極悪な悪役貴族に転生したが、最弱設定の操作魔法を過剰な努力で極めて作中最強になる~俺を断罪するヒロインを助けたら、全員ヤンデレ化して離れない

青空あかな

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第67話:戦い②

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 ゴーレムが右手の剣を勢いよく振りかぶってきた。
 重い轟音が鳴るほどの力強さだ。
 すかさず、その全身に魔力を飛ばした。

「《ゴーレム操作》!」

 俺の魔力を受けると、氷ゴーレムはピタッと動きを止めた。
 操作はできるものの……相当な抵抗だ。
 カレンの強大な魔力を感じるようで、一時も気が抜けない。
 だが、このまま押し返してやる。
 さらに魔力を込め始めたとき、ゴーレムの後ろに広がる空間がキラリと輝いた。

「《曲射の剣》!」

 ネリーの剣魔法による攻撃が飛んでくる。
 生成された剣はどれも曲刀で、くるくるとカーブを描く不規則な軌道で襲いかかった。
 すかさず、操作魔法で空気を凝縮した壁を作る。

「《大気の防御壁》」

 曲刀は空気の壁に阻まれ、宙で止まっては地面に落ちる。
 だが、ゴーレムへの操作魔法がわずかに弱まった。
 動きを取り戻したゴーレムが地面をパンチすると、俺を追うように氷のトゲトゲが何本も生えた。
 生成スピードは人間の魔法にも劣らないが、相手が氷なら操作魔法でベストな対処ができる。

「《氷温度上昇》」

 氷の温度を操作して急上昇させると、トゲトゲは溶けてなくなった。
 操作魔法の汎用性を感じる攻撃だ。
 ゴーレムの後ろから、カレンの感嘆とした声が聞こえた。

「考えたわね、お見事」
「ああ、これなら土や空気を操作するより消費魔力が少ない」

 大型の氷ゴーレムも温度を上げれば溶かせてしまえるだろう。
 だが……なんだろうな。
 正面から戦いたい気持ちになった。
 右手に魔力を集め勢いよく駆け出す。
 氷ゴーレムの全身に魔力が迸り、無数の氷片が放たれた。
 走りながら地面を操作し、いくつもの土の塊を空中に生み出した。
 土塊を蹴り宙を進む。
 迫る俺を見て、氷ゴーレムは剣を振り上げた。
 大剣の一撃は強力だが、どうしても隙が出る。
 振りかぶった瞬間、操作魔法で氷ゴーレムの動きを止め、土塊を蹴ってジャンプした。

「《隕石拳撃!》」

 身体の中央狙って全力で殴る。
 硬い岩に当たったような感触の後、ピシピシと拳の周りからひびが入り、氷ゴーレムは木っ端みじんに砕け散った。
 宙に舞う氷の破片が陽光に煌めくその向こう側には、カレンとネリーの嬉しそうな顔が見える。

「……やるわね。さすがはギルベルトだわ」
「一筋縄ではいかないということですね」

 二人と戦うのは……楽しい。
 魔物とのバトルよりずっと。
 実際に対峙すると、彼女らの基礎が詰まった実力をひしひしと感じた。
 ……俺も負けてられないな。
 やる気がさらに満ちあふれる。

「さあ、今度は俺の番だ!」

 全身に魔力をみなぎらせた、そのとき。
 手の甲の紋章からアナウンスが聞こえた。

[BチームがAチームの“フラッグ”を奪取しました。試験は終了します。戦闘を中止してください]

 ……なに?
 “フラッグ”が回収された?
 もしかして、他の生徒が砦に侵入したのだろうか。
 慌てて砦を振り向くと、小さな青いゴーレムが嬉しそうにAチームの“フラッグ”を振っていた。
 ポカンとする俺にカレンとネリーが説明する。

「あれは私のミニ氷ゴーレムよ。ギルベルトが大型と戦っている間に、こっそり作っておいたの」
「事前にカレン様と綿密に相談したのです。これはあくまでも“フラッグ”を取った方が勝ちですから、どうにかしてギルベルト様たちの注意を引こうと」

 つまり、俺やルカ、Aチームの面々がすっかりバトルに夢中になっている間、うまいこと取られてしまったらしい。
 カレンとネリーは手を取り合って喜ぶ。

「やったー! ギルベルトに勝ったー! いつか勝ちたいと思っていたの!」
「ようやく勝利しましたね! 搦め手の作戦が成功しました!」
「…………ぐぎぎ」

 喜ぶカレンやネリー、そして遠くBチームのメンバーを見て、悔しさがあふれる。
 な、なかなかやるじゃないか。
 ミニゴーレムの存在に気づいていれば操作魔法で対処できたのにぃ……!
 勝負の余韻が漂う中、どこからともなくライラ先生が現れ実技試験は終了となった。
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