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043 : 雪の街
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*
「すまないな、また同じ部屋にしてもらって。」
「私もその方が助かるよ。」
「ここでもまたあの女の人が出て来るって思ってるのか?」
「いや…そういうわけではないが…
ただ、その可能性はないとは言えない。
私の所だけに出て来るとは思えないが、万一と言う事だってあり得る。
だったら、一人でいるよりも君がいてくれた方がこちらも心強いよ。」
その言葉にリュックは安心したように微笑んだ。
今回の宿には二人部屋があったため、私も長椅子に眠る必要はない。
けっこうゆったりとしたその部屋は、開放的な大きな窓があり、そこからはクロワが明日登ることを楽しみにしている裏山が間近に見える。
幽霊等というものとはおよそ縁遠い、とても爽やかな空間だ。
「リュック、もう少し飲んでおくか?」
「いや、やめとくよ。
飲んでも飲まなくても夢を見る時は見る、出て来る時は出て来るからな。
それに、俺、さっきからなんだかすごく眠いんだ。
今日はそんなに疲れてないはずなのに、おかしいな。」
「そういえば、粉雪の花の香りには良く眠れる効果があるとか言ってたな。
君が眠いのはそのせいなんじゃないか?」
「そうかもしれないな。
あぁ、もう駄目だ…」
リュックは大きなあくびをすると、そのまま静かにベッドに横になった。
いつもより早いが、私も、一人で起きていても仕方がない。
リュックは灯りが点いていてもさほど気にはしないが、やはり寝にくかろうと思い、ランプの灯りを噴き消した。
*
「あ……!」
「マルタン、どうかしたのか!?」
今見た夢のせいなのか、私の心臓は口から飛び出さんばかりに激しく脈打っていた。
リュックは私よりも先に起きていたらしく、ベッドの上に腰掛けて、私の顔をみつめていた。
「……夢の中にあの女性が……」
苦しい息を整えながら、私は、今、飛び起きた原因をリュックに話した。
「あんたも見たのか!?
それで、どんな夢だった?」
「……それが……
あの女性がこの街にいたんだ。」
「この街に!?」
頷きながら、私はなぜそう思ったのかをその場で理解した。
「すまないな、また同じ部屋にしてもらって。」
「私もその方が助かるよ。」
「ここでもまたあの女の人が出て来るって思ってるのか?」
「いや…そういうわけではないが…
ただ、その可能性はないとは言えない。
私の所だけに出て来るとは思えないが、万一と言う事だってあり得る。
だったら、一人でいるよりも君がいてくれた方がこちらも心強いよ。」
その言葉にリュックは安心したように微笑んだ。
今回の宿には二人部屋があったため、私も長椅子に眠る必要はない。
けっこうゆったりとしたその部屋は、開放的な大きな窓があり、そこからはクロワが明日登ることを楽しみにしている裏山が間近に見える。
幽霊等というものとはおよそ縁遠い、とても爽やかな空間だ。
「リュック、もう少し飲んでおくか?」
「いや、やめとくよ。
飲んでも飲まなくても夢を見る時は見る、出て来る時は出て来るからな。
それに、俺、さっきからなんだかすごく眠いんだ。
今日はそんなに疲れてないはずなのに、おかしいな。」
「そういえば、粉雪の花の香りには良く眠れる効果があるとか言ってたな。
君が眠いのはそのせいなんじゃないか?」
「そうかもしれないな。
あぁ、もう駄目だ…」
リュックは大きなあくびをすると、そのまま静かにベッドに横になった。
いつもより早いが、私も、一人で起きていても仕方がない。
リュックは灯りが点いていてもさほど気にはしないが、やはり寝にくかろうと思い、ランプの灯りを噴き消した。
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「あ……!」
「マルタン、どうかしたのか!?」
今見た夢のせいなのか、私の心臓は口から飛び出さんばかりに激しく脈打っていた。
リュックは私よりも先に起きていたらしく、ベッドの上に腰掛けて、私の顔をみつめていた。
「……夢の中にあの女性が……」
苦しい息を整えながら、私は、今、飛び起きた原因をリュックに話した。
「あんたも見たのか!?
それで、どんな夢だった?」
「……それが……
あの女性がこの街にいたんだ。」
「この街に!?」
頷きながら、私はなぜそう思ったのかをその場で理解した。
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