お題小説2

ルカ(聖夜月ルカ)

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072 : 忘れ物

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「ドミニクの気持ちは変わらないだろうか?」

「難しい所だな。」

ドミニクが帰った後も、私達は酒場で飲み続けていた。
せっかくここまで来て、ドミニクとカトリーヌを会わせてやれないことが、どうにも残念でたまらなかったからだ。



「カトリーヌ、がっかりするだろうな。」

「そうだよな。なんとかドミニクの気持ちが変わってくれたら良いんだが。」

気持ちが沈んでいるせいか、会話もなかなか弾まず、酒も進まなかった。



「……そろそろ帰るか。」

「そうだな。」

酒場を引き上げ、宿屋に向かおうとしたその時…



「お~い!」

声を張り上げながら駆けて来たのは、ドミニクだった。



「どうしたんだよ?」

ドミニクはかなり本気で駆けて来たらしく、弾んだ息ですぐには話せなかった。



「……カトリーヌにこれを。」

ドミニクは、私達の前にハンカチで包んだ何かを差し出した。



「何なんだ、これ?」

「……髪飾りだ。」

「髪飾り?」

「ああ……」

私達は、再び、酒場の中へ戻った。



「見ても良いか?」

「あぁ、構わない。」

ハンカチに包まれていたのは、繊細な細工のされた銀の髪飾りだった。



「カトリーヌがまだ小さい頃、髪飾りが欲しいって言ったことがあったんだ。
だから、おまえが大人になったら買ってやるって約束した。
でも、あんなことになっちまって、その約束も忘れてたんだけど、何年か前に、酒場で細工師の男と知り合ってな。
男は、まだ駆け出しで、仕事がなくて困ってるようだった。
だから、景気付けに何か買ってやろうと思ってな。
その時に、急にあの約束を思い出したんだ。」

ドミニクは一気にそう話すと、グラスの酒を飲み干した。
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