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第63話:超大国たちの反応4②
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~カカフ連邦の場合~
時を同じくして、カカフ連邦。
国家元首たるガライアンとその娘アリエッタが、大総統室で"捨てられ飛び地"の一件を話し合っていた。
「……ねえ、お父様。ネオンちゃんはすっごく強いみたいですわよ~」
「神器を生み出すだけでなく戦闘能力も高いとは恐れ入った。いやはや、見事な少年だ」
連邦における"夜鴉の翼"の壊滅は、国内治安の最重要課題だった。
貴重な宝物や美術品の下に忍び寄っては、悉く盗み去って行く。
他国に渡られたら追跡が困難となり、非常に困っていた。
構成員には我が国の出身者もいるという話だから、下手をしたら国際問題にもなりかねない厄介な盗賊団だった。
ガライアンは遠い地で生きるネオンに、深い感謝の念を思いながら呟く。
「盗賊団と言えど、そう簡単に倒せる相手ではないだろうに。領民の統率力も優れているということだ。いつか、直接感謝の気持ちを伝えたい」
「感謝するのは他にもございますわね、お父様~。ネオンちゃんの功績は、連邦の正史に刻まれるべき偉業ですわ~」
「ああ、そうだな。この槍が戻ってきて本当によかった」
ガライアンとアリエッタは視線を机の上に向ける。
一番大きな執務机の上に、それは置かれていた。
国宝、<接死の必槍>。
2m近い巨大な槍は存在するだけで空気が重くなり、見るだけで貫かれる威圧感が周囲に迸る。
大陸を襲った巨大な魔龍の身体から作られたとされる槍。
これを手にした戦士は、一夜にして千体の魔物を屠ったという伝説があった。
大病が国内に蔓延し、混乱する最中に盗まれた至極の一品だ。
二人の心は喜びとネオンに対する感謝の意でいっぱいだったが、一通り喜ぶと強い怒りが沸々と沸いてきた。
我が国に連行された"夜鴉の翼"を厳しく尋問したところ、大変憤慨する事実が確認されたのだ。
「アルバティス王と王子たちが、ネオン少年を襲わせたらしいな……」
「ええ、あんな素晴らしい息子を殺そうとするなんて、何を考えているのでしょう~……」
ガライアンとアリエッタもまた、ネオンの命が脅かされたことに強い憤りを感じた。
((命の恩人になんてことをする))
二人の放った怒りは魔力の波動となり、堅牢な官邸をも揺らす。
建物全体はピシピシと揺れ、大総統室の窓ガラスは弾け飛ぶ。
宮殿内の人間は状況を理解し恐怖に震え、怒りの対象を憐れんだ。
ガライアンは憤怒を隠さぬ表情と声音で告げる。
「アリエッタ、外交官庁に伝えなさい。アルバティス王国に極めて重い制裁を下すと」
時を同じくして、カカフ連邦。
国家元首たるガライアンとその娘アリエッタが、大総統室で"捨てられ飛び地"の一件を話し合っていた。
「……ねえ、お父様。ネオンちゃんはすっごく強いみたいですわよ~」
「神器を生み出すだけでなく戦闘能力も高いとは恐れ入った。いやはや、見事な少年だ」
連邦における"夜鴉の翼"の壊滅は、国内治安の最重要課題だった。
貴重な宝物や美術品の下に忍び寄っては、悉く盗み去って行く。
他国に渡られたら追跡が困難となり、非常に困っていた。
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ガライアンは遠い地で生きるネオンに、深い感謝の念を思いながら呟く。
「盗賊団と言えど、そう簡単に倒せる相手ではないだろうに。領民の統率力も優れているということだ。いつか、直接感謝の気持ちを伝えたい」
「感謝するのは他にもございますわね、お父様~。ネオンちゃんの功績は、連邦の正史に刻まれるべき偉業ですわ~」
「ああ、そうだな。この槍が戻ってきて本当によかった」
ガライアンとアリエッタは視線を机の上に向ける。
一番大きな執務机の上に、それは置かれていた。
国宝、<接死の必槍>。
2m近い巨大な槍は存在するだけで空気が重くなり、見るだけで貫かれる威圧感が周囲に迸る。
大陸を襲った巨大な魔龍の身体から作られたとされる槍。
これを手にした戦士は、一夜にして千体の魔物を屠ったという伝説があった。
大病が国内に蔓延し、混乱する最中に盗まれた至極の一品だ。
二人の心は喜びとネオンに対する感謝の意でいっぱいだったが、一通り喜ぶと強い怒りが沸々と沸いてきた。
我が国に連行された"夜鴉の翼"を厳しく尋問したところ、大変憤慨する事実が確認されたのだ。
「アルバティス王と王子たちが、ネオン少年を襲わせたらしいな……」
「ええ、あんな素晴らしい息子を殺そうとするなんて、何を考えているのでしょう~……」
ガライアンとアリエッタもまた、ネオンの命が脅かされたことに強い憤りを感じた。
((命の恩人になんてことをする))
二人の放った怒りは魔力の波動となり、堅牢な官邸をも揺らす。
建物全体はピシピシと揺れ、大総統室の窓ガラスは弾け飛ぶ。
宮殿内の人間は状況を理解し恐怖に震え、怒りの対象を憐れんだ。
ガライアンは憤怒を隠さぬ表情と声音で告げる。
「アリエッタ、外交官庁に伝えなさい。アルバティス王国に極めて重い制裁を下すと」
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