横顔の君

ルカ(聖夜月ルカ)

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新たな恋

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 「こんばんは。」



それから数日後、私はまた鏡花堂を訪ねた。
またいつものように、例のファンタジー小説を買う。



 「こんばんは。
あ…一巻、抜けてるんですね。」

 「はい、でも、大丈夫です。
どこかで探しますから。」

いつもなら10巻買うのだけど、今回はその中の一巻が抜けていた。



 「あ……」

 照之さんの視線が、私の首元に停まった。



 「いつも付けさせていただいてます。
 本当にどうもありがとうございます。」

それは嘘偽りのない現実だった。



 「良いんですか?
 無理しないで下さいね。」

 「無理なんてしてません。
あ、私、誕生日のこと話しましたっけ?」

 「え?いえ…
お聞きしていないと思いますが…」

 「やっぱりそうですよね。
 実は私、6月生まれなんです。
それで…6月の誕生石はパールなんです。」

 「えっ!?そうなんですか?」

やっぱり偶然だった。



 「実は、お店の人が、パールが無難だっておっしゃったんですよ。」

 「そうだったんですか。
でも、嬉しいです。」

 緊張はしたけど、今日は素直にそう言えて良かった。
 照之さんも、どこか嬉しそうな顔をしていた。



 「吉村さん…今度、靴を買うのに付き合っていただけますか?」

 「はい、そんなことならいつでも…」

 「先日は、靴のこと、すっかり忘れてたんです。
 考えてみたら最近何年も靴なんて買ってませんでしたし、今度、服に合うものがほしいなと思いまして…」



 嬉しかった。
また、照之さんとどこかに出かけられる。
こうして何度も会ってたら、もしかしたらいつか私にも勇気が出て来るかもしれない。



 好きだという想いを伝える勇気が……

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