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002 : 雷が鳴る前に
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「とりあえず、あの大きな建物に入ろう!」
町のほんの少し手前からは、大粒の雨がまるでバケツをひっくり返したような勢いで落ちて来た。
リュックのいう建物を目指し走る間にも、雨粒が全身を叩いた。
「あぁ…やっと着いたか。」
建物に着いた頃には、身体のあちこちがずいぶんと濡れてはいたが、その後、雨はなお一層勢いを増し、その雨を煽るかのような激しい雷鳴が轟いた。
「うわぁ…!!すごい雷だな。
大丈夫だろうな。
ここに落ちたりしないだろうな。」
「なんだ、リュック、君は雷が怖いのか?」
「当たり前だろ!
あんなのに当たったら、死んじまうぞ!
落ちたら、家が丸焼けになるんだぞ!
怖いじゃないか!」
「僕も実は雷は苦手なんですよ。
子供の頃、近所に雷が落ちた事があって、あの時の音といったらもう…」
よほど恐ろしい想いをしたのか、クロードは首を振りながら眉間に皺を寄せていた。
「とにかく、ここまで辿りついた後で良かったな。
町に辿り着く前だったら大変だったぞ。」
「本当だな。
びしょ濡れになって恐ろしい想いをしなくちゃならない所だったな。
…それはそうと、ここは何の施設なんだろうな?
まだ出来たばっかりって感じだな。」
「ここは、闘技場じゃよ。」
振り返ると、そこにはモップを持った老人が立っていた。
「闘技場?」
「そうじゃ、今は催しものはないがな。」
「あ!すみません!勝手にお邪魔してしまって…」
「いやいや、そんなことはかまわんよ。
雨がやむまでここにおったらええ。」
「よぉ、じいさん!
この中を見せてもらっても良いか?」
「あぁ、かまわんよ。案内してやろうか?」
「本当か?助かるよ!」
私達は老人の案内で、闘技場の中を見てまわった。
ホールの中に入ると雷の音も先程より聞こえなくなって来た。
どうやら、分厚い扉で仕切られているせいらしい。
ホールはややすり鉢状の円形になっており、その中央で闘いが繰り広げられるようだ。
「どうじゃ、立派なもんじゃろ?
ここはつい最近出来あがったばっかりでな。
前までは、ほったて小屋みたいな粗末なもんだったんじゃが、リカールのおかげでここも大人気になってな。」
町のほんの少し手前からは、大粒の雨がまるでバケツをひっくり返したような勢いで落ちて来た。
リュックのいう建物を目指し走る間にも、雨粒が全身を叩いた。
「あぁ…やっと着いたか。」
建物に着いた頃には、身体のあちこちがずいぶんと濡れてはいたが、その後、雨はなお一層勢いを増し、その雨を煽るかのような激しい雷鳴が轟いた。
「うわぁ…!!すごい雷だな。
大丈夫だろうな。
ここに落ちたりしないだろうな。」
「なんだ、リュック、君は雷が怖いのか?」
「当たり前だろ!
あんなのに当たったら、死んじまうぞ!
落ちたら、家が丸焼けになるんだぞ!
怖いじゃないか!」
「僕も実は雷は苦手なんですよ。
子供の頃、近所に雷が落ちた事があって、あの時の音といったらもう…」
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「とにかく、ここまで辿りついた後で良かったな。
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「本当だな。
びしょ濡れになって恐ろしい想いをしなくちゃならない所だったな。
…それはそうと、ここは何の施設なんだろうな?
まだ出来たばっかりって感じだな。」
「ここは、闘技場じゃよ。」
振り返ると、そこにはモップを持った老人が立っていた。
「闘技場?」
「そうじゃ、今は催しものはないがな。」
「あ!すみません!勝手にお邪魔してしまって…」
「いやいや、そんなことはかまわんよ。
雨がやむまでここにおったらええ。」
「よぉ、じいさん!
この中を見せてもらっても良いか?」
「あぁ、かまわんよ。案内してやろうか?」
「本当か?助かるよ!」
私達は老人の案内で、闘技場の中を見てまわった。
ホールの中に入ると雷の音も先程より聞こえなくなって来た。
どうやら、分厚い扉で仕切られているせいらしい。
ホールはややすり鉢状の円形になっており、その中央で闘いが繰り広げられるようだ。
「どうじゃ、立派なもんじゃろ?
ここはつい最近出来あがったばっかりでな。
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