無能テイマーと追放されたが、無生物をテイムしたら擬人化した世界最強のヒロインたちに愛されてるので幸せです

青空あかな

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第24話:期待(Side:ボーラン⑦)

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「ヒャハハハハハ! これで、大儲け間違いなしだぜ!」

 ギルドに向かって森を駆けながら俺は笑う。
 作戦がうまくいき、テンションが上がってしょうがねえんだ。
 隣のメンバーどもも同じように笑顔で走る。

「さすが、リーダーだね。仕事が早いよ」
「オークションに出したら、どれくらいの値段がつくか楽しみ」
「相当な金額で売れるはずです」

 俺の腕の中には……ゴールデンドラゴンの赤ん坊がいる。
 見つからないよう、しっかりと布で隠しているので対策も万全だ。
 子どもはおとなしい性格なので、攫うのは簡単だった。
 ゴールデンドラゴンは希少種だから、かなりの高値がつくことは確実だ。
 しかも、生きている赤ん坊ときた。
 これは相当に高く売れる。
 もはや、Sランク冒険者とかどうでもよくなるほどだ。
 これから手に入る大金に期待して、俺は笑みが抑えられない。

「やっぱり、イリナは一流の<魔法使い>だな。見直したぜ、おい」
「そうだろ! あたしはそこら辺の<魔法使い>とは格が違うんだよ」

 イリナは水魔法が一番得意だ。
 だが、その他にも魔法はたくさん使える。
 対モンスターに特化した迷彩魔法で、ゴールデンドラゴンの目を欺いてやった。

「ボーランさん、私のことも忘れないでくださいね」
「すまん、すまん」

 イリナを褒めると、タシカビヤが不満げに言う。
 相手はSランクなので、一人の魔法で姿を隠し通すのは難しい。
 そこで、タシカビヤも併せて、強力な迷彩魔法を使ったのだ。
 まぁ、危うく殺されるところだったのだが……。
 今度はルイジワが後ろからキツイ声で話す。

「ボーラン。生きて帰れたのは、私のおかげだから」
「わかってるって。お前がいなきゃ今ごろ俺たちは死んでいたよ」

 いかに迷彩魔法が強いとはいえ、近づくと見破られてしまう。
 そういう時のために、俺はルイジワを後方の木陰に控えさせていた。
 俺たちが注意を引き付けたところで、急所をドカン! だ。
 おかげで、ゴールデンドラゴンは無様に倒れちまった。

「作戦が上手くいってよかったよ、リーダー」
「ボーランは力だけじゃない」
「リーダーシップが見事でしたわ」

 俺はチヤホヤされ、気分が良くなる。

「ハハハハハ! もっと褒めやがれってんだ」

 ゴールデンドラゴンは、交代で狩りに向かう。
 だから、棲み処には親ドラゴンは常に一匹しかいない。
 相手が2匹なら、さすがに俺たちでも無理だ。
 しかし、一匹なら何とかなると思った。

「「それで、お金の割り当てはどうする?」」
「ああ、そうだなぁ……」

 四人で山分けしても、相当な金額になるはずだ。
 アイトがいなくてよかったわ。
 五等分と四等分じゃ、大違いだからな。
 いや、あいつには銅貨の一枚も渡さないから、どっちにしろ四等分か!

「リーダー、アタシが一番貢献したよね!?」
「イリナさん、迷彩魔法は私も協力しましたよ!?」
「ゴールデンドラゴンを仕留めたのは私だ!」

 パーティーメンバーは、もう取り分のことで喧嘩を始めやがった。

「お前ら、ちょっとは落ち着けよ。まだ売ってもないってのに。まずは闇オークションの手続きをしないと何も始まらねえだろ」
「そ、そっか」
「たしかに、そうですね」
「気持ちが焦ってしまった」

 俺が言うと、ようやく落ち着いた。

 ――それにしても、アイトのヤツ。剣の扱いが上手くなっていたな。

 ゴールデンドラゴンの赤ん坊を攫うついでに、グリズリーの群れをけしかけてやった。
 無能君が死ぬのをこの目で見たかったからだ。
 しかし、アイトはグリズリーを倒してしまった。
 さすがの俺も驚いたぜ、少しな。
 まぁ、ただのまぐれだろうが。
 俺は断固として、アイトが成長しているなどと思わない。
 等級魔石だって、何かの間違いで白くなっているのだ。

 ――どうせ、あの女の雷魔法で弱っていたんだろう。グリズリーを討伐したのも、ほとんどがあの女だもんな。

 そういえば、黒髪美女の他にもう一人女がいた。
 遠目で見ただけだったが、美人の石像みたいだった。
 アイトの腕前について、一応こいつらの見立ても聞いてみるか。

「なぁ、お前ら。アイトのヤツ、本当に強くなってんのかな?」

 そう尋ねると、メンバーどもはうざそうな顔で話し出した。

「強くなってるわけねえじゃん。グリズリーだって倒したのは、ほとんどあの黒髪女だったし」
「アイトは弱った相手を斬っただけ」
「私もあの人が成長したとは思えませんね」

 謎の石像女のことも聞いてみる。

「石みたいな女もいたが、何だったんだろうな」
「アイトのヤツ、寂しくて女の石像買ったんじゃね?」
「気色悪い」
「悪趣味にもほどがありますわ」

 まとめると、アイトの評価は散々だった。
 やっぱり、ただの偶然か。
 たまたま色んなことが重なったんだな。
 しばらく走り、ギルドへ着いた。
 さて、ここからが重要な仕事だ。
 俺たちはひっそりと中に入る。
 どこのギルドにも、闇オークションの仲介人が紛れ込んでいる。
 もちろん、ケビンが見つけ次第追い出していた。
 だが、ヤツらはしつこいから探せばいるはずだ。

「お前ら、それっぽい人間を探せ。バレないようにな」

 俺たちはギルドの中を探す。

「……リーダー、あそこじゃない?」

 イリナが奥の壁を指さした。
 男が一人立っている。
 見た目は、ただの冒険者だ。
 しかし、仲介人は必ず、逆十字の紋章を身に着けている。
 そいつもよく見ると、右手の人差し指に逆十字の指輪をはめていた。

「アイツで間違いないな。良く見つけたぜ、イリナ」
「さっさと売って金にしようよ。リーダー」
「手数料がもったいないけど、しかたない」
「少しサービスしてくれると良いのですが」

 俺たちは仲介人のところに歩く。

「よお、アンタは闇オークションの仲介人だろ? 売りたい物があるんだけどよ。相談に乗ってくれないか?」
「何だ?」

 ぶっきらぼうに聞き返された。
 仲介人には態度がでかいヤツが多い。
 偉そうにしやがって。
 だが、こっちの品を言えばそんな態度も取れなくなる。

「ゴールデンドラゴンの赤ん坊だよ」

 それを聞くと、仲介人の表情がすぐに変わった。

「ほお……それは珍しいな」
「だろ? 手に入れるのは苦労したぜ。なぁ、貴重な物なんだからさ、少し手数料を安くしてくれって」
「ふむ……」

 交渉を始めたところで、ギルドの外から住民たちの叫び声が聞こえた。

「大変だあああ!」
「逃げろおおお!」
「助けてえええ!」

 ギルドの中にまで響くくらいだから、とても大きい声で叫んでいるようだ。

「なんだよ、やかましいな。何から逃げろってんだ」
「うるさすぎだろ」
「私たちは相談してるというのに」
「もうちょっと静かにできないのでしょうか」

 腹が立つものの、次に聞こえてきた声で俺は何がやってきたのかわかった。

「「ゴールデンドラゴンがきたぞおおおお!」」

 心臓が激しく脈打ち、全身は不気味なほど冷たくなる。
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