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047 : 猫の目
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「なにはともあれ、あなたが戻って来てくれて良かった……
それに、私のことをこんなに心配してくれたなんて……」
リンゼイの母親は、ワインでほんのりと赤く染まった顔で独り言のように呟いた。
「わ、私はそれほど心配なんて……」
リンゼイは、そう言って母親から顔を背けた。
「そういえば、リンゼイさん。
どうして裏口のこと、先に言ってくれなかったんだ?
そうすりゃ、窓を割る事なんてなかったのに……」
「それは…そ、その……」
「動転してて忘れてたんですよね?」
薄ら笑いを浮かべるクロードに、リンゼイはちらっと彼を見ただけで、何も答えはしなかった。
「本当にさっきはびっくりしたわよ。
突然、窓から植木鉢が飛びこんで来たんですもの。」
「申し訳ない。
とにかく、なんとかして家の中に入らないといけないって焦ってたんだ。」
「ええ、わかってます。
娘がお騒がせして、こちらこそ本当に申し訳ありませんでした。」
母親の言葉に続いて、リンゼイも小さな声で「ごめんなさい。」と呟いた。
「謝ることなんてないさ。
おふくろさんに何事もなくて良かったな。
それより、窓と裏口を早く直さなきゃならないな。」
「リュック、ドアの方は大丈夫なんだろうな?」
「頑丈な扉だから、あっちは大丈夫だと思うが……」
そう言いながらリュックは席を離れ、しばらくすると彼は苦々しい表情を浮かべて戻った。
「……今、見て来たら、蝶番が片方歪んでやがった。
ちょっと修理しなきゃならないな。
よし、明日早速町に行って…あ、この近くの町にガラス屋はあるか?」
「あいにく、ガラス屋は雪の町か、リンゼイの住んでた町に行かないとないのよ。」
「そうか……それじゃあ……」
「……あ、大変!」
リュックの言葉にかぶさるようにして、リンゼイが大きな声を上げた。
「どうした?
何が大変なんだ?」
「私…週末にはチェスターさんと野菜を持って隣の町に行く事になってて……
何も言わずに飛び出して来たから、きっと心配してらっしゃるわ。
私、すぐに戻らなきゃ…!」
「なに言ってんだ。
おふくろさんはこの通り、動けないんだぜ。
あんたがついててやらなきゃどうすんだ。
……よし!俺とマルタンであんたの代わりに今から行って来る!
今から行けば、間に合うだろう。」
「そんな…今から出たら夜道を歩くことになりますわ。
それでなくとも、お疲れでしょうに……」
「大丈夫だ!俺達は旅慣れてるから、な、マルタン!」
内心ではえらいことになったと思っていたが、皆の手前、それを顔に出すことも出来ず、私は曖昧に微笑んで頷くしかなかった。
それに、私のことをこんなに心配してくれたなんて……」
リンゼイの母親は、ワインでほんのりと赤く染まった顔で独り言のように呟いた。
「わ、私はそれほど心配なんて……」
リンゼイは、そう言って母親から顔を背けた。
「そういえば、リンゼイさん。
どうして裏口のこと、先に言ってくれなかったんだ?
そうすりゃ、窓を割る事なんてなかったのに……」
「それは…そ、その……」
「動転してて忘れてたんですよね?」
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「本当にさっきはびっくりしたわよ。
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「申し訳ない。
とにかく、なんとかして家の中に入らないといけないって焦ってたんだ。」
「ええ、わかってます。
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「謝ることなんてないさ。
おふくろさんに何事もなくて良かったな。
それより、窓と裏口を早く直さなきゃならないな。」
「リュック、ドアの方は大丈夫なんだろうな?」
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そう言いながらリュックは席を離れ、しばらくすると彼は苦々しい表情を浮かべて戻った。
「……今、見て来たら、蝶番が片方歪んでやがった。
ちょっと修理しなきゃならないな。
よし、明日早速町に行って…あ、この近くの町にガラス屋はあるか?」
「あいにく、ガラス屋は雪の町か、リンゼイの住んでた町に行かないとないのよ。」
「そうか……それじゃあ……」
「……あ、大変!」
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「どうした?
何が大変なんだ?」
「私…週末にはチェスターさんと野菜を持って隣の町に行く事になってて……
何も言わずに飛び出して来たから、きっと心配してらっしゃるわ。
私、すぐに戻らなきゃ…!」
「なに言ってんだ。
おふくろさんはこの通り、動けないんだぜ。
あんたがついててやらなきゃどうすんだ。
……よし!俺とマルタンであんたの代わりに今から行って来る!
今から行けば、間に合うだろう。」
「そんな…今から出たら夜道を歩くことになりますわ。
それでなくとも、お疲れでしょうに……」
「大丈夫だ!俺達は旅慣れてるから、な、マルタン!」
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