弱国の転生王子は三大強国間の飛び地を神器生成スキルで世界最強領地にする~目立ちたくないのに、実は領民は強国のスパイで僕の活躍を国に報告してた

青空あかな

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第93話:超大国の反応6①

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 "捨てられ飛び地"がネオン王国と名を変えてから少しして。
 建国を知らせる文書が、三大超大国の下に届いた。


 ◆◆◆


 ~エルストメルガ帝国の場合~

「……おお~、ネオン少年はいつ見ても可愛いな~」

 "帝王の間"に、壮年男性のデレた声が響く。
 国の最高権力者たるグリゴリーは、お土産に貰ったネオングッズに夢中の日々だ。
 特に、ぬいぐるみのデザインと手触りにすっかり虜になっていた。
 愛でては撫で、愛でては撫でていると、背後から少女の声に突き刺された。

「……パパ?」
「ぬわぁっ!」

 心臓が跳ね上がる。
 熱中しすぎて、娘が入室したことにまったく気づかなかった。
 シャルロットは父が大事そうに握り締めるネオンのぬいぐるみを見ると、ジトッとした視線を送る。

「いくらネオン君が好きでも、公務に持ち込むのはどうかと思うわ。子どもじゃあるまいし」
「別にこれくらいいいであろう。お前だって、毎晩ネオン少年のぬいぐるみを抱き締めて寝ておるではないか」
「それはネオン君と一緒にいられる良い夢が見られるからで……ちょっとまって」

 グリゴリーの言葉を受け、シャルロットの表情はみるみるうちに硬くなった。

「就寝中、勝手に入ったってこと!?」
「い、いや、違うんだ。寝ぼけて部屋を間違えてだな……」
「鍵変えるわよ!」
「こら! 朕を拒絶するでない! 朕たちは仲が良い……そうだろう!?」

 静粛な"帝王の間"に親子喧嘩が迸る。
 二人の大声は外の廊下まで響くが、使用人たちは特に反応しない。
 仲が良い故の喧嘩であり、いつものことであったから。
 しばし罵り合った後、シャルロットが咳払いして本題を述べる。

「……こほんっ。ところで、ネオン君からお手紙が届いたわ。ルイザ経由ではなく、正式な外交文書としてね。パパが先に見てちょうだい」
「うむ、了解した。丁重に読ませてもらおう」

 グリゴリーはネオンの手紙を受け取ると、ペーパーナイフで丁寧に切り開封する。
 覗き込むシャルロットとともに内容を読んでいくうち、二人の顔は徐々に綻び、やがて満面の笑みとなった。

「「ネオン王国の建国!」」

 "捨てられ飛び地"は、アルバティス王国からも独立した一国となった旨が記されている。
 ネオンの頑張りをルイザ経由で聞いていた二人は、まるで自分のことのように嬉しかった。
「これは誠にめでたい。ネオン少年はただの領主ではもったいないと、朕も強く思っていた」
「パパ、ネオン君とさっそく友好条約を結びましょうよ。押しかけてばかりだと迷惑でしょうから、今度は帝国に招待しない?」
「うむ、賛成だ。朕らが受けたおもてなしを、何倍にもして返そうではないか」

 二人が友好条約及びネオンの歓迎式典について計画を練り始めると、扉をノックする音が響いた。

「おっと、誰かな……入りたまえ。鍵は開いているぞ」

 グリゴリーが応えると、背の高い女性が入室した。
 青い髪と青い目が凜々しい印象だ。
 玉座の前に跪き、要件を伝える。

「呪念花の駆除でございますが……進捗は芳しくありません。夜を徹して作業しておりますが、駆除範囲は未だ二割ほどに留まっております」
「ふむ、さようか。今年の型はなかなかの難敵と見える」
「申し訳ありません」
「謝る必要はない。お主はよくやってくれている。ただし、お主も部下も適度に休むようにな。身体を壊してしまっては元も子もないぞ」

 グリゴリーの言葉に対し、悔しげに唇を噛む。
 彼女の名はタイガル。
 帝国は毎年この時期になると、呪念花と呼ばれる厄介な植物の繁茂に頭を悩ませていた。
 体調不良や悪夢などの呪いを周囲に振りまく、害のある植物だ。
 タイガルは名のある植物薬師として毎年駆除部隊を率い、呪念花の撲滅に取り組んでいた。 彼女の作る除草ポーションは極めて効力が高いが、今年の型は変異種であり、対応に苦慮しているのだ。
 周辺住民の被害を考えると、駆除作戦が難航する現状にグリゴリーも頭を悩ませていた。

「最悪、他国にいる朕の知人に支援を頼むこともできるが……」
「いいえ、なりません! 私にお任せください! 必ずやこの帝国の地から消し去ってみせますゆえ!」

 タイガルはプライドが高い……というより、任務に対する意識が高かった。

(其が絶対に全て駆除する)

 と誓い、力強く"帝王の間"を後にした。
 静寂が戻った室内で、グリゴリーは玉座に座り直しながら語る。

「問題と言えば……。呪念花以外にも、もう一つ大きな難題があるが……」
「……亜人統一連盟ね」

 現在、三大超大国含め大陸の各国で、亜人による人間への襲撃事件――いわゆるテロ活動が撃増していた。
 原因は一部の人間による、亜人に対する排他的な態度。
 グリゴリーやシャルロットは好意的に接してきたが、国民全てがそうとは言えないのだ。
 連盟は亜人が独自に持つネットワークで密接に繋がり、急速に規模を拡大し、国や種族を超えた一団を形成しつつある。
 一瞬、地底エルフなどの亜人と仲良く暮らすネオンの姿が思い浮かんだが、すぐに首を振って打ち消す。

「……いや、ネオン少年ばかりに頼るわけにもいかんな。自国の問題は自国で解決せねば」
「ええ、もし帝国来てくれるなら、亜人のみなさんと仲良くなれるコツを聞く程度にしましょう」

 グリゴリーとシャルロットは気持ちを新たに、ネオン歓迎の準備を始めた。
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