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第31話:行商人
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〔……おーい! 誰かいるラビかー!? いつの間に村ができたんだラビー!?〕
その声を聞いた瞬間、ネオンもブリジットもピクリと身体が動いた。
聞き馴染みのある声だったからだ。
「ね、ねえ、もしかして、あの人じゃないの? 早く、僕たちがいるってことを教えた方がいいよ」
「……仕方ありませんね、この話はまた後でみっちりさせていただきます」
ネオンは不満げなブリジットから解放され、領地の外に向かう。
来客の存在を感じ取り、他の領民も何事かと後をついてきた。
立ち並ぶ家々を通り抜けると、大きな鞄を背負った少女が開拓した地面を見て騒いでいる。 ただし、人間ではない。
頭からは二本の大きなウサミミが生え、顔もどことなく兎の面影が残る。
彼女は獣人でもとても珍しい、"兎人族"だった。
誰だかわかると、ネオンは笑顔で手を振る。
「やっぱり、ティアナさんだっ。飛び地で再会できるなんて……ティアナさーん!」
「私からしたら来なくていいのですけどね。女性ですし」
100mほど離れているのに、すぐに自分たちの声や足音を感知したらしく、耳を動かしこっちを見た。
ティアナはネオンに気づくとダッと駆け出し、加速して加速して、さらに加速して、猛スピードでこちらに走る。
「ティアナさん、お久しぶりで……うわっ!」
〔ネオン殿ー! まさか、こんなところで会えるとは思わなかったラビー!〕
勢いそのままに飛びつかれ、ネオンは地面に倒れ込んだ。
ティアナは信頼する人間に対してのスキンシップが激しく、いつも飛びついてくるのだ。
「ど、どいてくださいって」
〔いやいや、この奇跡的な再会を祝さないわけにはいかないラビよー!〕
ウサウサとハイテンションなティアナをどうにか離そうとしていたら、ひょいっと誰かに摘まみ上げられた。
……ブリジットだ。
恐れ多くて目を直視できない。
「……ネオン様から離れなさい」
〔ゲッ! 怖メイドも一緒ラビ!?〕
「……いてはいけませんか?」
瞳がギロンッとさらに厳しくなるのを見て、ティアナもネオンも悲鳴に近い叫び声を上げた。
〔ネオン殿、助けてラビ! 討伐されるラビー!〕
「お、落ちついて、ブリジット! お願いだから、剣を仕舞ってー!」
わいわいした騒ぎに、ルイザもベネロープもキアラも、他の領民もぽかんとするばかり。
必死に宥めることで、ようやく剣は鞘に収まってくれた。
一悶着の後、ティアナはブリジットから距離を取りながらネオンに話す。
〔それにしても、"捨てられ飛び地"がこんなに発展しているなんて、思いもしなかったラビ。立派な家もあるし、なんかすごい畑や水路まで……いったい何があったラビか?〕
「実は、僕は王国を追放されて、この飛び地の領主になったんです。【神器生成】というスキルを使って土地を耕し、家を建て、水路を作りました」
〔いぇぇぇえ~!? 詳しく聞かせてほしいラビ!〕
ネオンは事の経緯を詳細に伝える。
ティアナは終始、驚愕しながら聞いていた。
〔……そんなスキルがこの世にあるんラビね~。まぁ、ネオン殿の人柄を考えると、強いスキルを授けたくなる女神様の気持ちもわかるラビ。超大国も放っておかないんじゃないラビか?〕
「ええ、そのことですが……」
ネオンが立地上、超大国に目をつけられたくないという話をすると、ティアナは納得した。
〔了解ラビ。ネオン殿から許可を得るまでは、超大国には領地の話はしないラビ。こう見えても口は硬いラビからね〕
またもや得意げに胸を張るティアナを見て、ブリジットの表情がピキリと険しくなる。
「より確実に硬くなるよう、私が縫いつけて差し上げましょうか?」
〔ひぃぃぃ! ネオン殿、助けてラビー!〕
「ブリジット! お願いだから!」
必死に剣を仕舞ってもらうようお願いし、ティアナの口は守られた。
ネオンはこほんっと咳払いする。
「……ところで、ティアナさんはこの飛び地も旅しているんですか?」
〔そうなんだラビよ。超大国を周るには、飛び地を経由した方が早いラビからね〕
「えっ、でも、瘴気が……」
〔あちしは足が速いから、かっ飛ばせばダメージを受ける前に通過できるんラビ〕
ティアナは薄い胸を張りながら、得意げな表情で語る。
彼女が話すように"兎人族"は身体能力、特に脚力が強く、全力を出せば瘴気の影響を受けない範囲で飛び地を移動できたのだ。
そこまで聞いたところで、ネオンはずっと気になっていたことを話した。
至極、真面目な表情で。
「……王国との関係はどうですか?」
その声を聞いた瞬間、ネオンもブリジットもピクリと身体が動いた。
聞き馴染みのある声だったからだ。
「ね、ねえ、もしかして、あの人じゃないの? 早く、僕たちがいるってことを教えた方がいいよ」
「……仕方ありませんね、この話はまた後でみっちりさせていただきます」
ネオンは不満げなブリジットから解放され、領地の外に向かう。
来客の存在を感じ取り、他の領民も何事かと後をついてきた。
立ち並ぶ家々を通り抜けると、大きな鞄を背負った少女が開拓した地面を見て騒いでいる。 ただし、人間ではない。
頭からは二本の大きなウサミミが生え、顔もどことなく兎の面影が残る。
彼女は獣人でもとても珍しい、"兎人族"だった。
誰だかわかると、ネオンは笑顔で手を振る。
「やっぱり、ティアナさんだっ。飛び地で再会できるなんて……ティアナさーん!」
「私からしたら来なくていいのですけどね。女性ですし」
100mほど離れているのに、すぐに自分たちの声や足音を感知したらしく、耳を動かしこっちを見た。
ティアナはネオンに気づくとダッと駆け出し、加速して加速して、さらに加速して、猛スピードでこちらに走る。
「ティアナさん、お久しぶりで……うわっ!」
〔ネオン殿ー! まさか、こんなところで会えるとは思わなかったラビー!〕
勢いそのままに飛びつかれ、ネオンは地面に倒れ込んだ。
ティアナは信頼する人間に対してのスキンシップが激しく、いつも飛びついてくるのだ。
「ど、どいてくださいって」
〔いやいや、この奇跡的な再会を祝さないわけにはいかないラビよー!〕
ウサウサとハイテンションなティアナをどうにか離そうとしていたら、ひょいっと誰かに摘まみ上げられた。
……ブリジットだ。
恐れ多くて目を直視できない。
「……ネオン様から離れなさい」
〔ゲッ! 怖メイドも一緒ラビ!?〕
「……いてはいけませんか?」
瞳がギロンッとさらに厳しくなるのを見て、ティアナもネオンも悲鳴に近い叫び声を上げた。
〔ネオン殿、助けてラビ! 討伐されるラビー!〕
「お、落ちついて、ブリジット! お願いだから、剣を仕舞ってー!」
わいわいした騒ぎに、ルイザもベネロープもキアラも、他の領民もぽかんとするばかり。
必死に宥めることで、ようやく剣は鞘に収まってくれた。
一悶着の後、ティアナはブリジットから距離を取りながらネオンに話す。
〔それにしても、"捨てられ飛び地"がこんなに発展しているなんて、思いもしなかったラビ。立派な家もあるし、なんかすごい畑や水路まで……いったい何があったラビか?〕
「実は、僕は王国を追放されて、この飛び地の領主になったんです。【神器生成】というスキルを使って土地を耕し、家を建て、水路を作りました」
〔いぇぇぇえ~!? 詳しく聞かせてほしいラビ!〕
ネオンは事の経緯を詳細に伝える。
ティアナは終始、驚愕しながら聞いていた。
〔……そんなスキルがこの世にあるんラビね~。まぁ、ネオン殿の人柄を考えると、強いスキルを授けたくなる女神様の気持ちもわかるラビ。超大国も放っておかないんじゃないラビか?〕
「ええ、そのことですが……」
ネオンが立地上、超大国に目をつけられたくないという話をすると、ティアナは納得した。
〔了解ラビ。ネオン殿から許可を得るまでは、超大国には領地の話はしないラビ。こう見えても口は硬いラビからね〕
またもや得意げに胸を張るティアナを見て、ブリジットの表情がピキリと険しくなる。
「より確実に硬くなるよう、私が縫いつけて差し上げましょうか?」
〔ひぃぃぃ! ネオン殿、助けてラビー!〕
「ブリジット! お願いだから!」
必死に剣を仕舞ってもらうようお願いし、ティアナの口は守られた。
ネオンはこほんっと咳払いする。
「……ところで、ティアナさんはこの飛び地も旅しているんですか?」
〔そうなんだラビよ。超大国を周るには、飛び地を経由した方が早いラビからね〕
「えっ、でも、瘴気が……」
〔あちしは足が速いから、かっ飛ばせばダメージを受ける前に通過できるんラビ〕
ティアナは薄い胸を張りながら、得意げな表情で語る。
彼女が話すように"兎人族"は身体能力、特に脚力が強く、全力を出せば瘴気の影響を受けない範囲で飛び地を移動できたのだ。
そこまで聞いたところで、ネオンはずっと気になっていたことを話した。
至極、真面目な表情で。
「……王国との関係はどうですか?」
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