極悪な悪役貴族に転生したが、最弱設定の操作魔法を過剰な努力で極めて作中最強になる~俺を断罪するヒロインを助けたら、全員ヤンデレ化して離れない

青空あかな

文字の大きさ
88 / 111

第86話:古城

しおりを挟む
「ギルベルト君、ルカさん、着いたよ。ここが目的地、“ヨフリ城”だ」
「「ここが……」」

 小一時間ほど馬車に乗り、俺たちは“ヨフリ城”という古城に着いた。
 モノトーンな配色の頑強な石造りで、城というよりは砦を思わせる無骨な雰囲気だ。
 実際に魔物討伐を始める前に、ニコラ先輩と作戦会議をする。

「さて、いよいよ任務の開始だ。父上から魔物を呼び寄せる〈誘いポーション〉を貰ってきた。これを身体に振りかけて城に入ろう。隠れている魔物も全て討伐しないといけないからね。常に魔物に囲まれるわけだけど、僕たちなら問題ないと思う」
「ええ、俺もそれが良いと思います。取りこぼしが一番良くないですので」
「ボクだって頑張りますよ。お城を魔物から解放しましょう」

 互いに手を合わせ、えいっと気合を入れた。
 それぞれ〈誘いポーション〉を身体に振りかける。
 上階から地下に向かうこととなり、ニコラ先輩が水の手を出して砦の屋上に運んでくれた。
 石畳の床が広がるだけの殺風景な風景、と言いたいところだが……。

「さっそく歓迎会が開かれたようだね」
「「……ですね」」

 屋上には、すでに何匹もの魔物がいた。
 D級のホブゴブリンに電撃イタチ、C級のブルー・ウィスプ……。
 低級の魔物ばかりだが、数はそこそこいる。
 さっそく、〈誘いポーション〉が効果を発揮したようだ。
 ニコラ先輩が静かに笑いながら言う。

「誰が一番早く倒し切れるか勝負しないかい?」
「いいですね」
「ボクも賛成です」

 一瞬の沈黙の後、ダッと三方向に駆け出した。
 俺に迫りくるのは、ホブゴブリンが三体と電撃イタチが四体。
 魔力剣を生み出し、まずはホブゴブリンたちの首を撥ねる。
 その隙を狙うように、激しい電撃をまとったイタチが襲い掛かる。

「《魔力棘》!」
『『ギャアアアアアッ!』』

 魔力剣を操作し、雷撃イタチの心臓を狙って魔力の棘を飛ばす。
 四体とも断末魔の叫びを上げ息絶えた。
 静けさを感じて周りを見ると、ニコラ先輩とルカの戦いも終結していた。
 二人の周囲には、俺と同じように魔物の死骸が散らばる。
 十分も経たぬうちに、たくさんいた魔物は全滅してしまったらしい。

「ニコラ先輩、ルカ、そっちはどうですか?」
「ちょうど全部倒したところだよ。一番最初に倒した自信があったんだがね」
「いやぁ、ギル師匠より速かったと思ったんですけど……一歩及びませんでした」

 まだまだ戦いは始まったばかり。
 迫りくる魔物を倒し、俺たちは地下倉庫へと進む。


 □□□


「……この下が地下室だ。二人とも、調子はどうだい?」
「「上々です」」

 俺たち三人は特に怪我することなく(というか無傷で)順調に進み、地下一階まで来れた。
 古城に棲みついた魔物はD級やC級が多く、思ったより早く最深部の地下室へとたどり着けそうだ。
 もちろん、油断はならないがな。
 ニコラ先輩はもとより、ルカも今ではかなり強くなった。
 ライラ先生の“地獄渡り”と主人公のポテンシャルが掛け合わさったのだから、当然といえば当然か。
 急速な成長ぶりに、どこか怖じ気づく自分がいた。
 忘れがちだが、本来、俺はルカに断罪される運命なんだよな。
 十分に仲良くなっているはずだが、さらに親密な関係となりたい。

「ルカ、怪我はないか? いくら光魔法で治せるって言っても、あまり無理はするなよ」
「ギル師匠……嬉しい」

 少し気遣ったら、ルカはしなっ……としなだれかかってきた。
 親密になりたいとは思ったが、これはちょっと行き過ぎだ。
 慌てる俺を見て、ニコラ先輩が笑いながら話す。

「イチャイチャするとは余裕じゃないか、ギルベルト君」
「あ、いや、そうじゃなくてですね」

 その後も迫りくる魔物を倒し、地下室があるという地下三階までたどり着いた。
 他の階と違って、ここだけ正方形のような広々とした空間が広がる。
 魔物に囲まれる気配はないので、あらかた倒したようだ。
 ……いや、一体だけひと際濃い魔力を感じるな。
 傍らのニコラ先輩とルカも険しい表情で呟く。

「二人とも、最後の山場だ」
「ギル先輩、気を引き締めていきましょう」
「ああ、全力で戦う」

 20mほど離れた正面にいる強力な魔物の姿を見て、俺たちは気合が入る。

『……』

 地下室の扉を塞ぐように立ちはだかるのは……A級魔物、魔導デュラハンだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!

ユーリ
ファンタジー
気がつくと、見知らぬ部屋のベッドの上で、状況が理解できず混乱していた僕は、鏡の前に立って、あることを思い出した。 ここはリュカとして生きてきた異世界で、僕は“落ちこぼれ貴族の息子”だった。しかも最悪なことに、さっき行われた絶対失敗出来ない召喚の儀で、僕だけが失敗した。 そのせいで、貴族としての評価は確実に地に落ちる。けれど、両親は超が付くほど過保護だから、家から追い出される心配は……たぶん無い。 問題は一つ。 兄様との関係が、どうしようもなく悪い。 僕は両親に甘やかされ、勉強もサボり放題。その積み重ねのせいで、兄様との距離は遠く、話しかけるだけで気まずい空気に。 このまま兄様が家督を継いだら、屋敷から追い出されるかもしれない! 追い出されないように兄様との関係を改善し、いざ追い出されても生きていけるように勉強して強くなる!……のはずが、勉強をサボっていたせいで、一般常識すら分からないところからのスタートだった。 それでも、兄様との距離を縮めようと努力しているのに、なかなか縮まらない! むしろ避けられてる気さえする!! それでもめげずに、今日も兄様との関係修復、頑張ります! 5/9から小説になろうでも掲載中

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺

マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。 その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。 彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。 そして....彼の身体は大丈夫なのか!?

最凶と呼ばれる音声使いに転生したけど、戦いとか面倒だから厨房馬車(キッチンカー)で生計をたてます

わたなべ ゆたか
ファンタジー
高校一年の音無厚使は、夏休みに叔父の手伝いでキッチンカーのバイトをしていた。バイトで隠岐へと渡る途中、同級生の板林精香と出会う。隠岐まで同じ船に乗り合わせた二人だったが、突然に船が沈没し、暗い海の底へと沈んでしまう。 一七年後。異世界への転生を果たした厚使は、クラネス・カーターという名の青年として生きていた。《音声使い》の《力》を得ていたが、危険な仕事から遠ざかるように、ラオンという国で隊商を率いていた。自身も厨房馬車(キッチンカー)で屋台染みた商売をしていたが、とある村でアリオナという少女と出会う。クラネスは家族から蔑まれていたアリオナが、妙に気になってしまい――。異世界転生チート物、ボーイミーツガール風味でお届けします。よろしくお願い致します! 大賞が終わるまでは、後書きなしでアップします。

ダンジョン冒険者にラブコメはいらない(多分)~正体を隠して普通の生活を送る男子高生、実は最近注目の高ランク冒険者だった~

エース皇命
ファンタジー
 学校では正体を隠し、普通の男子高校生を演じている黒瀬才斗。実は仕事でダンジョンに潜っている、最近話題のAランク冒険者だった。  そんな黒瀬の通う高校に突如転校してきた白桃楓香。初対面なのにも関わらず、なぜかいきなり黒瀬に抱きつくという奇行に出る。 「才斗くん、これからよろしくお願いしますねっ」  なんと白桃は黒瀬の直属の部下として派遣された冒険者であり、以後、同じ家で生活を共にし、ダンジョンでの仕事も一緒にすることになるという。  これは、上級冒険者の黒瀬と、美少女転校生の純愛ラブコメディ――ではなく、ちゃんとしたダンジョン・ファンタジー(多分)。 ※小説家になろう、カクヨムでも連載しています。

処理中です...