 転生した彼女に備わったのは、声の「真偽」が色で見える地味な能力。 だが、彼女の真の武器は能力ではなく、前世で培った「声のトーン操作」と「心理誘導」だった。 ある日、窓口に現れたのは「相棒が死んだ」と弔慰金をせしめようとする嘘つきな冒険者。 周囲が同情し、ギルドマスターさえ騙されかける中、アイラは座ったまま、静かにペンを走らせる。 「……五秒だけ、沈黙を差し上げます。その間に、嘘を塗り直すおつもりですか?」 戦略的沈黙、オウム返し、そして逃げ場を塞ぐイエス・セット。 現代のコールセンター術を叩きつけられた犯人は、自らその罪を吐き散らし、崩れ落ちる。 「あー、疲れた。一五分も残業しちゃった。……マスター、残業代三倍でお願いしますね」 これは、一歩も動きたくない受付嬢が、口先だけで悪を断罪し、定時退勤を目指す物語。

レベル1のフリはやめた。貸した力を全回収

ソラ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ち、ソラ。 彼はレベル1の無能として蔑まれ、魔王討伐を目前に「お前のようなゴミはいらない」と追放を言い渡される。 だが、傲慢な勇者たちは知らなかった。 自分たちが人間最高峰の力を維持できていたのは、すべてソラの規格外のステータスを『借りていた』からだということを。 「……わかった。貸していた力、すべて返してもらうよ」 契約解除。返還されたレベルは9999。 一瞬にして力を失い、ただの凡人へと転落しパニックに陥る勇者たち。 対するソラは、星を砕くほどの万能感を取り戻しながらも、淡々と宿を去る。 静かな隠居を望むソラだったが、路地裏で「才能なし」と虐げられていた少女ミィナを助けたことで、運命が変わり始める。 「借金の利息として、君を最強にしてあげよう」 これは、世界そのものにステータスを貸し付けていた最強の『貸与者』が、不条理な世界を再定義していく物語。 (本作品はAIを活用して構成・執筆しています)

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

少し冷めた村人少年の冒険記 2

mizuno sei
ファンタジー
 地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。  不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。  旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました

kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」 王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

異世界転移物語

月夜
ファンタジー
このところ、日本各地で謎の地震が頻発していた。そんなある日、都内の大学に通う僕(田所健太)は、地震が起こったときのために、部屋で非常持出袋を整理していた。すると、突然、めまいに襲われ、次に気づいたときは、深い森の中に迷い込んでいたのだ……

処理中です...