お題小説2

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
331 / 506
056 : 砂上の夢

しおりを挟む
「どうしたんだ!?
 今度は何があったんだ?」

 「……エヴァがあいつを家に連れて来たの。
この人と結婚したいって……」

 「そうだったのか…そりゃあ、びっくりしただろうな。」

 「ええ…あの子はまだ十七だったんですもの。
それに、エヴァが結婚なんて考えたこともなかったから。
 相手の男は、一目見ただけで不誠実な男に見えたわ。
 派手な身なりをして…そりゃあ見た目は良かったわよ。
でも、こんな男と一緒になったら、エヴァは金蔓にされるのがおちだと思ったわ。
……だけど、エヴァは…何もわかっちゃいなかった。
この人と一緒にお金を貯めて、大きな町に劇場を建てて、一流の歌手や劇団を呼ぶんだって…
エヴァは、本気でそんなことを考えていたの。」

リータは当時のことを思い出したのか、その表情は険しいものに一変した。



 「それで、もちろん、あんたは反対したんだろ?」

 「当然よ!
 娘が不幸せになろうとしてるのを黙って見過ごすことなんて出来るもんですか。
でも、エヴァは私の話なんて聞きゃしなかった。
それに……
エヴァはその時すでに子供を身篭っていたの。
 結婚のことはともかく、無事に子供を産むまではここにいなさいって言ったんだけど、エヴァと男はそのまま村を離れて行ったわ……」

 「そうだったのか…それで……」

 「あら?誰かしら?」



リュックが何事かを話しかけた時、扉を叩く音が部屋に響き、リータが出迎えて来たのは若く体格の良い青年だった。



 「紹介するわね。
こちらは、サイモン。
エヴァの幼馴染なの。」

 「あんたら、何なんだ?
おばさんにおかしな真似したら…」

 「サイモン。そうじゃないのよ。
この人達はエヴァの知り合いでね…実は……」

そう言って、リータは慌てて私達のこと、そして、私達がここへやって来た理由をサイモンに話して聞かせた。



 「……そうだったのか。すまなかった。
おばさんの家に、余所者がやって来たって聞いたから、俺、心配で……
あ……」

 話の途中で、サイモンの視線が一点に止まった。
その先にいたのは、まぶたをこすりながらゆっくりと歩いて来たディヴィッドだった。



 「こいつは驚いた!
エヴァにそっくりじゃないか!」

 「そうでしょう?
この子、ディヴィッドっていうのよ。」

 「へぇ…ディヴィッドか…!」

サイモンは立ち上がり、ディヴィッドの傍に近寄り、彼の頭をくしゃくしゃと撫で回す。



 「ディヴィッド、よろしくな。
 俺はサイモンって言うんだ。」

 「は、はじめまして。
サイモンさん。」

ディヴィッドは戸惑った顔をしながら、サイモンに挨拶を返した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

お隣さんはヤのつくご職業

古亜
恋愛
佐伯梓は、日々平穏に過ごしてきたOL。 残業から帰り夜食のカップ麺を食べていたら、突然壁に穴が空いた。 元々薄い壁だと思ってたけど、まさか人が飛んでくるなんて……ん?そもそも人が飛んでくるっておかしくない?それにお隣さんの顔、初めて見ましたがだいぶ強面でいらっしゃいますね。 ……え、ちゃんとしたもん食え? ちょ、冷蔵庫漁らないでくださいっ!! ちょっとアホな社畜OLがヤクザさんとご飯を食べるラブコメ 建築基準法と物理法則なんて知りません 登場人物や団体の名称や設定は作者が適当に生み出したものであり、現実に類似のものがあったとしても一切関係ありません。 2020/5/26 完結

ブラック・スワン  ~『無能』な兄は、優美な黒鳥の皮を被る~ 

ファンタジー
「詰んだ…」遠い眼をして呟いた4歳の夏、カイザーはここが乙女ゲーム『亡国のレガリアと王国の秘宝』の世界だと思い出す。ゲームの俺様攻略対象者と我儘悪役令嬢の兄として転生した『無能』なモブが、ブラコン&シスコンへと華麗なるジョブチェンジを遂げモブの壁を愛と努力でぶち破る!これは優雅な白鳥ならぬ黒鳥の皮を被った彼が、無自覚に周りを誑しこんだりしながら奮闘しつつ総愛され(慕われ)する物語。生まれ持った美貌と頭脳・身体能力に努力を重ね、財力・身分と全てを活かし悪役令嬢ルート阻止に励むカイザーだがある日謎の能力が覚醒して…?!更にはそのミステリアス超絶美形っぷりから隠しキャラ扱いされたり、様々な勘違いにも拍車がかかり…。鉄壁の微笑みの裏で心の中の独り言と突っ込みが炸裂する彼の日常。(一話は短め設定です)

お姫様は死に、魔女様は目覚めた

悠十
恋愛
 とある大国に、小さいけれど豊かな国の姫君が側妃として嫁いだ。  しかし、離宮に案内されるも、離宮には侍女も衛兵も居ない。ベルを鳴らしても、人を呼んでも誰も来ず、姫君は長旅の疲れから眠り込んでしまう。  そして、深夜、姫君は目覚め、体の不調を感じた。そのまま気を失い、三度目覚め、三度気を失い、そして…… 「あ、あれ? えっ、なんで私、前の体に戻ってるわけ?」  姫君だった少女は、前世の魔女の体に魂が戻ってきていた。 「えっ、まさか、あのまま死んだ⁉」  魔女は慌てて遠見の水晶を覗き込む。自分の――姫君の体は、嫁いだ大国はいったいどうなっているのか知るために……

15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~

深冬 芽以
恋愛
 交際2年、結婚15年の柚葉《ゆずは》と和輝《かずき》。  2人の子供に恵まれて、どこにでもある普通の家族の普通の毎日を過ごしていた。  愚痴は言い切れないほどあるけれど、それなりに幸せ……のはずだった。 「その時計、気に入ってるのね」 「ああ、初ボーナスで買ったから思い出深くて」 『お揃いで』ね?  夫は知らない。  私が知っていることを。  結婚指輪はしないのに、その時計はつけるのね?  私の名前は呼ばないのに、あの女の名前は呼ぶのね?  今も私を好きですか?  後悔していませんか?  私は今もあなたが好きです。  だから、ずっと、後悔しているの……。  妻になり、強くなった。  母になり、逞しくなった。  だけど、傷つかないわけじゃない。

いちばん好きな人…

麻実
恋愛
夫の裏切りを知った妻は 自分もまた・・・。

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

~春の国~片足の不自由な王妃様

クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。 春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。 街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。 それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。 しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。 花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??

初恋が綺麗に終わらない

わらびもち
恋愛
婚約者のエーミールにいつも放置され、蔑ろにされるベロニカ。 そんな彼の態度にウンザリし、婚約を破棄しようと行動をおこす。 今後、一度でもエーミールがベロニカ以外の女を優先することがあれば即座に婚約は破棄。 そういった契約を両家で交わすも、馬鹿なエーミールはよりにもよって夜会でやらかす。 もう呆れるしかないベロニカ。そしてそんな彼女に手を差し伸べた意外な人物。 ベロニカはこの人物に、人生で初の恋に落ちる…………。

処理中です...