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第92話:建国
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広場に集まった領民の前で、ネオンは踏み台に乗る。
思いの外たくさんの視線を感じて、ゴクリと唾を飲む。
昨日あんなに練習したのに、たちまち緊張してきた。
こほんっと軽く咳をして話し出す。
「え、え~と……今日は晴れです」
「「そんなこと知っていますよ、ネオン様ー!」」
たどたどしく言うと、領民から明るい声が飛んできた。
今行われているのは……建国式だ。
ネオンが深呼吸を繰り返していると、最近の出来事が思い出された。
デビルピアを倒してからすぐに、アルバディス王国より"捨てられ飛び地"の建国を推薦推奨する手紙が届いた。
しかも、送り主は……。
――ニコラス兄さんが留学から帰っていたなんて……!
あの第一王子だった。
ネオンは大好きな兄の帰国を、ブリジットと一緒に喜んだ。
手紙には、父親と双子兄の監獄行きになった末路も記されていた。
自分に対する不当な扱いや亜人及び国民への圧政、さらには魔神デビルピアの復活など、償わなければならない罪がたくさんあるので、致し方ないと思う。
建国の件などは、時期を見て三大超大国にも伝えるつもりだ。
深呼吸を繰り返したネオンは、徐々に気持ちが落ち着いてきたのを感じた。
踏み台の眼下には豊かに発展した土地が広がり、ブリジット、ルイザ、ベネロープ、キアラ、たくさんの領民、ジャンヌに地底エルフ、オモチとウニ猫妖精たちがいる。
飛び地を訪れたときからは考えられない光景だった。
自分の大切な領民をこれからも導き、守ることを決意し、ネオンは力強く拳を突き上げた。
「今ここに、"捨てられ飛び地"改めネオン王国の建国を宣言します」
「「おおおーっ! ネオン様ー!」」
ネオンの宣言に、領民の大歓声が上がる。
地鳴りの如く喝采が響き、ジャンヌとオモチの笑顔が見えた。
『よくやったぞ、ネオン! 王こそ、お前にふさわしい立場じゃー!』
『王様なんてすごいウニー! カッコいいウニよー!』
スパイ三人もまた、拍手を送りながらネオンに歓声を飛ばす。
「ネオン、お前は本当にすごいヤツだ! 今ここに新しい歴史が始まるんだな!」
「領主より王様の方が似合っているよ!」
「これからもわたくしたちをお導きくださいませ!」
彼女たちの任務はまだ継続している。
国家元首から、引き続きネオンの傍で情報収集及び本国へのそれとない勧誘を進めるよう内密に命じられた。
今や一国の主にまでなったネオンに隠し事があることが、やはりどこか寂しくて辛い。
それでも……。
((いつの日か、自分の正体を明かせる日はきっと来るはずだ))
そう、三人は強く確信していた。
建国式は滞りなく終わり踏み台から降りたところで、ブリジットがネオンの手を握った。
「ネオン様、いつにも増して素敵でございます。王として認められるなんて、感激で胸がいっぱいになります」
「ありがとう……これも王宮からついてきてくれたブリジットのおかげだよ」
二人が微笑み合ったところで、領地の外が騒がしくなった。
王国の方角から、兎の耳を持った集団が懸けていた。
一番前を歩く女性が、ブンブンッと手を振る。
〔おーい、ネオン殿ー! すっかり遅くなってしまったラビー!〕
「ティアナさん!」
"兎獣人"の集団だ。
少なくとも百人ほどはいる様子がわかった。
ブリジットの顔が硬くなる中、さらに青系の人々が歩いてくるのが見えた。
こちらもまた、先頭の女性が大きく手を振る。
『ネオン殿ちゃんさん君様~! お久しぶりでございますー!』
「リロイさん!」
今度はウンディーネの一団だ。
"兎獣人"に勝るとも劣らない人数が、小走りで駆けてくる。
瞬く間に、ネオンは女性比率が高い二つの一族に囲まれてしまった。
〔一族総出でご厄介になるラビ!〕
『少し見ない間にさらに発展してますね! さすがでございます!』
「あ、あの、ちょっ……!」
揉みくちゃにされていると、ブリジットが守るように立ちはだかった。
「よろしいですか? ネオン様にそんなにくっついてはなりません。なぜなら、ネオン様は私の夫で……だから、離れなさいーっ」
領地はわいわいとした歓声で包まれ、騒がしくもたくさんの楽しそうなブリジットや領民たちを見て、ネオンは静かに思う。
――みんながいて……本当によかった。
ネオンの楽しい日々に、終わりはない。
思いの外たくさんの視線を感じて、ゴクリと唾を飲む。
昨日あんなに練習したのに、たちまち緊張してきた。
こほんっと軽く咳をして話し出す。
「え、え~と……今日は晴れです」
「「そんなこと知っていますよ、ネオン様ー!」」
たどたどしく言うと、領民から明るい声が飛んできた。
今行われているのは……建国式だ。
ネオンが深呼吸を繰り返していると、最近の出来事が思い出された。
デビルピアを倒してからすぐに、アルバディス王国より"捨てられ飛び地"の建国を推薦推奨する手紙が届いた。
しかも、送り主は……。
――ニコラス兄さんが留学から帰っていたなんて……!
あの第一王子だった。
ネオンは大好きな兄の帰国を、ブリジットと一緒に喜んだ。
手紙には、父親と双子兄の監獄行きになった末路も記されていた。
自分に対する不当な扱いや亜人及び国民への圧政、さらには魔神デビルピアの復活など、償わなければならない罪がたくさんあるので、致し方ないと思う。
建国の件などは、時期を見て三大超大国にも伝えるつもりだ。
深呼吸を繰り返したネオンは、徐々に気持ちが落ち着いてきたのを感じた。
踏み台の眼下には豊かに発展した土地が広がり、ブリジット、ルイザ、ベネロープ、キアラ、たくさんの領民、ジャンヌに地底エルフ、オモチとウニ猫妖精たちがいる。
飛び地を訪れたときからは考えられない光景だった。
自分の大切な領民をこれからも導き、守ることを決意し、ネオンは力強く拳を突き上げた。
「今ここに、"捨てられ飛び地"改めネオン王国の建国を宣言します」
「「おおおーっ! ネオン様ー!」」
ネオンの宣言に、領民の大歓声が上がる。
地鳴りの如く喝采が響き、ジャンヌとオモチの笑顔が見えた。
『よくやったぞ、ネオン! 王こそ、お前にふさわしい立場じゃー!』
『王様なんてすごいウニー! カッコいいウニよー!』
スパイ三人もまた、拍手を送りながらネオンに歓声を飛ばす。
「ネオン、お前は本当にすごいヤツだ! 今ここに新しい歴史が始まるんだな!」
「領主より王様の方が似合っているよ!」
「これからもわたくしたちをお導きくださいませ!」
彼女たちの任務はまだ継続している。
国家元首から、引き続きネオンの傍で情報収集及び本国へのそれとない勧誘を進めるよう内密に命じられた。
今や一国の主にまでなったネオンに隠し事があることが、やはりどこか寂しくて辛い。
それでも……。
((いつの日か、自分の正体を明かせる日はきっと来るはずだ))
そう、三人は強く確信していた。
建国式は滞りなく終わり踏み台から降りたところで、ブリジットがネオンの手を握った。
「ネオン様、いつにも増して素敵でございます。王として認められるなんて、感激で胸がいっぱいになります」
「ありがとう……これも王宮からついてきてくれたブリジットのおかげだよ」
二人が微笑み合ったところで、領地の外が騒がしくなった。
王国の方角から、兎の耳を持った集団が懸けていた。
一番前を歩く女性が、ブンブンッと手を振る。
〔おーい、ネオン殿ー! すっかり遅くなってしまったラビー!〕
「ティアナさん!」
"兎獣人"の集団だ。
少なくとも百人ほどはいる様子がわかった。
ブリジットの顔が硬くなる中、さらに青系の人々が歩いてくるのが見えた。
こちらもまた、先頭の女性が大きく手を振る。
『ネオン殿ちゃんさん君様~! お久しぶりでございますー!』
「リロイさん!」
今度はウンディーネの一団だ。
"兎獣人"に勝るとも劣らない人数が、小走りで駆けてくる。
瞬く間に、ネオンは女性比率が高い二つの一族に囲まれてしまった。
〔一族総出でご厄介になるラビ!〕
『少し見ない間にさらに発展してますね! さすがでございます!』
「あ、あの、ちょっ……!」
揉みくちゃにされていると、ブリジットが守るように立ちはだかった。
「よろしいですか? ネオン様にそんなにくっついてはなりません。なぜなら、ネオン様は私の夫で……だから、離れなさいーっ」
領地はわいわいとした歓声で包まれ、騒がしくもたくさんの楽しそうなブリジットや領民たちを見て、ネオンは静かに思う。
――みんながいて……本当によかった。
ネオンの楽しい日々に、終わりはない。
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