無能テイマーと追放されたが、無生物をテイムしたら擬人化した世界最強のヒロインたちに愛されてるので幸せです

青空あかな

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第22話:森の奥

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 翌日、俺たちはエイメスの稲妻ドラゴンに乗って、森の上を飛んでいた。
 すでにコシーは大きくしているので、昨日よりぎゅうぎゅうだ。
 地図を見るとちょうどこの辺りだとわかる。

「……そろそろ、森に降りようか。後は地上で探した方が良さそうだ」
〔ええ、私も賛成です〕
〔りょうか~い。ちょっと待ってて〕

 稲妻ドラゴンはゆっくり降りて(エイメス曰く急ぎじゃないから)、俺たちは森の中に降り立った。
 地図をよく見ながら北に向かって歩く。
 グリズリーの巣は森の北部にあるようだ。
 三十分ほど歩くも、まだグリズリーの姿は見えなかった。
 彼らは強いし凶暴なので、注意して進まなければならない。

〔グリズリーは全部で何匹くらいいるのでしょうか〕
「マーヨーさんたちは10匹はいるらしい、って言っていたね」
〔何匹いても別に変わらないんだけどね~〕

 さっきからエイメスは、花を摘んだりしながら歩いている。
 余裕も余裕だった。
 森を歩く中、何かがバサバサと飛ぶ音が聞こえた。
 ん? 何だろうな?
 俺は空を見上げる。

「あ、あれは!?」
〔マスター!〕

 上空にはゴールデンドラゴンが飛んでいた。
 獲物でも探しているのか、森を注意深く睨む。
 俺とコシーは慌てて隠れるも、エイメスはルンルンと花を摘んでいた。

「エイメス、早く隠れないと!」
〔見つかってしまいますよ!〕
〔あんなヤツ大したことないって~〕

 コシーと二人でエイメスを花から引き剥がしていると、ゴールデンドラゴンはどこかに飛び去ってしまった。
 俺たちには気づかなかったらしい。
 ホッとしていたら、今度は森の奥からモンスターの咆哮が轟いた。

『『ガアアアッ!』』

 あろうことか、何匹ものグリズリーが走ってきた。
 ざっと見ただけで10匹近くはいる。
 おそらく、これがカズシナ村を襲っているグリズリーの群れだ。
 知らないうちに、縄張りの中へ入ってしまったのだろうか。

「……ここでグリズリーか。迎え撃つぞ、二人とも!」
〔了解です!〕

 俺とコシーは急いで剣を抜き、迎撃態勢を整えた。
 相手がどれだけ強くても、みんなで力を合わせれば勝てるはずだ。

〔二人とも大丈夫だよ。すぐ終わるからね〕
「〔え?〕」

 迎え撃つ気満々でいたら、エイメスが静かに俺たちの前に出た。
 片手をグリズリーに向けると、もの凄い勢いで雷の矢が何本も放たれる。
 稲妻は頭部や胸部など急所を確実に撃ち抜く。
(元)Sランクダンジョンの無慈悲な攻撃だ。
 あらがう術はない……。
 そう思ったところで、大事なことに気づいた。

「ちょ、ちょっと待って、エイメス!」
〔なに?〕

 エイメスは俺を見ながらも、簡単にグリズリーを倒してしまう。
 逃げるグリズリーも稲妻が追いかけ消し炭に帰る。

「できれば、一匹くらいは残しておいてくれないかな?」

 カズシナ村に来てから、エイメスに頼りっぱなしだ。
 やっぱり、俺が一匹も倒さないのは少々気が引ける。
 エイメスは不満そうな顔を向ける。

〔えぇ~、アイトが戦う必要はないのに〕
「ほら、ケビンさんも言ってたでしょ? 冒険者ランクを上げるには、身体能力も鍛える必要があるって」
〔そういえば、そんなこと言ってたね〕

 せっかく、ここまで来たのだ。
 もっと頑張っていけば、いずれはSランクにだってなれるかもしれない。

「モンスターを倒せば、冒険者ランクだって上がるはずさ。グリズリーはAランクだけど、俺だってコシーと修行してきたんだ。グリズリーを倒して見せるよ」
〔マスター、私も一緒に戦います。ともに倒しましょう〕
〔まぁ、そういうことなら……。でも、アイトが傷つくようなことがあったら、すぐに私が戦うからね〕

 いつの間にか、エイメスの目から光が消えている。
 森の中は稲妻で明るいのに、彼女の瞳は漆黒の闇のように暗いのは不思議だね。

「う、うん」
〔わ、わかりました〕

 稲妻攻撃が止んだ。
 グリズリーはきっちり一匹だけ残っている。
 15mほど離れた場所だ。

『グウウウ!』

 グリズリーは俺たちを見ると、即座に戦闘態勢に入った。
 俺もすぐに剣を構える。
 それを合図にしたかのように、勢いよく飛びかかってきた。
 猛然と駆けるスピードは、スライムやゴブリンなどまるで比較にならない。
 俺たちの間合いに入ると、強靭な爪を振り下ろした。

『ガアアッ!』
「くっ……!」

 俺は剣でグリズリーの一撃を必死に受け止める。
 ジリジリと爪が迫る。

 ――お、重い! だが、これくらいなら!

 剣を思いっきり振り抜いたら、全身の力を使って弾き返すことができた。
 よし、訓練のおかげだぞ!
 剣術の修行だけじゃなく、筋力トレーニングや走り込みなどもしっかりやってきた。
 以前の俺なら、今の一撃で倒されてしまっていただろう。

〔お見事です、マスター!〕
「いや、コシーたちのおかげだよ!」

 予想外の反撃だったのか、グリズリーは俺たちから距離をとった。
 円を描くように歩いて、こちらの出方を伺っている。

〔マスター、私が隙を作ります! 私に続いてください!〕
「わかった!」

 コシーがグリズリーに向かって走り、あっという間にグリズリーの間合いに入った。

『ガアア!』

 コシーは爪攻撃を紙一重で躱す。
 背中側に移動すると、即座に足首を斬った。
 グリズリーがバランスを崩す。

〔今です、マスター! 急所の首を!〕
「よし! ……くらえっ!」

 俺はグリズリーに駆け寄ると、力の限り剣を振り下ろした。
 太い首を捉えた、確かな感触があった。
 グリズリーの首が吹っ飛び、巨大な体躯は力なく崩れ落ちる。

「や、やった! 倒したぞ!」
〔おめでとうございます! 無事にグリズリー討伐が終わりましたね。さすがは、マスターです〕

 コシーと喜びあう。
 俺にAランクモンスターのグリズリーが倒せるなんて……。
 しみじみと嬉しさを噛みしめていると、誰かに見られている感じがした。
 ……ん?
 森の奥に何人かの人影があるような……。
 しかも、その中の一人が一瞬ボーランに見えた。

 ――あれ?

 目を凝らしたときには、すでに誰もいなかった。
 今、誰かがいたような……しかも、ボーランたち?
 ここはギルドではない。
 ボーランたちがこんなところにいるはずはないが……。

〔やっぱり、アイトはカッコイイ! だ~い好き!〕

 エイメスが勢いよく飛びついてきて、思考はそこで止まった。
 しきりに顔をスリスリするね。
 俺たちの他に誰もいないとはいえ、恥ずかしくなってしまった。

「エ、エイメス。わかったから、少し離れようよっ」
〔森の中ですがくっつきです〕
〔やだぁ~〕

 コシーに引っ張られるエイメスは抵抗する。
 何はともあれ、グリズリーを倒せてよかった……と思っていたら、突如として森の中から大きな地響きが聞こえた。

「な、なんだ!?」
〔マスター、何かが近づいてきます!〕
〔私たちが愛し合うのを邪魔するなんて良い度胸ね〕

 木の隙間からは、金色の光が見える。
 その光を見た途端、俺は正体がわかった。
 ……マジか。
 心臓が激しく鼓動し血が熱くなる。
 ゴールデンドラゴンが、その姿を現した。
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