深淵に眠る十字架 The second

ルカ(聖夜月ルカ)

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決意

11

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 「トレルー!
トレルーー!」

トレルを追ってすぐさま木のある場所へ飛んだアズラエルだったが、そこにトレルの姿はなかった。
 初めての瞬間移動で、何事かあったのかと心配になったアズラエルは、あたりを懸命に探し回ったが、トレルの姿はどこにもなかった。



 (おかしい…トレルの奴、一体どこへ…)

アズラエルは再び元に森に戻ったが、そこにもトレルはいなかった。
しかし、トレルの気配が先程の場所より強いことに気付き、アズラエルはそれを頼りにあたりを探し歩いた。



 「トレル!」

 数時間程探し回った頃、アズラエルはようやくトレルの姿を発見した。




 「アズラエル!
…良かった…みつけてくれて…」

 道の片隅に腰をかけ、煙草をふかしていたトレルが、はにかんだような顔を上げた。



 「トレル…なんだってこんな所に…」

 「それが……移動した場所は全然違う場所だったんだ。
 一応、木はあったけど、あの木じゃないことはすぐにわかった。
 大きさも周りの風景も全く違ったからな。
だから、元の場所に戻ろうと思ったら、飛べたのは飛べたんだが、またおかしな場所に出てしまって…
何度かそんなことを繰り返してるうちに疲れたのか飛べなくなった。
ここがどこなのかもわからないし、あんたが来てくれなかったら迷子になる所だったよ。」

 「迷子にしては年がいきすぎてるようだな…」

 「ひねた迷子ですまないな。」

 苦笑するトレルを見て、アズラエルは穏やかな笑みを浮かべた。




 「とにかくみつかって良かったよ。
さぁ、そろそろ帰ろうか。
 今夜はお祝いだな。
 君の移動が初めて成功した日だからな!」

 「迷子になった記念じゃないのか?
……ま、いいや、じゃあ、肉を買って帰らないか?
この先の町に大きな市場があったんだ。」

トレルはそう言うと、煙草の火をもみ消し、その場から立ち上がった。



 「……あぁ、わかった。
じゃあ、そこで一番上等な肉を買おう。」

 「飛んだ甲斐があったな…」

アズラエルは、トレルの背中を優しく叩き、二人は町に向かって歩き出した。
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