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第4話:あの人は(Side:アーベル①)
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僕は教会の扉を閉めると、ふーっ、と深く息をついた。
夜の空気は冷たいが、興奮しきった僕の心は全く冷めない。
僕は叫びたい! 今ここで、全世界に向かってあの聖女の美しさを叫びたい!
ハイデルベルク王国で縁談に来る女性はみんな外見しか磨いておらず、肝心の中身は薄っぺらい人ばかりだった。
ところがあの方はどうだ! こんな素性の知れない男を迎え入れて、おまけに温かい食事まで出してくれるなんて。
――……今どきありえないだろう。
少なくとも僕は、この旅でそんな人に出会ったことが全くなかった。
そしてロミリアと言ったあの女性もとい聖女は、態度や言葉の隅々まで気品に満ちていた。
着ている服は庶民的で質素な物だったが、もしかしたら貴族の出身なのかもしれない。
ロミリアさんのことを考えると、自然と気持ちが高ぶってしまう。
肩くらいまであるブロンズの髪、触るだけでも壊れそうな美しい肌、そして……燃えるように情熱的な真紅の目。
明らかに彼女の周りだけ雰囲気が違った。
ごてごてと宝石だらけのドレスを着ていた、どの女性よりもずっと美しかった。
しかし、どうやら泣いていたらしいのが気になるけど……。
「今すぐにでも結婚したい」
思わず願望が口を出てしまった。
いやいや、と僕は首を振る。
さすがに出会ってすぐに結婚の申し込みはまずいだろう。
しまった! 苗字を聞くのを忘れた。
まぁ、今夜はもう遅いからまた明日訪ねてみるか。
さて、今夜はどこに泊まったものかな……。
夜の空気は冷たいが、興奮しきった僕の心は全く冷めない。
僕は叫びたい! 今ここで、全世界に向かってあの聖女の美しさを叫びたい!
ハイデルベルク王国で縁談に来る女性はみんな外見しか磨いておらず、肝心の中身は薄っぺらい人ばかりだった。
ところがあの方はどうだ! こんな素性の知れない男を迎え入れて、おまけに温かい食事まで出してくれるなんて。
――……今どきありえないだろう。
少なくとも僕は、この旅でそんな人に出会ったことが全くなかった。
そしてロミリアと言ったあの女性もとい聖女は、態度や言葉の隅々まで気品に満ちていた。
着ている服は庶民的で質素な物だったが、もしかしたら貴族の出身なのかもしれない。
ロミリアさんのことを考えると、自然と気持ちが高ぶってしまう。
肩くらいまであるブロンズの髪、触るだけでも壊れそうな美しい肌、そして……燃えるように情熱的な真紅の目。
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しかし、どうやら泣いていたらしいのが気になるけど……。
「今すぐにでも結婚したい」
思わず願望が口を出てしまった。
いやいや、と僕は首を振る。
さすがに出会ってすぐに結婚の申し込みはまずいだろう。
しまった! 苗字を聞くのを忘れた。
まぁ、今夜はもう遅いからまた明日訪ねてみるか。
さて、今夜はどこに泊まったものかな……。
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