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第39話:エリクサーあげる
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行商人のティアナと再会してから、ネオンは領民とともに土地の開拓を広げつつ、"兎人族"の家を作る場所を検討する毎日だ。
今もブリジットとともに、領地の中を歩いていた。
「ティアナさんたちのお家はどこに作ろうかな~。結構人数が多いみたいだから、広いところがいいよね。一族みんなで一緒にいたいだろうし」
「端っこでよろしいかと。あの騒がしい商会長に、私たちの愛あふれる生活を邪魔させるわけにはいきません」
「何もしないと思うけど……」
「いいえ、気を抜くことはできません。商人相手に、油断も隙も禁物でございます。ただでさえ、隙あらばネオン様のお身体に触ろうとする不埒な者ですから」
ネオンとブリジットの家と領民たちの家は、微妙に離れている。
無論、領地が発展しても静かに愛を深めたいという彼女の希望であった。
ブリジットはなおもティアナの住居について計画を話す。
「少なくとも、私たちの家からは離れた場所にしましょう。いっそのこと、地下でもいいですね」
「い、いや、それはちょっとさすがに……」
可哀想だから、と言おうとしたとき、ルイザ、ベネロープ、そしてキアラがこちらに来た。
「ネオン、ちょっと頼みがあるんだが……」
「君にしか頼めないことがあってね……」
「お力を貸していただけないでしょうか……」
三人とも、やけに神妙な面持ちで話す。
「はい、何でしょうか。僕にできることでしたら何でも協力します」
「私も全面的に協力いたしますよ。領主の妻として、ネオン様の隣で」
そう答えると、ルイザ、ベネロープ、キアラは顔を見合わせる。
一瞬の後告げたのは、「<神恵のエリクサー>を作ってほしい」という旨の言葉だった。
緊張した様子のスパイ三人に対して、ネオンはサッと顔が青ざめる。
――エリクサーって、まさか……。
「どこか具合が悪いんですか!?」
「いや、違う!」
「違うんだ!」
「違います!」
心配したら、会話を被せるようにして勢いよく否定された。
じゃあ、どうして……と思ったとき、その疑問を感じ取ったようにスパイ三人は事情を話す。
「実は、帝国に残してきた大切な人がな、病気なんだ。ずっと肺が悪いらしい」
「実は、連邦にいる大切な人が具合悪くてね。ひどい目眩に襲われているんだ」
「実は、皇国の大切な人が体調を崩されておりまして。心臓が弱っているのです」
「「へぇ~、そんなことが……」」
スパイ三人は本国から指令を受けた後、それぞれネオンの元に向かった。
その過程でなぜか合流し、誰からともなく「本国にいる大切な人のために、エリクサーを作ってもらいたくて~」という話をし、「それなら一緒に頼みに行こう~」となり、今に至るのであった。
ネオンは体調は問題ないと聞きホッとするが、同時に彼女たちの背景に思いを馳せる。
「自分たちも難民で大変なのに本国に残してきた人を心配されるなんて、皆さんは本当にお優しい方々ですね」
笑顔で話すネオンに、スパイ三人は胸を打たれ、良心にダメージを受けた。
今もブリジットとともに、領地の中を歩いていた。
「ティアナさんたちのお家はどこに作ろうかな~。結構人数が多いみたいだから、広いところがいいよね。一族みんなで一緒にいたいだろうし」
「端っこでよろしいかと。あの騒がしい商会長に、私たちの愛あふれる生活を邪魔させるわけにはいきません」
「何もしないと思うけど……」
「いいえ、気を抜くことはできません。商人相手に、油断も隙も禁物でございます。ただでさえ、隙あらばネオン様のお身体に触ろうとする不埒な者ですから」
ネオンとブリジットの家と領民たちの家は、微妙に離れている。
無論、領地が発展しても静かに愛を深めたいという彼女の希望であった。
ブリジットはなおもティアナの住居について計画を話す。
「少なくとも、私たちの家からは離れた場所にしましょう。いっそのこと、地下でもいいですね」
「い、いや、それはちょっとさすがに……」
可哀想だから、と言おうとしたとき、ルイザ、ベネロープ、そしてキアラがこちらに来た。
「ネオン、ちょっと頼みがあるんだが……」
「君にしか頼めないことがあってね……」
「お力を貸していただけないでしょうか……」
三人とも、やけに神妙な面持ちで話す。
「はい、何でしょうか。僕にできることでしたら何でも協力します」
「私も全面的に協力いたしますよ。領主の妻として、ネオン様の隣で」
そう答えると、ルイザ、ベネロープ、キアラは顔を見合わせる。
一瞬の後告げたのは、「<神恵のエリクサー>を作ってほしい」という旨の言葉だった。
緊張した様子のスパイ三人に対して、ネオンはサッと顔が青ざめる。
――エリクサーって、まさか……。
「どこか具合が悪いんですか!?」
「いや、違う!」
「違うんだ!」
「違います!」
心配したら、会話を被せるようにして勢いよく否定された。
じゃあ、どうして……と思ったとき、その疑問を感じ取ったようにスパイ三人は事情を話す。
「実は、帝国に残してきた大切な人がな、病気なんだ。ずっと肺が悪いらしい」
「実は、連邦にいる大切な人が具合悪くてね。ひどい目眩に襲われているんだ」
「実は、皇国の大切な人が体調を崩されておりまして。心臓が弱っているのです」
「「へぇ~、そんなことが……」」
スパイ三人は本国から指令を受けた後、それぞれネオンの元に向かった。
その過程でなぜか合流し、誰からともなく「本国にいる大切な人のために、エリクサーを作ってもらいたくて~」という話をし、「それなら一緒に頼みに行こう~」となり、今に至るのであった。
ネオンは体調は問題ないと聞きホッとするが、同時に彼女たちの背景に思いを馳せる。
「自分たちも難民で大変なのに本国に残してきた人を心配されるなんて、皆さんは本当にお優しい方々ですね」
笑顔で話すネオンに、スパイ三人は胸を打たれ、良心にダメージを受けた。
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