59 / 130
新たな恋
39
しおりを挟む
それにプライベートなことを聞いたのも、初めてだ。
「それじゃあ、今はお父様とお二人で…?」
「いえ…父は三年前に他界したので一人です。」
「あ、ご、ごめんなさい。」
「構いませんよ、気にしないで下さい。
僕も最近になってようやく元気が出て来たっていうのか…
こんな僕でも、一時期は店を休んでたこともあるんですよ。
なんだか心の支えがなくなって、何をする気も起きなくてね…
あの時は本さえ読みませんでした。
あ…そういえば、吉村さんは最近あのあたりに越して来られたんですか?」
「あ、いえ…そうじゃないんです。
昔からあそこが地元なんですが、大学の時にちょっと離れてそのまま働いてたんです。
その間に父が亡くなり、母と妹がこっちにいたんですが、妹が最近結婚して家を出たので、母をひとりにしておくのもどうかってことで戻って来たんです。」
「そうだったんですか…」
プライベートな話題って、なかなか話しにくいものだけど、ほんの小さなきっかけさえあれば、それは堰を切ったように出て来てしまうもの。
「私…子供の頃は、駅の反対側…つまりお店のすぐ近くに住んでいて、それでお店にもよく通ってたんですよ。
あの時、レジにいらっしゃったのが多分お父様じゃないかと思います。」
「そうですね。
親父は身体を壊すまで、ずっとあそこに座ってましたから。」
「やっぱりそうだったんですね。
それじゃあ、隠岐さんがあのお店を継がれたのは最近のことなんですか?」
「いえ、以前からいろいろと影で手伝ってはいたんですが、レジのあの場所だけはなかなか座らせてもらえなかったんですよ。
子供の頃なんて、店に行くだけでも叱られました。
店に入って良いのは、店が閉まってからだけで、その時に持って来た本を部屋で読んでたんです。
とにかくあの店は親父だけの城だったんですよね。」
「お父様も本がお好きだったんですね?」
「ええ…本好きは先祖からの遺伝みたいですけどね。」
お弁当を食べるのも忘れて、私は照之さんの話に聞き入った。
「それじゃあ、今はお父様とお二人で…?」
「いえ…父は三年前に他界したので一人です。」
「あ、ご、ごめんなさい。」
「構いませんよ、気にしないで下さい。
僕も最近になってようやく元気が出て来たっていうのか…
こんな僕でも、一時期は店を休んでたこともあるんですよ。
なんだか心の支えがなくなって、何をする気も起きなくてね…
あの時は本さえ読みませんでした。
あ…そういえば、吉村さんは最近あのあたりに越して来られたんですか?」
「あ、いえ…そうじゃないんです。
昔からあそこが地元なんですが、大学の時にちょっと離れてそのまま働いてたんです。
その間に父が亡くなり、母と妹がこっちにいたんですが、妹が最近結婚して家を出たので、母をひとりにしておくのもどうかってことで戻って来たんです。」
「そうだったんですか…」
プライベートな話題って、なかなか話しにくいものだけど、ほんの小さなきっかけさえあれば、それは堰を切ったように出て来てしまうもの。
「私…子供の頃は、駅の反対側…つまりお店のすぐ近くに住んでいて、それでお店にもよく通ってたんですよ。
あの時、レジにいらっしゃったのが多分お父様じゃないかと思います。」
「そうですね。
親父は身体を壊すまで、ずっとあそこに座ってましたから。」
「やっぱりそうだったんですね。
それじゃあ、隠岐さんがあのお店を継がれたのは最近のことなんですか?」
「いえ、以前からいろいろと影で手伝ってはいたんですが、レジのあの場所だけはなかなか座らせてもらえなかったんですよ。
子供の頃なんて、店に行くだけでも叱られました。
店に入って良いのは、店が閉まってからだけで、その時に持って来た本を部屋で読んでたんです。
とにかくあの店は親父だけの城だったんですよね。」
「お父様も本がお好きだったんですね?」
「ええ…本好きは先祖からの遺伝みたいですけどね。」
お弁当を食べるのも忘れて、私は照之さんの話に聞き入った。
0
あなたにおすすめの小説
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる