132 / 506
028 : 見えない真実
7
しおりを挟む
「あの者がどうかしたのか?」
「はい、ローブ様に会わせろと言って来たんでローブ様は死んだと言いますと、あいつが狂ったように俺に飛びかかって来ましてね。
しかも、おかしなことを言いやがるんです。」
「おかしなこと?」
「はい、なんでも破魔矢を引き抜いたのは自分で、その矢を門番に渡したとか言いやがるんです。」
「なんだと?あの者が破魔矢を引き抜いただと…?」
アレクシスの片方の眉が吊り上がる。
「ピーター!!」
騒ぎを聞きつけ集まった人々の中から、捕えられたピーターの傍に駆け寄る女がいた。
「誰だ、おまえは…」
「は、はいっ!
私はナタリーといいまして、この子の家の近所に住む者です。
この子が何かしでかしたのでしょうか?」
「おかしなことを口走り、屋敷に押し入ろうとしたのだ。」
「も、申しわけございません!
この子はピーターと言いまして、ローブ様の幼馴染なのです。
今朝方まで遠くの町に住む祖父の所に行っておりまして、つい先程ローブ様の訃報を知り、えらく混乱しておりまして…」
ナタリーは地面に頭をこすりつけるようにして、ピーターの非礼を詫びた。
「……そうだったのか…
事情はわかった。
ただ、このようなことが度々あっては困る。
おまえが、この者を祖父の所へ連れ、二度とここへは来させぬよう約束するのなら、このまま解放するが…」
「は、はいっ!わかりました!
絶対にここへは来させません。
寛大なるお心に感謝致します。」
「誰か、この者に付き添って行ってやれ。」
なお暴れようとするピーターは、屈強な男にひきずられるようにしながら、屋敷を後にした。
*
「アレクシス様、あんなことで宜しかったのですか?
万一、あの者が町中であのことをふれまわったら…」
「あの者は、悲しみのあまり頭がおかしくなったのだ。
それで良いではないか。
それとも、おまえが自らあの者に手を下すとでも言うのか?
……あの晩のことを知る者は、皆、金を持たせ暇を取らせた。
破魔矢はローブ様が悪魔に心を操られて引き抜かれたのだ。
神聖な破魔矢はそこいらのなんでもない男に引き抜けるようなものではなく、ましてや破魔矢を引き抜いた者が何の裁きも受けないというようなことはありえないのだ。
……そうであろう、エドガー?」
「は、はいっ!
アレクシス様のおっしゃる通りでございます!」
エドガーは恭しく頭を下げた。
「はい、ローブ様に会わせろと言って来たんでローブ様は死んだと言いますと、あいつが狂ったように俺に飛びかかって来ましてね。
しかも、おかしなことを言いやがるんです。」
「おかしなこと?」
「はい、なんでも破魔矢を引き抜いたのは自分で、その矢を門番に渡したとか言いやがるんです。」
「なんだと?あの者が破魔矢を引き抜いただと…?」
アレクシスの片方の眉が吊り上がる。
「ピーター!!」
騒ぎを聞きつけ集まった人々の中から、捕えられたピーターの傍に駆け寄る女がいた。
「誰だ、おまえは…」
「は、はいっ!
私はナタリーといいまして、この子の家の近所に住む者です。
この子が何かしでかしたのでしょうか?」
「おかしなことを口走り、屋敷に押し入ろうとしたのだ。」
「も、申しわけございません!
この子はピーターと言いまして、ローブ様の幼馴染なのです。
今朝方まで遠くの町に住む祖父の所に行っておりまして、つい先程ローブ様の訃報を知り、えらく混乱しておりまして…」
ナタリーは地面に頭をこすりつけるようにして、ピーターの非礼を詫びた。
「……そうだったのか…
事情はわかった。
ただ、このようなことが度々あっては困る。
おまえが、この者を祖父の所へ連れ、二度とここへは来させぬよう約束するのなら、このまま解放するが…」
「は、はいっ!わかりました!
絶対にここへは来させません。
寛大なるお心に感謝致します。」
「誰か、この者に付き添って行ってやれ。」
なお暴れようとするピーターは、屈強な男にひきずられるようにしながら、屋敷を後にした。
*
「アレクシス様、あんなことで宜しかったのですか?
万一、あの者が町中であのことをふれまわったら…」
「あの者は、悲しみのあまり頭がおかしくなったのだ。
それで良いではないか。
それとも、おまえが自らあの者に手を下すとでも言うのか?
……あの晩のことを知る者は、皆、金を持たせ暇を取らせた。
破魔矢はローブ様が悪魔に心を操られて引き抜かれたのだ。
神聖な破魔矢はそこいらのなんでもない男に引き抜けるようなものではなく、ましてや破魔矢を引き抜いた者が何の裁きも受けないというようなことはありえないのだ。
……そうであろう、エドガー?」
「は、はいっ!
アレクシス様のおっしゃる通りでございます!」
エドガーは恭しく頭を下げた。
0
あなたにおすすめの小説
お隣さんはヤのつくご職業
古亜
恋愛
佐伯梓は、日々平穏に過ごしてきたOL。
残業から帰り夜食のカップ麺を食べていたら、突然壁に穴が空いた。
元々薄い壁だと思ってたけど、まさか人が飛んでくるなんて……ん?そもそも人が飛んでくるっておかしくない?それにお隣さんの顔、初めて見ましたがだいぶ強面でいらっしゃいますね。
……え、ちゃんとしたもん食え?
ちょ、冷蔵庫漁らないでくださいっ!!
ちょっとアホな社畜OLがヤクザさんとご飯を食べるラブコメ
建築基準法と物理法則なんて知りません
登場人物や団体の名称や設定は作者が適当に生み出したものであり、現実に類似のものがあったとしても一切関係ありません。
2020/5/26 完結
ブラック・スワン ~『無能』な兄は、優美な黒鳥の皮を被る~
碧
ファンタジー
「詰んだ…」遠い眼をして呟いた4歳の夏、カイザーはここが乙女ゲーム『亡国のレガリアと王国の秘宝』の世界だと思い出す。ゲームの俺様攻略対象者と我儘悪役令嬢の兄として転生した『無能』なモブが、ブラコン&シスコンへと華麗なるジョブチェンジを遂げモブの壁を愛と努力でぶち破る!これは優雅な白鳥ならぬ黒鳥の皮を被った彼が、無自覚に周りを誑しこんだりしながら奮闘しつつ総愛され(慕われ)する物語。生まれ持った美貌と頭脳・身体能力に努力を重ね、財力・身分と全てを活かし悪役令嬢ルート阻止に励むカイザーだがある日謎の能力が覚醒して…?!更にはそのミステリアス超絶美形っぷりから隠しキャラ扱いされたり、様々な勘違いにも拍車がかかり…。鉄壁の微笑みの裏で心の中の独り言と突っ込みが炸裂する彼の日常。(一話は短め設定です)
お姫様は死に、魔女様は目覚めた
悠十
恋愛
とある大国に、小さいけれど豊かな国の姫君が側妃として嫁いだ。
しかし、離宮に案内されるも、離宮には侍女も衛兵も居ない。ベルを鳴らしても、人を呼んでも誰も来ず、姫君は長旅の疲れから眠り込んでしまう。
そして、深夜、姫君は目覚め、体の不調を感じた。そのまま気を失い、三度目覚め、三度気を失い、そして……
「あ、あれ? えっ、なんで私、前の体に戻ってるわけ?」
姫君だった少女は、前世の魔女の体に魂が戻ってきていた。
「えっ、まさか、あのまま死んだ⁉」
魔女は慌てて遠見の水晶を覗き込む。自分の――姫君の体は、嫁いだ大国はいったいどうなっているのか知るために……
15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~
深冬 芽以
恋愛
交際2年、結婚15年の柚葉《ゆずは》と和輝《かずき》。
2人の子供に恵まれて、どこにでもある普通の家族の普通の毎日を過ごしていた。
愚痴は言い切れないほどあるけれど、それなりに幸せ……のはずだった。
「その時計、気に入ってるのね」
「ああ、初ボーナスで買ったから思い出深くて」
『お揃いで』ね?
夫は知らない。
私が知っていることを。
結婚指輪はしないのに、その時計はつけるのね?
私の名前は呼ばないのに、あの女の名前は呼ぶのね?
今も私を好きですか?
後悔していませんか?
私は今もあなたが好きです。
だから、ずっと、後悔しているの……。
妻になり、強くなった。
母になり、逞しくなった。
だけど、傷つかないわけじゃない。
【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです
yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~
旧タイトルに、もどしました。
日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。
まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。
劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。
日々の衣食住にも困る。
幸せ?生まれてこのかた一度もない。
ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・
目覚めると、真っ白な世界。
目の前には神々しい人。
地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・
短編→長編に変更しました。
R4.6.20 完結しました。
長らくお読みいただき、ありがとうございました。
~春の国~片足の不自由な王妃様
クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。
春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。
街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。
それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。
しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。
花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??
初恋が綺麗に終わらない
わらびもち
恋愛
婚約者のエーミールにいつも放置され、蔑ろにされるベロニカ。
そんな彼の態度にウンザリし、婚約を破棄しようと行動をおこす。
今後、一度でもエーミールがベロニカ以外の女を優先することがあれば即座に婚約は破棄。
そういった契約を両家で交わすも、馬鹿なエーミールはよりにもよって夜会でやらかす。
もう呆れるしかないベロニカ。そしてそんな彼女に手を差し伸べた意外な人物。
ベロニカはこの人物に、人生で初の恋に落ちる…………。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる