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scene 13

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「この村でしばらく休みましょう。」

イアンは山道を歩き続け、山間の小さな村に辿りついた。



「イアン…迷惑をかけてすまなかったな…
身体はまだだが…だいぶ…口がスムーズに動くようになってきた。」

「やっとしびれが切れてきたんですね。
もうしばらくすれば、身体の方も動くようになって来るはずです。
無理しないで今は休んでいて下さい。
こんな小さな村なら、私達のこともまだ知られてはいないはずです。」



「あれ…病人かい?」

イアンに声をかける者があった。



「ええ…そうなんです。
仲間が、旅の途中で倒れまして…」

声をかけたのは少し腰の曲がった老人だった。



「そりゃあ大変だな。
良かったら、うちで休んで行かれるとええ。」

「本当ですか?
それは助かります。
ありがとうございます。」

老人は、イアン達を家へ案内した。



「わしは一人暮らしだから、気を遣う事はない。
よくなるまでここで休んだらええ。
そうだ、腹はすいてないか?何か食べるかね?」

「ご主人、実は…」

イアンは、懐からエルスールの産んだ赤ん坊を取り出した。



「この子になにか食べるものを…」

「こりゃあ、驚いた!
この子は誰の子なんだい?
見た所、まだ生まれたばかりみたいじゃないか!」

「この青年とその…妻との間に生まれた子なのですが、二人共旅先で病に倒れ、奥さんはこの子を産み落としたと同時に亡くなったのです。」

「それはえらいことだったな…
うちの山羊の乳を飲ませてみよう。
わしには赤ん坊のことはよくわからんから、隣の婆さんを呼んでくるよ。」



「イアン…
その子は…大丈夫なのか…?
あれからなにも食べてないんだろう?」

「ええ、大丈夫ですよ。
ずっと眠ってます。
やっぱり普通の人間の子よりは、丈夫に出来ているようですね。」

イアンは、トレルの隣に赤ん坊をそっと寝かせた。
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