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第61話:怖いものは何もない
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「ディアボロ様。ここに荷物があるのは間違いないと思います。闇魔法があふれていますので」
「ああ、これほど闇魔法が濃いのは私も初めて見るかもしれん。さて、慎重にドアを開けるぞ……<オープン>」
ディアボロ様が呪文を唱えると、扉がギィ……と開いた。
闇魔法が噴き出してきて、前も見えないほどだった。
「うっ……こ、こんなに闇魔法が増えているなんて……」
「おそらく、自動的に増えていく魔法がかけられているのかもしれない。かなりの禍々しさだ」
二人でゆっくりと足を踏み入れる。
そして、部屋の隅のテーブルにそれはあった。
何の変哲もない開かれたトランク。
だけど、他のどこにもないような特徴があった。
鞄の中から闇魔法が湧き水のようにあふれている。
「ディアボロ様! これが闇魔法の源です!」
「よし、キュリティ! 解呪を頼む!」
「はい! 任せてください!」
さっそく、鞄に手を置き魔力を注ぐ。
「くっ……!」
今までで、一番強力な闇魔法だ。
ペガサスのときより数段強い。
いくら魔力を注いでも全然消えていかない。
いや、違う。
解呪したそばから闇魔法が増えているんだ。
今まで解呪できなかったことはないけど、心の中に小さな不安が生まれる。
よ、弱気になってはダメ。
私が解呪できなければ、王宮は……王国は……私の大切な人たちが危険にさらされてしまう。
そう思ったとき。
「キュリティ、大丈夫だ。私がついている」
私の手にディアボロ様の手が重なった。
温かくて、私よりずっと大きな手だ。
ただそれだけで気持ちが落ち着いていく。
「君のすごさは、君が持っている勇気の強さは……誰よりも私がよく知っている。だから、大丈夫だ」
「……はい!」
そのたった一言で私の不安は打ち消された。
怖いものはもう何もないんだ。
そして、鞄から禍々しいオーラは完全に消え去った。
王宮を覆っていた黒いもやもキレイさっぱり無くなり平和が戻ってきたのだ。
外からみんなの声が聞こえてくる。
「やった! 闇魔法が消えていくぞ! き、奇跡だ!」
「し、信じられん! あんなに強力な闇魔法が……!」
「きっと、キュリティ様がやってくれたんだ! 帝国は救われたぞー!」
ディアボロ様がギュッと抱きついてきた。
「ディ、ディアボロ様……!?」
「良くやった! 良くやったぞ、キュリティ! 本当にありがとう! 君はこの国の救世主だ!」
「はい、ディアボロ様!」
優しくも力強い抱擁だ。
王宮が歓声に包まれる中、私たちはいつまでも抱き合っていた。
「ああ、これほど闇魔法が濃いのは私も初めて見るかもしれん。さて、慎重にドアを開けるぞ……<オープン>」
ディアボロ様が呪文を唱えると、扉がギィ……と開いた。
闇魔法が噴き出してきて、前も見えないほどだった。
「うっ……こ、こんなに闇魔法が増えているなんて……」
「おそらく、自動的に増えていく魔法がかけられているのかもしれない。かなりの禍々しさだ」
二人でゆっくりと足を踏み入れる。
そして、部屋の隅のテーブルにそれはあった。
何の変哲もない開かれたトランク。
だけど、他のどこにもないような特徴があった。
鞄の中から闇魔法が湧き水のようにあふれている。
「ディアボロ様! これが闇魔法の源です!」
「よし、キュリティ! 解呪を頼む!」
「はい! 任せてください!」
さっそく、鞄に手を置き魔力を注ぐ。
「くっ……!」
今までで、一番強力な闇魔法だ。
ペガサスのときより数段強い。
いくら魔力を注いでも全然消えていかない。
いや、違う。
解呪したそばから闇魔法が増えているんだ。
今まで解呪できなかったことはないけど、心の中に小さな不安が生まれる。
よ、弱気になってはダメ。
私が解呪できなければ、王宮は……王国は……私の大切な人たちが危険にさらされてしまう。
そう思ったとき。
「キュリティ、大丈夫だ。私がついている」
私の手にディアボロ様の手が重なった。
温かくて、私よりずっと大きな手だ。
ただそれだけで気持ちが落ち着いていく。
「君のすごさは、君が持っている勇気の強さは……誰よりも私がよく知っている。だから、大丈夫だ」
「……はい!」
そのたった一言で私の不安は打ち消された。
怖いものはもう何もないんだ。
そして、鞄から禍々しいオーラは完全に消え去った。
王宮を覆っていた黒いもやもキレイさっぱり無くなり平和が戻ってきたのだ。
外からみんなの声が聞こえてくる。
「やった! 闇魔法が消えていくぞ! き、奇跡だ!」
「し、信じられん! あんなに強力な闇魔法が……!」
「きっと、キュリティ様がやってくれたんだ! 帝国は救われたぞー!」
ディアボロ様がギュッと抱きついてきた。
「ディ、ディアボロ様……!?」
「良くやった! 良くやったぞ、キュリティ! 本当にありがとう! 君はこの国の救世主だ!」
「はい、ディアボロ様!」
優しくも力強い抱擁だ。
王宮が歓声に包まれる中、私たちはいつまでも抱き合っていた。
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