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第62話:皇帝様
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「キュリティ嬢、大変良くやってくれた。そなたのおかげでヒュージニア帝国は救われた。感謝してもしきれないとはこのことだな」
「お、恐れ多きお言葉誠にありがとうございます、皇帝様」
無事に闇魔法を解呪した後、帝の間で皇帝様に謁見していた。
くすんだ銀色の短い髪に、見られているだけで緊張するような鋭い目、そして熊のように大きな身体。
直接お会いするのは初めてだ。
大変名誉なことだけど緊張で体が震える。
でも、隣にはディアボロ様がいる。
そう思うと安心できた。
「ディアボロ卿もよく来てくれた。貴殿の迅速な行動によっても我が国は救われた。そなたたちには感謝せねばならないな」
「もったいないお言葉、誠にありがとうございます。この度は本当に大変なことになってしまいましたね、陛下」
「ああ、全くだ。シホルガ・チェック……キュリティ嬢の義妹だったな。彼女が闇魔法のかかった荷物を見破ることができなかったために起こってしまった」
「やはり……そうでしたか」
解呪師のリーダーが言っていたことと同じだ。
「シホルガ嬢は今後、フーリッシュ・エンプティも一緒に処罰される。キュリティ嬢に対する数々の横暴。これは許されることではないからな」
「陛下のおっしゃる通りでございます」
「しかし、キュリティ嬢ほど解呪に精通している術師は我輩も初めて見る。お主はまさしく帝国で一番の解呪師だな」
「い、いえ、それほどでもございません!」
皇帝様からのお褒めの言葉など初めていただいた。
それだけで身が引き締まる思いだ。
「妊娠中にも拘わらず、王宮の危機に駆けつけてくれて感謝するぞよ」
「いえ! 王国の危機でしたので、ディアボロ様にお願いして急いでまいりました」
「そうであったか。お主は行動力があるな。健康な子が生まれるよう、我輩も祈っておこう」
「あ、ありがたき幸せでございます。この子たちが生まれたら、皇帝様がお祈りしてくださっていたことをお伝えいたします」
答えながらも緊張しっぱなしだった。
皇帝様が身内でもない者の安産祈願をしてくださるなんて滅多にない。
いや、もしかしたら初めてのことかも……。
「ところで、キュリティ嬢。王宮での処遇を聞いたぞ。だいぶ不当な扱いを受けていたようだな」
「あ、そ、それは……」
「いいや、言いよどむことはない。我輩も目が届かなくて申し訳なかったな」
その後も、皇帝様の口からシホルガやフーリッシュ様の悪事を伝えられた。
彼らは色々迷惑をかけてきたようだ。
「そこで、そなたさえ良ければ、また王宮に戻ってきてはいかがだろうか。もちろん、以前より良いポストを用意するぞよ」
「お、王宮に……でございますか?」
「ああ、キュリティ嬢が戻ってきてくれれば、王宮の警備もさらに向上するだろう。いかがかな?」
ど、どうしよう。
皇帝様のお言葉は嬉しいのだけど、できればこの先もアドラントで過ごしたい。
バーチュさんやオールドさん、フローズさん、チャオ……みんなとずっと一緒にいたい。
何より、ディアボロ様ともっと一緒にいたい……。
そう強く思っていた。
でも、皇帝様にお断りしてしまっていいのだろうか。
直々のお願いを断るなんて、大変失礼なことかもしれない。
もしディアボロ様の評判も悪くなってしまったら……。
「陛下、少しよろしいでしょうか」
葛藤している心の中にディアボロ様の言葉が降ってきた。
ハッと隣を見る。
ディアボロ様は真剣な表情で皇帝様と向き合っていた。
「お、恐れ多きお言葉誠にありがとうございます、皇帝様」
無事に闇魔法を解呪した後、帝の間で皇帝様に謁見していた。
くすんだ銀色の短い髪に、見られているだけで緊張するような鋭い目、そして熊のように大きな身体。
直接お会いするのは初めてだ。
大変名誉なことだけど緊張で体が震える。
でも、隣にはディアボロ様がいる。
そう思うと安心できた。
「ディアボロ卿もよく来てくれた。貴殿の迅速な行動によっても我が国は救われた。そなたたちには感謝せねばならないな」
「もったいないお言葉、誠にありがとうございます。この度は本当に大変なことになってしまいましたね、陛下」
「ああ、全くだ。シホルガ・チェック……キュリティ嬢の義妹だったな。彼女が闇魔法のかかった荷物を見破ることができなかったために起こってしまった」
「やはり……そうでしたか」
解呪師のリーダーが言っていたことと同じだ。
「シホルガ嬢は今後、フーリッシュ・エンプティも一緒に処罰される。キュリティ嬢に対する数々の横暴。これは許されることではないからな」
「陛下のおっしゃる通りでございます」
「しかし、キュリティ嬢ほど解呪に精通している術師は我輩も初めて見る。お主はまさしく帝国で一番の解呪師だな」
「い、いえ、それほどでもございません!」
皇帝様からのお褒めの言葉など初めていただいた。
それだけで身が引き締まる思いだ。
「妊娠中にも拘わらず、王宮の危機に駆けつけてくれて感謝するぞよ」
「いえ! 王国の危機でしたので、ディアボロ様にお願いして急いでまいりました」
「そうであったか。お主は行動力があるな。健康な子が生まれるよう、我輩も祈っておこう」
「あ、ありがたき幸せでございます。この子たちが生まれたら、皇帝様がお祈りしてくださっていたことをお伝えいたします」
答えながらも緊張しっぱなしだった。
皇帝様が身内でもない者の安産祈願をしてくださるなんて滅多にない。
いや、もしかしたら初めてのことかも……。
「ところで、キュリティ嬢。王宮での処遇を聞いたぞ。だいぶ不当な扱いを受けていたようだな」
「あ、そ、それは……」
「いいや、言いよどむことはない。我輩も目が届かなくて申し訳なかったな」
その後も、皇帝様の口からシホルガやフーリッシュ様の悪事を伝えられた。
彼らは色々迷惑をかけてきたようだ。
「そこで、そなたさえ良ければ、また王宮に戻ってきてはいかがだろうか。もちろん、以前より良いポストを用意するぞよ」
「お、王宮に……でございますか?」
「ああ、キュリティ嬢が戻ってきてくれれば、王宮の警備もさらに向上するだろう。いかがかな?」
ど、どうしよう。
皇帝様のお言葉は嬉しいのだけど、できればこの先もアドラントで過ごしたい。
バーチュさんやオールドさん、フローズさん、チャオ……みんなとずっと一緒にいたい。
何より、ディアボロ様ともっと一緒にいたい……。
そう強く思っていた。
でも、皇帝様にお断りしてしまっていいのだろうか。
直々のお願いを断るなんて、大変失礼なことかもしれない。
もしディアボロ様の評判も悪くなってしまったら……。
「陛下、少しよろしいでしょうか」
葛藤している心の中にディアボロ様の言葉が降ってきた。
ハッと隣を見る。
ディアボロ様は真剣な表情で皇帝様と向き合っていた。
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