弱国の転生王子は三大強国間の飛び地を神器生成スキルで世界最強領地にする~目立ちたくないのに、実は領民は強国のスパイで僕の活躍を国に報告してた

青空あかな

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第85話:褒美

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 □□□


 太陽が水平線にかかり始め、空が茜色に染まりつつある時分。
 夕暮れ時の飛び地では、すでに宴の準備が完了していた。
 国家元首たちの歓迎会より、何段階も豪華なものだ。
 畑は荒らされたもののテーブルには領地の保存食と、三大超大国から運搬された手土産から作られた豪勢な料理が並ぶ。
 各々に盃が行き渡ったのを確認し、ブリジットが代表して掲げた。

「では、ネオン様の功績を讃え、 ……乾杯!」
「『乾杯!』」

 盃がぶつかり、軽やかな音が響く。
 もちろんネオンは未成年なので、おいしいジュースを飲む。
 歓談が始まると、さっそくみながネオンの周りに集まった。
 次々と感謝の言葉を口にしては、崇め奉る。
 真っ先に最初にお礼を言うのはスパイ三人だ。

「何だかお礼を言ってばかりだが、改めて言わせてくれ。ありがとう、ネオン。お前はやっぱり凄いヤツだ」
「デビルピアを倒したときのネオン君は、まさしく勇者だったね。君のおかげで今のボクがいるよ。ありがとう」
「ネオンさんには数え切れないほど命を救われてしまいました。今はお礼しか言えませんが、いつか必ずお返ししますから」

 続けて、ジャンヌ率いる地底エルフとオモチ他ウニネコ妖精たち。

『妾が断言しよう。……ネオン、お前は強い! お前につくと決めた妾の目は間違っていなかったというわけじゃ』
『ネオンがいれば何も怖くないウニ! ネオンの隣こそが、世界で一番安全な場所ウニね』

 三大超大国の護衛部隊も感謝しきりで、みなの中からはネオンを救世主として讃える"ネオン教"とやらを設立する話まで出てきた。
「いや、何とも……」などと答える傍らでは、ブリジットが種々の料理を取り分けては大量の皿を並べ始める。

「さあ、どうぞ、ネオン様。こちらの 三大超大国の見事な名産品ばかりですね」
「う、うん、ありがとう……」

 タワーのようにそそり立つ料理を食べると、その見事な味わいに目を見張った。

 ――おいしいっ!

 領地での食事ももちろんのこと美味だが、そこはさすがに三大超大国と言えよう。
 諸々の料理を堪能しつつも、ネオンには心配事が一つあった。

 ――デビルピアの一件で、三大超大国の皆さんには僕のスキルを知られてしまったわけだけど……大丈夫かな……?

 "捨てられ飛び地"に来た頃を思い出す。
 当時は、三大超大国に目をつけられないよう力を隠して発展させるつもりだった。
 だが、今回国家元首たちは【神器生成】の力を目の当たりにした。
 "捨てられ飛び地"の扱いはどうなるのだろう、と思案するネオンに、グリゴリーもガライアンもバルトラスも穏やかな笑顔で語る。

「ネオン少年の功績は歴史に刻まねばなるまい。帝国民も貴殿の活躍を聞きたいはずだ」
「君の行いは、責任を持って未来永劫語り継いでいくよ。連邦……いや、全人類が知るべきた」
「お主と出会えたことは、一生涯忘れん。ワシと出会ってくれてありがとうの。老い先短い身じゃが、みなにお主の素晴らしさを伝えたい」

 国家元首たちの笑顔を見て、そんな心配は杞憂だと安心した。

 ――これからも領地の開拓を頑張らなきゃ。もっともっと……立派な土地にしよう。

 ネオンが決心したところで、三人はさて……とそれぞれの娘を己の前に出す。

「褒美と言っては何だが、娘との結婚を考えてみないか? 娘も貴殿との婚姻を望んでいる」
「君には娘も深く感謝しているよ。これも何かの縁だ。一緒に暮らしてはどうかな?」
「孫娘はお主のことが好きみたいでの。年齢も同じだし、良き関係になれると思うんじゃ」

 ――……おや? 話の様子が……?

 娘たちは三方向からネオンを囲む。

「ネオン君。私たちを救ってくれてありがとう。本当に感謝しているの。あなたの活躍を見て、私の夫になる人はネオン君しかいないと確信したわ」
「デビルピアを倒したとき、正直言って痺れたの~。まぁ、前から痺れていたけどね~。だから、ネオンちゃん、わたしと一緒に生きましょう~?」
「私……ネオン好き……」

 ライバル国に取られまいと、我先にとネオンに飛びつく。

「えっ! あ、いや、ちょっ……!」

 世界が羨む王女皇女に揉みくちゃにされる中、ブリジットが間に入った。
 そのまま、左手をそっと上げる。

「みなさま、こちらをご覧くださいませ」
「「そ、それは……!」」

 彼女の薬指に、全員の視線が集まる。
 ブリジットは一呼吸の後、淡々としかしやけに良く通る声で告げた。

「ネオン様との結婚指輪でございます。先ほども申し上げましたが、ネオン様は私の夫でいらっしゃいますので、どうぞお忘れなく」
「「ぐぎぎ……!」」

 娘たちの歯軋りが響く。
 すでに先約がいたことに対し、各国家元首はさすがに気持ちを抑えたが微妙な悔し顔となって滲み出た。
 とはいえ、次の瞬間にはみな表情が和らぎ、盃を掲げる。
 
「「我らがネオン・アルバティスに…………栄光あれー!」」

 みなの笑顔と明るい声、それが何よりの褒美であった。
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