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最終話:一歳の誕生日
リヴィエール公爵家の庭園にて。
ステラの前にはたくさんの参加者たちが集まり、さらにお花で飾り付けられたたくさんのテーブルが並ぶ。
和気藹々とした和やかな喧騒と芳しい香りに包まれながら、彼女は最近の出来事を思い出していた。
(あれからもう二ヶ月が過ぎたのね。そして、今日は……)
「「ステラお嬢様、お誕生日おめでとうございまーす!」」
「ありがとうございましゅ!」
デルバー公爵家の野望を阻止してから、月日が経つのはあっという間だった。
生後十か月だったステラもめでたく一歳となり、リヴィエール公爵家でお誕生日会が開催されたのだ。
エドワールやアイザックの知り合いはもちろんのこと、ほとんど宮殿中の人間が集まった。
みな、思い思いの贈り物を携えてステラの下に来る。
まずはシャルテ子爵夫妻だ。
二人は赤ちゃん用の柔らかい毛布を差し出した。
「僕たちの誕生日プレゼントはこの毛布です。暑い夏の日でもサラサラの触り心地ですよ」
「ありがとうございましゅ。うう~ん、気持ちいいでしゅ~。……リリアナしゃんはだいぶお腹が大きくなってきましちゃね」
「ええ、おかげさまで健康に過ごせています。この子が生まれたら仲良くしてくださいね」
シャルテ子爵夫人――リリアナのお腹にはマルコとの赤ちゃんがいる。
生まれてくるのはもう少し先だが、ステラは今から楽しみだった。
続けて来たのはガーランドだ。
「私からはこの玩具の剣と盾をお贈りいたします。悪い人が来たらこれで追い払ってくださいね」
「あい。毎日特訓しましゅ」
屋敷の警備隊隊長らしいプレゼントで、大きくなったら騎士になってくれたらいいな、というガーランドの願いも込められていた。
次に来たのは、リヴィエール公爵家の図書館館長――リビオだ。
「本がお好きなステラお嬢様のプレゼントは、やはり本がよろしいかと思いましてね。おすすめの本をたくさんご用意いたしました」
「やっちゃー! ありがとうございましゅ!」
何冊もの絵本や童話の本がテーブルに載せられ、ステラは両手を上げて喜ぶ。
彼女にとって本は何冊あってもいいものだ。
リビオが退いた後、美しい花束を持ってきたのはロイクだった。
「お庭の美しい花々をドライフラワーのブーケにいたしました。特別な魔法をかけてあるので、いつまでも香りや綺麗な見た目が長持ちするはずです」
「いい匂い~!」
ステラが目一杯香りを堪能したところで、ジスランが大きな箱を持ってきた。
「私はパズルをご用意しました。遊ぶ度に形が変わる優れものですよ」
「ちゃのしそー! すべすべで面白いでしゅ!」
ピースは果物の形をしており、よく研磨された木の触り心地が赤ちゃんの手にもよく馴染んだ。
このパズルは魔法玩具と呼ばれる物で、箱に仕舞うとその都度ピースの形が変わる。
毎回違った遊びができると巷で人気だった。
ジスランの後にはティナとマチルダが贈り物を持ってくる。
「わたしたちからは赤ちゃん用のピアノを贈らせていただきます」
「ステラお嬢様はお歌がお上手ですからね。あたしたちにたくさん素敵なお歌を聞かせてくださいな」
「あい! わたち、いくらでも歌いましゅよ!」
ピアノはステラの身体に合わせた特注品だ。
赤ちゃん用ではあるが作りは本物で、少し叩くだけでステラは拍手で称賛された。
最後にクラリスが現れたのを見て、周囲は少しずつ静かになる。
「お誕生日おめでとう、ステラ様。こんな物しか渡せないけど受け取ってくれたら嬉しいわ」
「わたちの絵が描いてありましゅ! クラリスしゃまが描いてくれたんでしゅか!?」
「ええ、私を助けてくれたあなたは……大袈裟じゃなくて救世主に思えたから。その感動をどうしても伝えたかったの」
羊皮紙いっぱいにステラの絵が描かれている。
(すっごく上手……美術館に飾られててもおかしくないよ)
非常に繊細な筆致と基本を抑えつつ独創的な配色が美麗であり、とても六歳の少女が描いた絵とは思えない。
しばしステラが感動したところでクラリスは言う。
「では、私は一度失礼するわね。お義父様とお義母様が待っているから」
「あい、また後でお会いしまちょ」
クラリスが戻った先には一組の夫婦がいる。
夫婦と手を繋ぐ横顔には微笑みが見られ、ステラの心は救われた。
「クラリスしゃまが幸せならわたちも幸せでしゅ」
「……ああ、そうだな」
ステラ誘拐事件の後、デルバー公爵家は大幅に縮小された。
ギュスターヴとヨアンナは共に爵位の剥奪、監獄に収容。
デルバー公爵家は男爵家に格下げとなり、領地の大部分は帝国に没収された。
残されたクラリスについて。
誰が親権を得て面倒を見るのか、親族の間でそれは長く複雑に協議された。
国家反逆罪というギュスターヴとヨアンナの罪もありしばらくは誰も手を挙げなかったが、デルバー公爵家の遠縁に当たる、五十代半ばの伯爵夫妻が申し出た。
子どもが欲しかったが授かれなかった夫婦で、「娘が育てられるなら」と養子縁組となった。
聞くところによると、クラリスは以前とは比べ物にならないほど大事に愛されているらしい。
(どうか、クラリス様に両親からの温かい愛情が注がれますように……)
そう、ステラは祈るばかりだ。
しばし歓談の時間となり参加者たちが笑顔で交流を深める中、アイザックはステラを散歩に誘う。
「ステラ、少し庭を歩かないか?」
「あい、お散歩したいでしゅ」
二人は会場を離れ、庭園の奥に向かう。
歩を進めるたび喧噪は弱まり、やがて凛とした静けさが周囲を包んだ。
昼過ぎから始まったお誕生日会はもう夕暮れに差し掛かっており、空はオレンジや青など鮮やかな色が入り混じる。
ベンチに座って二人は空を見上げる。
「お空がとっても綺麗でしゅね。神しゃまがお絵かきしたみたいでしゅ」
「神が描いたか……言い得て妙な言い回しだ」
「クローデしゃんとピュリティしゃんにも見せていいでしゅか?」
「ああ、いいぞ。周りには誰もいないからな」
召喚されたクローディとピュリティもまた美しい庭園や空が嬉しく、わいわいと歓声を上げた。
『夕方に見るお花も綺麗だね。それはそうと、お誕生日おめでとう、ステラ』
『お屋敷に帰ったら私たちからのプレゼントがあるからね。楽しみに待ってて~』
二匹が少し離れた花壇に向かうと、アイザックはステラを膝の上に乗せ、正面から見つめた。
「少しいいか? お前に……話しておきたいことがある。エドワールは元より、他の誰にも伝えていない話だ」
「あい、なんでしゅか、パパしゃま?」
普段よりずっと真剣な表情から、非常に大事な話なのだと推測される。
「私が“血塗りの宰相”と呼ばれるに至った経緯だ」
「……っ!」
心して待つステラに、アイザックは淡々と話し始めた。
「私は元からそれほど他人と親しく接する人間ではなかったが、宰相に任命されてからよりその性格に拍車がかかった気がする。帝国の未来のため、と言えば聞こえはいいが、今となっては自分を見失っていたと思う」
呟くように話すアイザックの目にはどことなくやるせなさが滲む。
「やがて、自分を律するあまり、他者に対しても同じ志の高さを求めるようになってしまった。国民は彼らの生活を楽しく送ってくれればそれでいいのに」
紡ぎ出される言葉を聞き、ステラは確信した。
(やっぱり、パパ様の心の根底にあるのは優しさなんだ)
本当は、アイザックは優しいことを彼女はよく知っている。
(私を助けようと、冷たい川の中に飛び込んでくれた)
ただ本人の自他ともに厳しい性格や宰相という立場の高さが、それをうまく外に伝えられなかったのだ。
「国民のために生きるはずが、知らないうちにその国民に恐れられる存在――“血塗りの宰相”になってしまった。いつしか、私の心は他者を寄せ付けない鉄に変わっていた」
「そう、だったのでしゅか……」
(パパ様……いや、血塗りの宰相って呼び名にそんな過去があったなんて……)
初めて聞いた話ばかりだ。
若くして国を背負ったアイザックの重責を思うと、ステラの心は押し潰されそうだった。
自分が彼の立場なら、職務を全うできたかどうかさえわからない。
「そんな私の心を解かしてくれたのが……ステラ、お前だ」
「わたちが、でしゅか?」
問いかけるステラに、アイザックは慈愛溢れる微笑みを向ける。
「国のため、他者のため、日々頑張るステラを見て、私の固まった心は解かされていった。お前は私に救われたと言ってくれたが、私もまたステラに救われたのだ。ステラはその名の通り……私の心で星のように輝いている」
その言葉を聞いた瞬間、ステラの胸は温かい気持ちで満たされた。
どんな褒め言葉や感謝の言葉よりずっとずっと、アイザックと出会ってから一番嬉しい。
(私はパパ様にとっての星……だったら)
「それなら、パパしゃまはわたちの太陽しゃんでしゅね。いちゅも暖かく優しく包んでくれる太陽しゃんでしゅ」
「ステラ……愛している。私の娘になってくれて本当にありがとう」
「パパしゃまもわたちのパパしゃまになってくれてありがとうございましゅ!」
二人は互いを離さんと優しく力強く抱き合う。
アイザックは愛する娘を抱きながら、兼ねてからの願望を告げた。
「お前には、ずっとそのままの大きさでいてほしいと思うよ」
到底無理なお願いをされてしまったステラは思わず苦笑するばかりだ。
「それはちょっと……むずかちいでしゅね」
ひっそりと暗くなっていく夕闇に、一番星がきらりと輝いた。
◆後書き◆
最後までお読みいただきありがとうございました。
お気に入りや♡などでご評価いただけると嬉しいです。
一旦これにて完結となりますが第2部の予定もありますので、どうかお気に入り登録はそのままでお願いします。
ステラの前にはたくさんの参加者たちが集まり、さらにお花で飾り付けられたたくさんのテーブルが並ぶ。
和気藹々とした和やかな喧騒と芳しい香りに包まれながら、彼女は最近の出来事を思い出していた。
(あれからもう二ヶ月が過ぎたのね。そして、今日は……)
「「ステラお嬢様、お誕生日おめでとうございまーす!」」
「ありがとうございましゅ!」
デルバー公爵家の野望を阻止してから、月日が経つのはあっという間だった。
生後十か月だったステラもめでたく一歳となり、リヴィエール公爵家でお誕生日会が開催されたのだ。
エドワールやアイザックの知り合いはもちろんのこと、ほとんど宮殿中の人間が集まった。
みな、思い思いの贈り物を携えてステラの下に来る。
まずはシャルテ子爵夫妻だ。
二人は赤ちゃん用の柔らかい毛布を差し出した。
「僕たちの誕生日プレゼントはこの毛布です。暑い夏の日でもサラサラの触り心地ですよ」
「ありがとうございましゅ。うう~ん、気持ちいいでしゅ~。……リリアナしゃんはだいぶお腹が大きくなってきましちゃね」
「ええ、おかげさまで健康に過ごせています。この子が生まれたら仲良くしてくださいね」
シャルテ子爵夫人――リリアナのお腹にはマルコとの赤ちゃんがいる。
生まれてくるのはもう少し先だが、ステラは今から楽しみだった。
続けて来たのはガーランドだ。
「私からはこの玩具の剣と盾をお贈りいたします。悪い人が来たらこれで追い払ってくださいね」
「あい。毎日特訓しましゅ」
屋敷の警備隊隊長らしいプレゼントで、大きくなったら騎士になってくれたらいいな、というガーランドの願いも込められていた。
次に来たのは、リヴィエール公爵家の図書館館長――リビオだ。
「本がお好きなステラお嬢様のプレゼントは、やはり本がよろしいかと思いましてね。おすすめの本をたくさんご用意いたしました」
「やっちゃー! ありがとうございましゅ!」
何冊もの絵本や童話の本がテーブルに載せられ、ステラは両手を上げて喜ぶ。
彼女にとって本は何冊あってもいいものだ。
リビオが退いた後、美しい花束を持ってきたのはロイクだった。
「お庭の美しい花々をドライフラワーのブーケにいたしました。特別な魔法をかけてあるので、いつまでも香りや綺麗な見た目が長持ちするはずです」
「いい匂い~!」
ステラが目一杯香りを堪能したところで、ジスランが大きな箱を持ってきた。
「私はパズルをご用意しました。遊ぶ度に形が変わる優れものですよ」
「ちゃのしそー! すべすべで面白いでしゅ!」
ピースは果物の形をしており、よく研磨された木の触り心地が赤ちゃんの手にもよく馴染んだ。
このパズルは魔法玩具と呼ばれる物で、箱に仕舞うとその都度ピースの形が変わる。
毎回違った遊びができると巷で人気だった。
ジスランの後にはティナとマチルダが贈り物を持ってくる。
「わたしたちからは赤ちゃん用のピアノを贈らせていただきます」
「ステラお嬢様はお歌がお上手ですからね。あたしたちにたくさん素敵なお歌を聞かせてくださいな」
「あい! わたち、いくらでも歌いましゅよ!」
ピアノはステラの身体に合わせた特注品だ。
赤ちゃん用ではあるが作りは本物で、少し叩くだけでステラは拍手で称賛された。
最後にクラリスが現れたのを見て、周囲は少しずつ静かになる。
「お誕生日おめでとう、ステラ様。こんな物しか渡せないけど受け取ってくれたら嬉しいわ」
「わたちの絵が描いてありましゅ! クラリスしゃまが描いてくれたんでしゅか!?」
「ええ、私を助けてくれたあなたは……大袈裟じゃなくて救世主に思えたから。その感動をどうしても伝えたかったの」
羊皮紙いっぱいにステラの絵が描かれている。
(すっごく上手……美術館に飾られててもおかしくないよ)
非常に繊細な筆致と基本を抑えつつ独創的な配色が美麗であり、とても六歳の少女が描いた絵とは思えない。
しばしステラが感動したところでクラリスは言う。
「では、私は一度失礼するわね。お義父様とお義母様が待っているから」
「あい、また後でお会いしまちょ」
クラリスが戻った先には一組の夫婦がいる。
夫婦と手を繋ぐ横顔には微笑みが見られ、ステラの心は救われた。
「クラリスしゃまが幸せならわたちも幸せでしゅ」
「……ああ、そうだな」
ステラ誘拐事件の後、デルバー公爵家は大幅に縮小された。
ギュスターヴとヨアンナは共に爵位の剥奪、監獄に収容。
デルバー公爵家は男爵家に格下げとなり、領地の大部分は帝国に没収された。
残されたクラリスについて。
誰が親権を得て面倒を見るのか、親族の間でそれは長く複雑に協議された。
国家反逆罪というギュスターヴとヨアンナの罪もありしばらくは誰も手を挙げなかったが、デルバー公爵家の遠縁に当たる、五十代半ばの伯爵夫妻が申し出た。
子どもが欲しかったが授かれなかった夫婦で、「娘が育てられるなら」と養子縁組となった。
聞くところによると、クラリスは以前とは比べ物にならないほど大事に愛されているらしい。
(どうか、クラリス様に両親からの温かい愛情が注がれますように……)
そう、ステラは祈るばかりだ。
しばし歓談の時間となり参加者たちが笑顔で交流を深める中、アイザックはステラを散歩に誘う。
「ステラ、少し庭を歩かないか?」
「あい、お散歩したいでしゅ」
二人は会場を離れ、庭園の奥に向かう。
歩を進めるたび喧噪は弱まり、やがて凛とした静けさが周囲を包んだ。
昼過ぎから始まったお誕生日会はもう夕暮れに差し掛かっており、空はオレンジや青など鮮やかな色が入り混じる。
ベンチに座って二人は空を見上げる。
「お空がとっても綺麗でしゅね。神しゃまがお絵かきしたみたいでしゅ」
「神が描いたか……言い得て妙な言い回しだ」
「クローデしゃんとピュリティしゃんにも見せていいでしゅか?」
「ああ、いいぞ。周りには誰もいないからな」
召喚されたクローディとピュリティもまた美しい庭園や空が嬉しく、わいわいと歓声を上げた。
『夕方に見るお花も綺麗だね。それはそうと、お誕生日おめでとう、ステラ』
『お屋敷に帰ったら私たちからのプレゼントがあるからね。楽しみに待ってて~』
二匹が少し離れた花壇に向かうと、アイザックはステラを膝の上に乗せ、正面から見つめた。
「少しいいか? お前に……話しておきたいことがある。エドワールは元より、他の誰にも伝えていない話だ」
「あい、なんでしゅか、パパしゃま?」
普段よりずっと真剣な表情から、非常に大事な話なのだと推測される。
「私が“血塗りの宰相”と呼ばれるに至った経緯だ」
「……っ!」
心して待つステラに、アイザックは淡々と話し始めた。
「私は元からそれほど他人と親しく接する人間ではなかったが、宰相に任命されてからよりその性格に拍車がかかった気がする。帝国の未来のため、と言えば聞こえはいいが、今となっては自分を見失っていたと思う」
呟くように話すアイザックの目にはどことなくやるせなさが滲む。
「やがて、自分を律するあまり、他者に対しても同じ志の高さを求めるようになってしまった。国民は彼らの生活を楽しく送ってくれればそれでいいのに」
紡ぎ出される言葉を聞き、ステラは確信した。
(やっぱり、パパ様の心の根底にあるのは優しさなんだ)
本当は、アイザックは優しいことを彼女はよく知っている。
(私を助けようと、冷たい川の中に飛び込んでくれた)
ただ本人の自他ともに厳しい性格や宰相という立場の高さが、それをうまく外に伝えられなかったのだ。
「国民のために生きるはずが、知らないうちにその国民に恐れられる存在――“血塗りの宰相”になってしまった。いつしか、私の心は他者を寄せ付けない鉄に変わっていた」
「そう、だったのでしゅか……」
(パパ様……いや、血塗りの宰相って呼び名にそんな過去があったなんて……)
初めて聞いた話ばかりだ。
若くして国を背負ったアイザックの重責を思うと、ステラの心は押し潰されそうだった。
自分が彼の立場なら、職務を全うできたかどうかさえわからない。
「そんな私の心を解かしてくれたのが……ステラ、お前だ」
「わたちが、でしゅか?」
問いかけるステラに、アイザックは慈愛溢れる微笑みを向ける。
「国のため、他者のため、日々頑張るステラを見て、私の固まった心は解かされていった。お前は私に救われたと言ってくれたが、私もまたステラに救われたのだ。ステラはその名の通り……私の心で星のように輝いている」
その言葉を聞いた瞬間、ステラの胸は温かい気持ちで満たされた。
どんな褒め言葉や感謝の言葉よりずっとずっと、アイザックと出会ってから一番嬉しい。
(私はパパ様にとっての星……だったら)
「それなら、パパしゃまはわたちの太陽しゃんでしゅね。いちゅも暖かく優しく包んでくれる太陽しゃんでしゅ」
「ステラ……愛している。私の娘になってくれて本当にありがとう」
「パパしゃまもわたちのパパしゃまになってくれてありがとうございましゅ!」
二人は互いを離さんと優しく力強く抱き合う。
アイザックは愛する娘を抱きながら、兼ねてからの願望を告げた。
「お前には、ずっとそのままの大きさでいてほしいと思うよ」
到底無理なお願いをされてしまったステラは思わず苦笑するばかりだ。
「それはちょっと……むずかちいでしゅね」
ひっそりと暗くなっていく夕闇に、一番星がきらりと輝いた。
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※表紙イラストは猫様からお借りしています。
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