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003 : 障害と剣
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「リュック、戻ったのか?
あ……!あなたは…!!」
物音に気付いて、リュックの部屋を訪れた私はその場にいたもう一人の人物に目を奪われた。
「あ、リカール、心配しないでくれ。
こっちはマルタン、あんたも知ってるだろ?
マルタンは俺が一番信頼してる男だから、安心してくれ。」
「確か、あなたは闘技場の…」
「え…ええ、そうです。
闘技場で下働きをさせてもらってます。
先日の試合の時には、あなたの身の回りのお世話をさせていただきました。」
リカールは、私のことはなんとなく覚えている…そんな程度の記憶しかないようだった。
「俺達はずっと一緒に旅をしてるんだ。
この町に着いてすぐにマノンさんのおやじさんと知り合って、それで闘技場で働かせてもらうことになったんだが、爺さんには住む所まで世話になってる。
ここに俺とマルタン、それにクロードって医者の先生とクロワさんっていう薬売りの人の四人で住まわせてもらってるんだ。」
「リカールさん、リュックと何かお話があるのでしたら私はこれで…」
「いや、マルタンにも聞いてもらおう。
マルタンは俺より頭が良いから、良い知恵を出してくれるかもしれないからな。
あ、そうだ、マノンさんが来るまで酒でも飲むか…」
「リュック、それなら私が持って来るよ。」
立ちあがろうとしたリュックを制し、私はそそくさと部屋を出た。
まだ少し脈が速い。
思いがけないリカールの訪問がそうさせたのだ。
黒いローブを着たリカールは、まるで御伽噺に出て来る魔術師のように見え、独特の雰囲気を醸し出していた。
しかし、なぜリカールがここに?
そういえば、マノンもここへ来るようなことを言っていた。
マノンがここへ来たことなど、今まで一度もない。
それが、こんな夜更けにやって来るとはどういうことなのか?
それも、やはりリカールの訪問と関係があるのだろうか…?
様々な想いを胸に、私は手早く酒とグラスを用意すると、再び、リュックの部屋に戻った。
「リュック、戻ったのか?
あ……!あなたは…!!」
物音に気付いて、リュックの部屋を訪れた私はその場にいたもう一人の人物に目を奪われた。
「あ、リカール、心配しないでくれ。
こっちはマルタン、あんたも知ってるだろ?
マルタンは俺が一番信頼してる男だから、安心してくれ。」
「確か、あなたは闘技場の…」
「え…ええ、そうです。
闘技場で下働きをさせてもらってます。
先日の試合の時には、あなたの身の回りのお世話をさせていただきました。」
リカールは、私のことはなんとなく覚えている…そんな程度の記憶しかないようだった。
「俺達はずっと一緒に旅をしてるんだ。
この町に着いてすぐにマノンさんのおやじさんと知り合って、それで闘技場で働かせてもらうことになったんだが、爺さんには住む所まで世話になってる。
ここに俺とマルタン、それにクロードって医者の先生とクロワさんっていう薬売りの人の四人で住まわせてもらってるんだ。」
「リカールさん、リュックと何かお話があるのでしたら私はこれで…」
「いや、マルタンにも聞いてもらおう。
マルタンは俺より頭が良いから、良い知恵を出してくれるかもしれないからな。
あ、そうだ、マノンさんが来るまで酒でも飲むか…」
「リュック、それなら私が持って来るよ。」
立ちあがろうとしたリュックを制し、私はそそくさと部屋を出た。
まだ少し脈が速い。
思いがけないリカールの訪問がそうさせたのだ。
黒いローブを着たリカールは、まるで御伽噺に出て来る魔術師のように見え、独特の雰囲気を醸し出していた。
しかし、なぜリカールがここに?
そういえば、マノンもここへ来るようなことを言っていた。
マノンがここへ来たことなど、今まで一度もない。
それが、こんな夜更けにやって来るとはどういうことなのか?
それも、やはりリカールの訪問と関係があるのだろうか…?
様々な想いを胸に、私は手早く酒とグラスを用意すると、再び、リュックの部屋に戻った。
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