68 / 130
新たな恋
48
しおりを挟む
*
「こんばんは。」
それから数日後、私はまた鏡花堂を訪ねた。
またいつものように、例のファンタジー小説を買う。
「こんばんは。
あ…一巻、抜けてるんですね。」
「はい、でも、大丈夫です。
どこかで探しますから。」
いつもなら10巻買うのだけど、今回はその中の一巻が抜けていた。
「あ……」
照之さんの視線が、私の首元に停まった。
「いつも付けさせていただいてます。
本当にどうもありがとうございます。」
それは嘘偽りのない現実だった。
「良いんですか?
無理しないで下さいね。」
「無理なんてしてません。
あ、私、誕生日のこと話しましたっけ?」
「え?いえ…
お聞きしていないと思いますが…」
「やっぱりそうですよね。
実は私、6月生まれなんです。
それで…6月の誕生石はパールなんです。」
「えっ!?そうなんですか?」
やっぱり偶然だった。
「実は、お店の人が、パールが無難だっておっしゃったんですよ。」
「そうだったんですか。
でも、嬉しいです。」
緊張はしたけど、今日は素直にそう言えて良かった。
照之さんも、どこか嬉しそうな顔をしていた。
「吉村さん…今度、靴を買うのに付き合っていただけますか?」
「はい、そんなことならいつでも…」
「先日は、靴のこと、すっかり忘れてたんです。
考えてみたら最近何年も靴なんて買ってませんでしたし、今度、服に合うものがほしいなと思いまして…」
嬉しかった。
また、照之さんとどこかに出かけられる。
こうして何度も会ってたら、もしかしたらいつか私にも勇気が出て来るかもしれない。
好きだという想いを伝える勇気が……
「こんばんは。」
それから数日後、私はまた鏡花堂を訪ねた。
またいつものように、例のファンタジー小説を買う。
「こんばんは。
あ…一巻、抜けてるんですね。」
「はい、でも、大丈夫です。
どこかで探しますから。」
いつもなら10巻買うのだけど、今回はその中の一巻が抜けていた。
「あ……」
照之さんの視線が、私の首元に停まった。
「いつも付けさせていただいてます。
本当にどうもありがとうございます。」
それは嘘偽りのない現実だった。
「良いんですか?
無理しないで下さいね。」
「無理なんてしてません。
あ、私、誕生日のこと話しましたっけ?」
「え?いえ…
お聞きしていないと思いますが…」
「やっぱりそうですよね。
実は私、6月生まれなんです。
それで…6月の誕生石はパールなんです。」
「えっ!?そうなんですか?」
やっぱり偶然だった。
「実は、お店の人が、パールが無難だっておっしゃったんですよ。」
「そうだったんですか。
でも、嬉しいです。」
緊張はしたけど、今日は素直にそう言えて良かった。
照之さんも、どこか嬉しそうな顔をしていた。
「吉村さん…今度、靴を買うのに付き合っていただけますか?」
「はい、そんなことならいつでも…」
「先日は、靴のこと、すっかり忘れてたんです。
考えてみたら最近何年も靴なんて買ってませんでしたし、今度、服に合うものがほしいなと思いまして…」
嬉しかった。
また、照之さんとどこかに出かけられる。
こうして何度も会ってたら、もしかしたらいつか私にも勇気が出て来るかもしれない。
好きだという想いを伝える勇気が……
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
9
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる