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第12話:闇アイテム
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「さて、キュリティ。お腹の状態を確認しようかね」
「はい、お願いします」
ベッドに寝てぺろんとお腹をめくる。
その後、オールドさんに定期的に赤ちゃんの経過を診てもらっていた。
お腹は相変わらずぺたんこだ。
「……ふむ、順調だね。良く食べて良く眠るようにしていなさいな」
「わかりました。たくさん食べるようにします。あの、オールドさん。気になっていたことがあるのですが」
「なんだい? 何でも聞いとくれ」
「“つわり”って、これから出てくるんでしょうか?」
人づてに聞いた知識しかないけど、ご飯を食べようとすると気持ち悪くなるらしい。
幸か不幸か、今のところは特になかった。
「ああ、“つわり”ね。気にしなくて大丈夫さ。たぶん、キュリティには起こらないだろうよ」
「え、そうなんですか?」
「キュリティの妊娠は少し特殊だからね。なにせ、精力が外から入ってきたんだ。“つわり”は起こらないさ。アタシの予想ではあるけど、ほとんど確かだろうよ。気にせずたくさん食べな」
「はい、なんだかホッとしました」
起こらないだろうと言われ、少しばかり安心した。
本当に辛そうに思えたのだ。
お腹をしまったところで、ちょうどディアボロ様がやってきた。
「ディア坊主が昼間に来るとは珍しいね。奥さんの様子が心配になったのかい?」
「オールド、余計なことは言わなくていいぞ。キュリティ、調子は大丈夫か?」
「はい、おかげさまでとても元気です」
ディアボロ様やオールドさん、バーチュさんたちのおかげで、私はすっかり元気を取り戻していた。
以前のような暗い気持ちになることも全然ない。
「そうか……それなら良かった。ところで、君に一つ頼みがあるんだがな」
「ええ、なんでしょうか」
「その前に、キュリティは闇アイテムについて聞いたことはあるか?」
「たしか、闇魔法で作られた道具で、魔族たちが使うという話を聞いたことがあります」
闇アイテムは市場に流通することもなく、大変貴重だとも言われていた。
「うむ、概ねその通りだ。私は研究のため闇アイテムをいくつか保存しているのだが、それの解呪をお願いできないか? 魔力のちょうどいい発散にもなるかもしれない。もちろん、嫌だったら構わないが」
「はい、ぜひやらせていただきます! 全く嫌ではございません!」
思わず大きな声が出てしまった。
ディアボロ様から直々に頼まれ、とても嬉しかったのだ。
「まずは闇魔法のアイテムについて説明しておこう。君も知っての通り、アドラントは魔族領に近い。だから、彼らが使う特殊なアイテムを入手しやすくてな。戦いに役立てるため研究することが多いんだ」
「な、なるほど……」
「そして、そのアイテムだが闇魔法を解呪しないと分析できないようだ。私も試みたのだが上手くいかなくてな……少々困っていたところだ。私は攻撃魔法と防御魔法は得意だが、<解呪>のような特殊な魔法は苦手なのだ」
ディアボロ様にも苦手なことがあるんだなぁ。
何でもできるすごい人、ってイメージだったけど。
説明を聞きながら、ぼんやりとそんなことを思った。
「そこで、君には<解呪>だけお願いしたいというわけだ。もちろん、危険があるのでバーチュとフローズを護衛につかせる。彼女たちが君のことは必ず守ってくれる」
「わかりました。バーチュさんたちがいてくれれば、これ以上なく安心できます」
私が笑顔で言うと、ディアボロ様も微笑みで返してくれた。
「では、後ほどバーチュをここに寄越す。彼女にもきちんと説明してあるので、指示に従ってくれ。では、よろしく頼む」
「はい、こちらこそよろしくお願いします」
ということで、ディアボロ様はお部屋から出て行った。
オールドさんが私を撫でながら話す。
「キュリティ、そんなに働かなくてもいいんだよ。たしかに、魔力を発散させないといけないんだけどさ」
「いえ、私もディアボロ様の役に立ちたいんです。こんなに良くしていただいているんですから」
そう、これは私の本心だった。
事故の影響で魔力を定期的に放出しないといけない。
だけど、それ以上にみんなのために行動したかった。
「はい、お願いします」
ベッドに寝てぺろんとお腹をめくる。
その後、オールドさんに定期的に赤ちゃんの経過を診てもらっていた。
お腹は相変わらずぺたんこだ。
「……ふむ、順調だね。良く食べて良く眠るようにしていなさいな」
「わかりました。たくさん食べるようにします。あの、オールドさん。気になっていたことがあるのですが」
「なんだい? 何でも聞いとくれ」
「“つわり”って、これから出てくるんでしょうか?」
人づてに聞いた知識しかないけど、ご飯を食べようとすると気持ち悪くなるらしい。
幸か不幸か、今のところは特になかった。
「ああ、“つわり”ね。気にしなくて大丈夫さ。たぶん、キュリティには起こらないだろうよ」
「え、そうなんですか?」
「キュリティの妊娠は少し特殊だからね。なにせ、精力が外から入ってきたんだ。“つわり”は起こらないさ。アタシの予想ではあるけど、ほとんど確かだろうよ。気にせずたくさん食べな」
「はい、なんだかホッとしました」
起こらないだろうと言われ、少しばかり安心した。
本当に辛そうに思えたのだ。
お腹をしまったところで、ちょうどディアボロ様がやってきた。
「ディア坊主が昼間に来るとは珍しいね。奥さんの様子が心配になったのかい?」
「オールド、余計なことは言わなくていいぞ。キュリティ、調子は大丈夫か?」
「はい、おかげさまでとても元気です」
ディアボロ様やオールドさん、バーチュさんたちのおかげで、私はすっかり元気を取り戻していた。
以前のような暗い気持ちになることも全然ない。
「そうか……それなら良かった。ところで、君に一つ頼みがあるんだがな」
「ええ、なんでしょうか」
「その前に、キュリティは闇アイテムについて聞いたことはあるか?」
「たしか、闇魔法で作られた道具で、魔族たちが使うという話を聞いたことがあります」
闇アイテムは市場に流通することもなく、大変貴重だとも言われていた。
「うむ、概ねその通りだ。私は研究のため闇アイテムをいくつか保存しているのだが、それの解呪をお願いできないか? 魔力のちょうどいい発散にもなるかもしれない。もちろん、嫌だったら構わないが」
「はい、ぜひやらせていただきます! 全く嫌ではございません!」
思わず大きな声が出てしまった。
ディアボロ様から直々に頼まれ、とても嬉しかったのだ。
「まずは闇魔法のアイテムについて説明しておこう。君も知っての通り、アドラントは魔族領に近い。だから、彼らが使う特殊なアイテムを入手しやすくてな。戦いに役立てるため研究することが多いんだ」
「な、なるほど……」
「そして、そのアイテムだが闇魔法を解呪しないと分析できないようだ。私も試みたのだが上手くいかなくてな……少々困っていたところだ。私は攻撃魔法と防御魔法は得意だが、<解呪>のような特殊な魔法は苦手なのだ」
ディアボロ様にも苦手なことがあるんだなぁ。
何でもできるすごい人、ってイメージだったけど。
説明を聞きながら、ぼんやりとそんなことを思った。
「そこで、君には<解呪>だけお願いしたいというわけだ。もちろん、危険があるのでバーチュとフローズを護衛につかせる。彼女たちが君のことは必ず守ってくれる」
「わかりました。バーチュさんたちがいてくれれば、これ以上なく安心できます」
私が笑顔で言うと、ディアボロ様も微笑みで返してくれた。
「では、後ほどバーチュをここに寄越す。彼女にもきちんと説明してあるので、指示に従ってくれ。では、よろしく頼む」
「はい、こちらこそよろしくお願いします」
ということで、ディアボロ様はお部屋から出て行った。
オールドさんが私を撫でながら話す。
「キュリティ、そんなに働かなくてもいいんだよ。たしかに、魔力を発散させないといけないんだけどさ」
「いえ、私もディアボロ様の役に立ちたいんです。こんなに良くしていただいているんですから」
そう、これは私の本心だった。
事故の影響で魔力を定期的に放出しないといけない。
だけど、それ以上にみんなのために行動したかった。
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