極悪な悪役貴族に転生したが、最弱設定の操作魔法を過剰な努力で極めて作中最強になる~俺を断罪するヒロインを助けたら、全員ヤンデレ化して離れない

青空あかな

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第95話:遺跡での戦闘

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「……《流麗華》!」
『ガァァアッ!』

 闇の剣を振るい、ポイズンナーガの首を切り落とす。
 重い首がゴトンと地面へ落ちると同時に、紫色の毒ガスが勢いよく吹き出した。
 辺りに充満する前に、操作魔法ではるか上空へと動かす。
 強力な毒ガスは風に流され、瞬く間に消えてしまった。
 後方で別の魔物を倒したカレンが俺の隣に駆け寄る。

「相変わらず、見事な一撃ね。ポイズンナーガはC級だけど、素早くて厄介な魔物なのに」
「よく見ていれば動きに規則性があるのさ」

 天空都市の魔物は下界と等級が同じでも、それぞれ特殊な強さを誇る。
 それでもカレンとのチームワークもあり、順調に目的地の塔へと進めていた。

「じゃあ、気をつけて先に進みましょうか」
「ああ」

 カレンと話しながら、そっと後方を見る。
 ジゼル隊長はというと……先ほどから静観するばかりだ。
 援護することも何か指示を出すこともなく、ただ黙って俺とカレンの戦いを見守っている。 相変わらずニコニコとした微笑みを浮かべるものの、何を考えているのかはわからない。
 隣のカレンもジゼル隊長が気になっているようだが、俺たちはただ魔物を倒して塔に進むだけだ。
 気を取り直して前に進む。
 歩きながらも、周囲の様子をよく探る。
 この辺りは大小様々な建造物が入り組み死角が多い。
 先ほどのポイズンナーガも、地形をうまく利用して近づいたのだ。
 警戒すること五分ほど。
 ひときわ大きな魔力を感じ取った。

「……カレン」
「ええ、わかっているわ」

 遠方の角から、ゆらりと四足歩行の魔物が現れた。
 濃い灰色の硬そうな体毛に覆われた。大きい猫のような魔物。
 だが、不気味な紅い瞳の数が、普通の猫ではないと強く主張する。
 瞳の数は七つ。
 B級のセブンスキャットだ。
 天空都市の中でも中ボスクラスの強さ。
 セブンスキャットは俺たちを見るや否や、即座に魔力を練り始めた。
 ドンッ! という衝撃とともに風が凝縮されたブレス、《疾風弾》が放たれる。
 こいつが使うのは風魔法。
 練度も高く、当たるとなかなかの威力を誇る。
 何より、風の波動が遺跡を傷つけたら大変だ。

「《魔法操作:疾風弾》」

 魔力を飛ばして攻撃を操作する。
 さらに凝縮させ、セブンス・キャットに跳ね返した。
 ちょうど辻の開けた場所にいたので、風の波動も遺跡を傷つけることはなかった。
 《疾風弾》に込めた魔力をそのまま本体にうつし、セブンス・キャットの全身を操作する。 度重なる修行と実践を経て、魔力の細かい動かし方も習得できていた。

『ギギャッ……!』

 セブンス・キャットの身体を操作して、ぞうきん絞りの如く勢いよく締め付ける。
 骨と肉の砕ける音がし、ぐたりと死骸が地に落ちた。
 これで終わりかと思ったが、魔物はまだたくさんいる。
 青銅ゴーレムに鎧マンティス、騎士レイス……。
 塔へと歩を進めるたび次々と姿を現し、俺たちに攻撃をしかけてくる。
 まるで何かを守るように……。

「カレンは遺跡をガードしてくれ!」
「了解! ……《氷の浮遊壁》!」

 空中に氷の壁が生まれ、魔物たちの攻撃を防ぐ。
 魔物どもは遺跡の保存などおかまいなしなので、それはもう好き勝手に攻撃してくる。
 自分たちの攻撃が遺跡に当たる恐れがあり、遠距離攻撃があまり頻用できない。
 最初は立ち回りに難義したが、今はもうだいぶ慣れた。
 建造物や地面など傷つけさせていないのだ。
 おそらく家だろうか、建物の壁や天井には不思議な紋様が描かれ、古代人の信仰や暮らしの余韻……少しだけ古代の息吹を感じられた。
 こんな貴重な建物を壊させてたまるか。
 目に見える範囲の魔物に操作魔法の魔力を飛ばし、全ての動きを止める。

「《煌霊》」

 魔力剣の形を鞭に変え、空中で全ての魔物をたたき切る。
 魔物は俺が倒して、カレンが氷で遺跡を守る役割分担のおかげもあり、貴重な建造物やモザイク画の床を壊さずに済んでいた。
 さらに都市の中心に向かって歩くこと小一時間ほど。
 とうとう、目標である塔の全容が見える場所に着いた。
 二階建ての家の陰から様子を窺う。

「……あれが目的地か」
「ずいぶん高いわね」

 高さはおよそ300mはあるだろうか。
 天高くそびえる建造物は、同じ石造りでも都市にあるどの建物より威厳にあふれている。
 古代人にとって、一段と特別な場所なのだろうと見るだけで想像ついた。
 すぐにでも中に入りたいものの、そういうわけにはいかなかった。
 塔の前には……二体の魔物がいる。
 7mほどの硬そうな翼を持ち、細長い口が特徴的な魔物……。
 A級の腐食ワイバーンだ。
 二体いるから番いだろうか。
 奴らは金属は錆びさせ、生物の身体は腐らせる特殊なブレスを吐く。
 遺跡を攻撃されたら大変だ。

「カレン、敵は二体だ。手分けして戦おう」
「そうね。私は右を倒すわ」

 挟み撃ちしようとカレンと左右に分かれて歩き出そうとしたら、初めてジゼル隊長が俺たちに声をかけた。
 淡々と、告げる。

「待ちなさい。……ギルちゃん、あなた一人で戦いなさい」
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