極悪な悪役貴族に転生したが、最弱設定の操作魔法を過剰な努力で極めて作中最強になる~俺を断罪するヒロインを助けたら、全員ヤンデレ化して離れない

青空あかな

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第87話:地下室①

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『……』

 魔導デュラハンは俺たちを見ても暴れることなく、静かに佇む。
 鎧から漏れ出たオーラが不気味にゆらゆらと揺れる。
 俺たちの様子を伺っているようだ。
 ただ立っているだけではあるが、隙はまったくない。
 A級魔物の風格を感じるな。
 あいつは魔法と剣術を組み併せた、魔導剣術と呼ばれる特殊な剣技で攻撃してくる。
 出の早い魔法でこちらの隙を作り、鋭い剣で致命傷を与える……。
 原作でも対処法が難しい敵だ。
 ニコラ先輩が小声で俺たちに話す。

「彼の後ろにある扉が目的の地下室だ。あの部屋に書物が保管されている」
「「……わかりました」」

 魔導デュラハンの後ろには金属の扉が見える。
 倒さないと入れない、というわけか。
 三人で協力して倒すのがいいかな……と思っていたら、魔導デュラハンがスッ……と剣先を俺に向けた。
 この仕草は……。
 ニコラ先輩が呆れたように笑いながら話す。

「……まいったね。先輩の立つ瀬がないじゃないか」
「ギル師匠の強さは魔物もよくわかっているのですね」

 魔導デュラハンは複数人と戦う場合、一番強い人間から戦う特性がある。
 どうやら、俺が一番強いと判断したらしい。
 相手は魔物だが光栄なのだろうか。

「では、俺が先陣を切りますので、ニコラ先輩とルカは援護をお願いします」
「了解。君一人で勝てそうだけどね」
「いつでも援護できるよう準備していますからね」

 ニコラ先輩とルカを後ろに足を速めると、魔導デュラハンもまた威風堂々と俺に近寄る。
 互いの距離が10mくらいになったとき、同時にダッと駆け出した。
 魔力剣を生み出し、魔導デュラハンに斬りかかる。
 火花が散り、剣と剣がぶつかる鈍い音が地下室に響いた。
 鍔迫り合いの状態となり、相手の重い剣技を感じる。
 魔力剣を振り払うと、魔導デュラハンは数歩後退した。
 追撃を仕掛けるや否や、魔力でできた何匹もの蝙蝠が俺を取り囲む。
 これは《使い魔の群れ》。
 視界を塞ぎつつ、こちらの隙を作るのが目的の魔法だ。
 魔力剣の形を鞭に変え、全ての蝙蝠を叩き潰す。
 操作魔法で鞭の軌道を操作したので、一振りで全部倒せた。
 蝙蝠たちが魔力の残滓となって消える中、上方から大きな剣が迫りくる。
 身体を屈めて一撃を躱し、魔導デュラハンの右腕を撥ねる。

『……!』

 剣とともに腕が飛ばされバランスを崩し、核が収まる胴体ががら空きとなる。
 ……ここだ!
 下した魔力剣を力強く握り、体重を乗せるようにして勢いよく突き出した。

「《黒の貫き》!」
『!』

 魔導デュラハンの鎧を背中まで貫いた。
 硬い鎧の下に柔らかい臓器みたいな感触を感じた後、魔導デュラハンのオーラが少しずつ消えていく。
 ガシャンッ! ガシャンッ! と空虚で大きな音を立て、鎧が床に落ちる。
 勝負が決したと同時に、ニコラ先輩とルカが駆け寄ってくる。
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