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side 香織
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「ずいぶん遅かったんだね。
何かあったのかい?」
いつもならとっくに寝ている母が、起きて私の帰りを待っていた。
車は、うちの近くの曲がり角で停めてもらって、具体的な家は教えなかった。
「心配かけてごめんね。
実はね、お店が売れて、しかも、オーナーは変わるけど、新しいオーナーが従業員は皆そのまま働いてほしいって言ってくれてるらしくって……
そんなことで、みんな、盛り上がっちゃってね。」
「そうかい、そりゃあ良かったね。
せっかく盛り上がってるところに電話なんてかけて悪かったね。」
「ううん、もう帰る所だったから……
何か、昔の話とかしてたら懐かしくて泣けてきちゃって……
私は飲んでもないのに、大泣きしちゃったよ。
恥ずかしい……」
泣き顔の理由を探られる前にと、私はそんな適当な嘘を吐いた。
「まぁ、たまには良いじゃないか。
じゃあ、そろそろ私は寝るよ。
おやすみ。」
「おやすみ。」
母が怪しんでないことを確信し、私はほっとして部屋に戻った。
それにしても、衝撃的だった……
まさか、夏美さんと堤さんがご夫婦じゃなかったなんて……
しかも、夏美さんとよく会ってらっしゃったあの方が、本当のご主人だったなんて……
つまり、堤さんは独身で……
そう思うだけで、全身が熱く火照った。
馬鹿みたい……
堤さんが独身だからって、それがなんだって言うんだろう。
だけど、それでもやっぱり心が弾む。
既婚者だと思ってた時よりも、罪悪感みたいなものが軽くなる。
私には手の届かない人だってことには変わりないけど、それでもやっぱり気持ちは全然違う。
でも……
夏美さんが、あの人と一緒に暮らされるようになったら、堤さんはどうなってしまうんだろう?
おひとりで大丈夫なんだろうか?
そういえば、堤さんの生活費はどうなるんだろう?
夏美さんご夫妻がみて下さるんだろうか?
私が心配したってどうなるわけではないけれど、そんなことを考えると、なんだかとても心配になった。
「ずいぶん遅かったんだね。
何かあったのかい?」
いつもならとっくに寝ている母が、起きて私の帰りを待っていた。
車は、うちの近くの曲がり角で停めてもらって、具体的な家は教えなかった。
「心配かけてごめんね。
実はね、お店が売れて、しかも、オーナーは変わるけど、新しいオーナーが従業員は皆そのまま働いてほしいって言ってくれてるらしくって……
そんなことで、みんな、盛り上がっちゃってね。」
「そうかい、そりゃあ良かったね。
せっかく盛り上がってるところに電話なんてかけて悪かったね。」
「ううん、もう帰る所だったから……
何か、昔の話とかしてたら懐かしくて泣けてきちゃって……
私は飲んでもないのに、大泣きしちゃったよ。
恥ずかしい……」
泣き顔の理由を探られる前にと、私はそんな適当な嘘を吐いた。
「まぁ、たまには良いじゃないか。
じゃあ、そろそろ私は寝るよ。
おやすみ。」
「おやすみ。」
母が怪しんでないことを確信し、私はほっとして部屋に戻った。
それにしても、衝撃的だった……
まさか、夏美さんと堤さんがご夫婦じゃなかったなんて……
しかも、夏美さんとよく会ってらっしゃったあの方が、本当のご主人だったなんて……
つまり、堤さんは独身で……
そう思うだけで、全身が熱く火照った。
馬鹿みたい……
堤さんが独身だからって、それがなんだって言うんだろう。
だけど、それでもやっぱり心が弾む。
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でも……
夏美さんが、あの人と一緒に暮らされるようになったら、堤さんはどうなってしまうんだろう?
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