文字の大きさ
大
中
小
90 / 111
第88話:地下室②
「よくやった、ギルベルト君! さすがは学園最強の一年生だ!」
「お見事です、ギル師匠! あの魔導デュラハンに剣術で勝つなんて……!」
「二人が控えてくれていたので、安心して戦いに挑めました」
三人と手を取り合って勝利を喜ぶと、いよいよ地下室に入る瞬間が来た。
みんなで顔を見合わせると、ニコラ先輩が静かに扉を開ける。
中央にテーブルが一つあるだけの、5m四方くらいの小部屋が広がった。
そして、テーブルの上には……。
「これが父上の言っていた書物だね」
五冊の本が積み重ねられている。
エトマン侯爵のいう“呪われた書物”とやらだ。
ニコラ先輩が一冊ずつテーブルに並べてみる。
表紙はどれも濃紺のべた塗りで、題名や著者名などは書かれていなかった。
あとは屋敷に持ち帰って終わりかな、と思っていたら、ニコラ先輩がニヤリとして言った。
「ねえ、二人とも……中身が気にならないかい?」
「「えっ……!」」
驚く俺たちに対し、ニコラ先輩は落ち着いた様子で話す。
「父上は見るな、と言っていたけど、せっかくここまで来たんだ。少し見るくらいなら許してくれるさ」
「「で、でも、呪いが……!」」
その手はすでに本の端っこを摘んでいる。
少しばかり気が引ける俺たちに対し、我らが先輩は爽やかな笑顔で俺を見て言った。
「呪われたとしても……君が何とかしてくれるだろ?」
「ニコラ先輩……」
ここまで俺を信頼してくれているんだ……。
嬉しさがじわじわと胸にこみ上げ、俺も自分の指先をニコラ先輩に乗せた。
「ギルベルト君……?」
「どうせなら一緒に開きましょう。もし呪いが発動しても、即座に操作魔法でどうにかしますので」
俺がそう言うと、ニコラ先輩はフッ……と小さく笑った。
ルカもまた、見守るように俺たちを見ている。
俺とニコラ先輩は息を合わせ……本をめくる!
「「せーのっ!」」
バッ! と勢いよく開いたら、目に飛び込んできた。
肌も露な女性たちが……。
要するに、“呪われた書物”とやらはこの世界の”叡智な本”だった。
「「おおお~!」」
地下室に俺とニコラ先輩の歓喜の声が響く。
正直なところ、前世でもネットやら何やらで、こういう画像や絵は何度も見てきた。
だけど、なんだろうな。
紙で見ると特別な気がするんだ。
まさか、“叡智な本”だったとは……。
思いがけない宝物を見つけた気分だった。
しかも、一冊だけじゃない。
机の上には何冊も置かれている。
「ニ、ニコラ先輩、他の書物も確認してみましょうっ」
「そ、そうだね、しっかり確認しなければっ」
嬉々として二人で本をめくり出す。
……ん? 二人で?
「……男の人って本当にこういうのが好きですね」
「「ル、ルカ(さん)!」」
振り返ると、ジト……という音が聞こえるほどのジト目をしたルカがいた。
それはもう、淡々と俺とニコラ先輩を見る。
「い、いや、違うんだ、ルカ! 本を開こうって言ったのはニコラ先輩で……!」
「こ、こら、ギルベルト君! 僕のせいにしないでくれたまえ! 君だって喜んで見ていたじゃないか!」
「カレンさんとネリーさんにも報告します」
「ル、ルカ、それだけはやめてくれー!」
あの二人にバレたら……たぶん俺は死ぬ。
今回みたいな事案は初めてだが、よくわかるんだ。
結局、必死にルカを宥め、どうにか秘密にしてもらうことにした。
「じゃ、じゃあ、帰りましょうか、ニコラ先輩。あまり遅くなるとみんなも心配するでしょうし」
「そ、そうだね、それがいい。さあ、帰ろうか、ハハハハハッ」
本は布に包んで硬く縛り、俺たちは“ヨフリ城”を後にする。
「お見事です、ギル師匠! あの魔導デュラハンに剣術で勝つなんて……!」
「二人が控えてくれていたので、安心して戦いに挑めました」
三人と手を取り合って勝利を喜ぶと、いよいよ地下室に入る瞬間が来た。
みんなで顔を見合わせると、ニコラ先輩が静かに扉を開ける。
中央にテーブルが一つあるだけの、5m四方くらいの小部屋が広がった。
そして、テーブルの上には……。
「これが父上の言っていた書物だね」
五冊の本が積み重ねられている。
エトマン侯爵のいう“呪われた書物”とやらだ。
ニコラ先輩が一冊ずつテーブルに並べてみる。
表紙はどれも濃紺のべた塗りで、題名や著者名などは書かれていなかった。
あとは屋敷に持ち帰って終わりかな、と思っていたら、ニコラ先輩がニヤリとして言った。
「ねえ、二人とも……中身が気にならないかい?」
「「えっ……!」」
驚く俺たちに対し、ニコラ先輩は落ち着いた様子で話す。
「父上は見るな、と言っていたけど、せっかくここまで来たんだ。少し見るくらいなら許してくれるさ」
「「で、でも、呪いが……!」」
その手はすでに本の端っこを摘んでいる。
少しばかり気が引ける俺たちに対し、我らが先輩は爽やかな笑顔で俺を見て言った。
「呪われたとしても……君が何とかしてくれるだろ?」
「ニコラ先輩……」
ここまで俺を信頼してくれているんだ……。
嬉しさがじわじわと胸にこみ上げ、俺も自分の指先をニコラ先輩に乗せた。
「ギルベルト君……?」
「どうせなら一緒に開きましょう。もし呪いが発動しても、即座に操作魔法でどうにかしますので」
俺がそう言うと、ニコラ先輩はフッ……と小さく笑った。
ルカもまた、見守るように俺たちを見ている。
俺とニコラ先輩は息を合わせ……本をめくる!
「「せーのっ!」」
バッ! と勢いよく開いたら、目に飛び込んできた。
肌も露な女性たちが……。
要するに、“呪われた書物”とやらはこの世界の”叡智な本”だった。
「「おおお~!」」
地下室に俺とニコラ先輩の歓喜の声が響く。
正直なところ、前世でもネットやら何やらで、こういう画像や絵は何度も見てきた。
だけど、なんだろうな。
紙で見ると特別な気がするんだ。
まさか、“叡智な本”だったとは……。
思いがけない宝物を見つけた気分だった。
しかも、一冊だけじゃない。
机の上には何冊も置かれている。
「ニ、ニコラ先輩、他の書物も確認してみましょうっ」
「そ、そうだね、しっかり確認しなければっ」
嬉々として二人で本をめくり出す。
……ん? 二人で?
「……男の人って本当にこういうのが好きですね」
「「ル、ルカ(さん)!」」
振り返ると、ジト……という音が聞こえるほどのジト目をしたルカがいた。
それはもう、淡々と俺とニコラ先輩を見る。
「い、いや、違うんだ、ルカ! 本を開こうって言ったのはニコラ先輩で……!」
「こ、こら、ギルベルト君! 僕のせいにしないでくれたまえ! 君だって喜んで見ていたじゃないか!」
「カレンさんとネリーさんにも報告します」
「ル、ルカ、それだけはやめてくれー!」
あの二人にバレたら……たぶん俺は死ぬ。
今回みたいな事案は初めてだが、よくわかるんだ。
結局、必死にルカを宥め、どうにか秘密にしてもらうことにした。
「じゃ、じゃあ、帰りましょうか、ニコラ先輩。あまり遅くなるとみんなも心配するでしょうし」
「そ、そうだね、それがいい。さあ、帰ろうか、ハハハハハッ」
本は布に包んで硬く縛り、俺たちは“ヨフリ城”を後にする。
感想 0
あなたにおすすめの小説
男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。
その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。
彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。
そして....彼の身体は大丈夫なのか!?
転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。
不慮の事故で亡くなった後、異世界に転生した高校生、鬼島迅。
そんな彼が生まれ落ちた家は、貴族。
しかし、その家の住人たちは国内でも随一、乱暴者というイメージが染みついている家。
世間のその様なイメージは……あながち間違ってはいない。
そんな一家でも、迅……イシュドはある意味で狂った存在。
そしてイシュドは先々代当主、イシュドにとってひい爺ちゃんにあたる人物に目を付けられ、立派な暴君戦士への道を歩み始める。
「イシュド、学園に通ってくれねぇか」
「へ?」
そんなある日、父親であるアルバから予想外の頼み事をされた。
※主人公は一先ず五十後半の話で暴れます。
ダンジョン冒険者にラブコメはいらない(多分)~正体を隠して普通の生活を送る男子高生、実は最近注目の高ランク冒険者だった~
学校では正体を隠し、普通の男子高校生を演じている黒瀬才斗。実は仕事でダンジョンに潜っている、最近話題のAランク冒険者だった。
そんな黒瀬の通う高校に突如転校してきた白桃楓香。初対面なのにも関わらず、なぜかいきなり黒瀬に抱きつくという奇行に出る。
「才斗くん、これからよろしくお願いしますねっ」
なんと白桃は黒瀬の直属の部下として派遣された冒険者であり、以後、同じ家で生活を共にし、ダンジョンでの仕事も一緒にすることになるという。
これは、上級冒険者の黒瀬と、美少女転校生の純愛ラブコメディ――ではなく、ちゃんとしたダンジョン・ファンタジー(多分)。
※小説家になろう、カクヨムでも連載しています。
魔法使いが無双する異世界に転移した魔法の使えない俺ですが、陰陽術とか武術とか魔法以外のことは大抵できるのでなんとか死なずにやっていけそうです
魔法使いが無双するファンタジー世界に転移した魔法の使えない俺ですが、陰陽術とか武術とか忍術とか魔法以外のことは大抵できるのでなんとか死なずにやっていけそうです。むしろ前の世界よりもイケてる感じ?
~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。
スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。
だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。
それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。
色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。
しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。
ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。
一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。
土曜日以外は毎日投稿してます。
異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。
実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。
そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。
グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・
しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。
これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
高校二年生の高木華音(たかぎかのん)は、夏休み前のホームルーム中にクラスごと異世界へ召喚される。
神から与えられた使命は魔王討伐。
しかし帝国で行われた適性検査の結果、華音だけが存在しないはずのEランク判定を受けてしまう。
さらに召喚時に身体を女性へ作り替えられていたことでクラスメイト達から偽物扱いされ、危険地帯《死の森》へ追放されてしまった。
そこで待っていたのは絶対的な死。
――だが、死んだはずの華音は再び召喚前の時間へ戻っていた。
発動した固有スキルは、神すら紛失した超規格外のEXランクスキル【無限増殖】。
その能力は《残機無限》。
何度死んでもやり直せるという、常識外れの死に戻り能力だった。
さらに死ぬたびに知識とスキルは蓄積されていく。
鑑定。
魔術眼。
テイム。
神のミスによって本来なら他の勇者へ与えられるはずだった能力までも獲得していく華音。
一方、彼を偽物として切り捨てた帝国は知らない。
自分達が追放した存在こそ、世界最強の勇者候補だったことを――。
無限の命と無限の試行錯誤で最強へ至る、追放×死に戻り×成り上がりファンタジー開幕!
天使しかいない女子校に迷い込んだ俺、壊れないせいで“観察対象’’にされた
気づけば、天使しかいない女子校に迷い込んでいた。
男は存在しないはずの場所で、なぜか「観察対象」として扱われることになる。
感情が暴走する天使たち。
恋愛モード、実験、共有彼氏――すべてが少しずつズレている。
壊れるはずの状況で、なぜか壊れない俺。
だからこそ、彼女たちは興味を持った。
「どうやったら壊れるのか」
これは、観察される側の人間と、観察する天使たちの、少しおかしな学園実験ラブコメ。