深淵に眠る十字架 The second

ルカ(聖夜月ルカ)

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決意

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 「そ…そんな、まさか……!
 一晩でなくなるような金額じゃない筈よ!」

 「だって、仕方ないじゃないか…
僕、気に食わない女にはついつい手が出てしまうんだよね…
それで、昨夜は運悪くそういう女にあたっちゃってね…
治療費を要求されちゃったってわけなんだ…ああいう所の奴らは怖いからね。」

そう言ってルークは、無邪気に笑った。
サマンサは、全身の力が抜けていくような感覚に襲われ、よろめく足をぐっと踏ん張る。



ルークに命じられたからとはいえ、昨夜、自分のしでかしたことを考えるとサマンサの胸は深く痛んだ。
 泣き出しそうな想いを懸命に堪え、やっと戻ったその場所で、サマンサはルークから預けた金をすべて使い果たしたことを告げられた。
しかも、ルークはそのことを悪びれる様子もない。




 「酷い…酷いわ、ルーク…
私が、どんな想いで……」

そこまで話すと、サマンサは俯き唇を噛み締めた。




 「……たったこれっぽっちの金で、僕に恩をきせるつもりなのかい?
 笑わせるなよ!」

ルークは、サマンサの稼いで来た金を叩き付けた。
サマンサはルークのその行為に、口許を両手で押さえ、泣き出しそうになるのを懸命に堪える。




 「……これでわかっただろう。
おまえはつまらないことを考えず、家族の所に帰るんだ。
……僕のことももう忘れろ。
 昔のルークは…もう、いない……もう、どこにもいないんだ。」

 立ち去ろうとしたルークの背中に、消え入りそうなサマンサの声が届いた。




 「……いいえ。」

 「……なんだって?」

 「あなたは…きっといつか戻れる。
……私が元のルークに戻して見せる!」

 大粒の涙をこぼしながらもルークを見据え、サマンサは身体を震わせて、泣き叫ぶ。



 「……そうか、よくわかった…!
なら、これから先もずっとおまえに稼いでもらおう。
もう金はないんだ。
 僕が家族の所へ戻るまでの路銀は、全部おまえが稼ぐんだ!
さぁ、行くぞ!」

ルークは苛々とした表情でサマンサを睨み吐け、乱暴に手首を掴んで歩き出した。
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