無能テイマーと追放されたが、無生物をテイムしたら擬人化した世界最強のヒロインたちに愛されてるので幸せです

青空あかな

文字の大きさ
11 / 41

第11話:ダンジョンテイム

しおりを挟む
 俺の魔力は核の中にどんどん吸い込まれていく。
 魔力が渦巻いているようで、とても不思議な光景だった。

「こんな感じで良いのかな……?」
〔その調子ですよ、マスター!〕

 突然、ダンジョンが軋み始めた。
 パラパラと欠片が降る。

「な、なんだ!? ダンジョンが壊れそうだ……!」
〔もうちょっとです! このまま続けてください!〕

 コシーに言われるまま、俺はさらに魔力を注いだ。
 直後、ダンジョンが核に向かって吸い込まれていった。
 壁、天井、床、空になったアイテムボックス、あらゆるものが核に吸収されていく。
 地面もグニャグニャして、まともに立っていられない。

「コシー、俺に捕まって!」
〔マスター!〕

 コシーを抱えて、この現象が落ち着くまで必死に耐える。
 間もなく、ダンジョンは完全に消え去ってしまった。
 見渡すと“宵闇森林”が広がる。
 地下にいたはずなのに地上にいた。
 ダンジョンの核だけはふわふわと目の前で浮く。
 いったい、どうなったんだ……。
 と、思った瞬間、白い煙が巻き起こる。
 コシーをテイムしたときと同じだ。

「な、なにが起きているんだ……」
〔テイムが成功したのです。……かつてないほどのとてつもなく強い魔力を感じますね〕

 俺たちは緊張して煙が消えるのを待つ。
 煙の中からは女の子の眠そうな声が聞こえた。

〔ふわぁぁあ〕
〔マスター、あそこを見てください!〕

 煙に紛れて、人間のようなシルエットが見える。
 口に手を当ててあくびをしているようだ。

「う、上手くいったのか……?」
〔た、たぶん……〕

 人影はゆっくりとこちらに近づく。
 俺は緊張して生唾を飲み込んだ。
 なにせ、相手はSランクダンジョンだ。
 テイムが成功したとしても、大変に怖い子に違いない。
 煙が完全に消え去ったとき、目の前にその少女はいた。

〔こんにちは、私はエイメス。あなたがアイトね?〕

 ひょうし抜けするような可愛い女の子だ。
 眉毛あたりで切りそろえた黒くて長い髪、そこはかとなく漂う清楚な雰囲気、ジッと俺を見つめる瞳、そして、大きめな胸……ゲフン。

 ――ほとんど、人間の女の子だ。

 コシーと違い、彼女は普通の人間と変わらない見た目だった。
 小さくなったダンジョンの核をペンダントのようにかけている。
 この子は昔、Sランクダンジョンでした! なんて言っても信じる人はいないだろう。

「は、初めましてだな。俺はアイト・メニエン。君は……Sランクダンジョンの女の子だよね?」
〔うん、そうだよ!〕

 ニッコリした笑顔が癒される。
 俺はさっき心配したことが急激に恥ずかしくなった。
 なんて眩しく笑うんだ。
 まるで太陽じゃないか。
 怖いなんて思って申し訳なかったな。
 こんな良い子なのに……。
 コシーも胸ポケットから顔を出す。

〔初めまして、私はコシーと言います。私もマスターにテイムされて……〕

 さっきまで明るい笑顔だったのに、コシーを見たとたんエイメスの顔から笑顔が消えた。

〔あなた、誰?〕

 太陽のような輝きは消え、悪魔も逃げ出すような凄まじい形相だ。
 俺はすでに背筋が凍るようだった。
 さすがのコシーもたじろいでいる。

〔わ、私はコシーと言いまして、マスターにテイムされ……〕
〔アイトは私の物だよ?〕

 エイメスの目から光は完全に消え身震いするほど怖い。
 俺とコシーはもうどうすればいいのかわからない。

「〔いや、あの……まずは話を……〕」
〔アイトは私の物……アイトは私の物……〕

 エイメスがぼそぼそと呟くと、彼女の体を激しい稲妻がまとい始めた。
 そ、そうか……彼女は元Sランクダンジョンだ。
 俺たちを攻撃した雷の罠魔法が思い出される。
 あんなものを喰らったらひとたまりもない……。

「エ、エイメスッ! 落ち着いて! コシーは俺の大切な仲間だよ!」
〔アイトの大切な……仲間?〕
「そう! 大切な仲間!」

 必死の思いで言うと、エイメスの雷は少しずつ収まる。
 た、頼む……!
 このまま落ち着いてくれ……!

〔……仲間ならいっかぁ!〕

 祈りが通じたのか、エイメスの目に光が戻る。
 先ほどの太陽みたいな笑顔になってくれ、俺とコシーは心の底からホッとする。

〔二人ともどうしたの? さぁ、早く帰ろうよ!〕

 エイメスに強い力で腕を掴まれる。
 肉に食い込む彼女の指を感じていると、ふと思った。
 単純な事実を。

 ――も、もしかして、彼女はヤ……。

 引き摺られるようにして、俺たちはギルドへ戻っていった。


□□□


 その後、エイメスからどれだけ俺のことが好きか、という話を延々と聞かされ(ありがたいのだが……)、俺たち三人は冒険者ギルド“鳴り響く猟団”に帰った。

「お、アイトじゃないか。早かったな……って、その可愛い子は誰だ?」

 早速ケビンさんが出迎えてくれた。
 ギルドに入るや否や、周りの冒険者が俺たちをチラチラと見る。

「おい、みんな、アイトだぞ」
「あの娘可愛いな。アイトの女か?」
「くっそー、俺もあんな彼女が欲しいよ」

 みな、エイメスのことが気になっているようだ。
 まぁ、とても可愛い女の子だからな。

「じ、実は、説明しにくいのですが……Sランクダンジョンをテイムできたんです。この子はエイメスと言って、元ダンジョンだった女の子です」
〔初めまして、エイメスだよ〕

 エイメスはニコニコと笑って挨拶する。
 彼女の反応を見て、俺とコシーはそっと安心した。

「な、なに!? ダンジョンをテイムしたのか!? そんなことあり得るのか!?」

 ケビンさんは見たこともないほどの驚いた顔だ。
 しきりに俺と、エイメスの顔を交互に見る。

「はい。ダンジョンの核に魔力を込めたらテイムできました。そして、その後なぜか女の子になって……」

 テイムした時の状況を簡単に説明する。

「……まさか、そんなことができるなんてなぁ。アイト、お前は天才かもしれんぞ」
「いや、天才だなんて、大げさですよ」

 またもやケビンさんに褒められて、俺は嬉しくなる。
 知らぬ間に冒険者たちも集まっていた。

「アイト! お前ダンジョンなんて、テイムできんのかよ! すげえな!」
「しかも、こんな可愛い女の子にしやがって! 羨ましいぜ、この野郎!」
「なぁ、今度テイムするとこ見せてくれよ!」

 みんな集まり、俺を中心に盛り上がる。
 今までこんなことはなかったな。
 少しずつ自分と大事な仲間たちが認められているようで嬉しくなる。

「アイトさん、お帰りなさい! 無事にオークは討伐できましたか?」
「あっ、サイシャさん。ええ、おかげさまで討伐できましたよ」

 和気あいあいとしていると、サイシャさんがやってきた。
 俺を見て嬉しそうに話す。
 いやぁ、サイシャさんとお喋りするのは楽しいな~。
 ワイワイと話していると、パチッと何かが弾けるような音が聞こえた。
 そう、まるで雷が弾けるような……。

〔あなた、誰? もしかして、アイトと……〕

 振り向くと、エイメスが稲妻を出していた。
 サイシャさんたち一同は大変に驚く。
 ここで彼女が稲妻攻撃を出したら、それこそ大惨事になってしまう。
 なぜなら、元Sランクダンジョンなのだから。

「エ、エイメス! ちょっと待って! この人はサイシャさん! ギルドの受付嬢で色々助けてくれる、とても良い人なんだ! 別に付き合ったりしてないからね! そ、そうですよね? サイシャさん!?」
「え? あ、そ、そうですね! 私はアイトさんは付き合っていませんよ!(……まだ)」

 俺とサイシャさんの必死の叫びを聞き、エイメスの稲妻は徐々に収まる。
 目にも光が戻り、ぱぁっとした笑顔になった。

〔そっかぁ、受付嬢さんかぁ〕

 機嫌を直してくれ、俺たちはホッと一息つく。
 サイシャさんたちも彼女がどういう子がわかったようだ。

 
 後日、ギルドのみんなとSランクダンジョン“稲光の大迷宮”の跡地に行った。
 ダンジョンは完全に消え去っていて、その痕跡すらまったくなかった。
 でも、オークの死骸は変わらずに転がっていた。
 エイメス曰く、〔オークは私の一部じゃない〕とのことだった。

「アイト! 俺はお前が何と言おうと、ギルドのエースとして認めるからな!」
「え!」

 ケビンさんは興奮した様子で勝手に決めてしまった。
 マ、マジかよ、俺がエース?

「そうだよ! こんなことできるのお前しかいねえよ!」
「エースの座は俺が狙ってたのによぉ!」
「ま、アイトなら反対する奴いねえわな!」

 満場一致で、その日から俺は“ギルドのエース”と呼ばれるようになった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【鑑定不能】と捨てられた俺、実は《概念創造》スキルで万物創成!辺境で最強領主に成り上がる。

夏見ナイ
ファンタジー
伯爵家の三男リアムは【鑑定不能】スキル故に「無能」と追放され、辺境に捨てられた。だが、彼が覚醒させたのは神すら解析不能なユニークスキル《概念創造》! 認識した「概念」を現実に創造できる規格外の力で、リアムは快適な拠点、豊かな食料、忠実なゴーレムを生み出す。傷ついたエルフの少女ルナを救い、彼女と共に未開の地を開拓。やがて獣人ミリア、元貴族令嬢セレスなど訳ありの仲間が集い、小さな村は驚異的に発展していく。一方、リアムを捨てた王国や実家は衰退し、彼の力を奪おうと画策するが…? 無能と蔑まれた少年が最強スキルで理想郷を築き、自分を陥れた者たちに鉄槌を下す、爽快成り上がりファンタジー!

さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。

ヒツキノドカ
ファンタジー
 誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。  そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。  しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。  身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。  そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。  姿は美しい白髪の少女に。  伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。  最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。 ーーーーーー ーーー 閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります! ※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~

空月そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」 「何てことなの……」 「全く期待はずれだ」 私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。 このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。 そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。 だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。 そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。 そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど? 私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。 私は最高の仲間と最強を目指すから。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる

静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】 【複数サイトでランキング入り】 追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語 主人公フライ。 仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。 フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。 外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。 しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。 そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。 「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」 最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。 仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。 そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。 そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。 一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。 イラスト 卯月凪沙様より

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様

コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」  ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。  幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。  早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると―― 「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」  やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。  一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、 「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」  悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。  なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?  でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。  というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!

処理中です...