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第二章 田舎娘とお猫様の初めての都会
田舎娘は、神王様と対面する
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ジャル様との衝撃のお茶会から、どうやって次の日になったのか覚えていない。いつの間にか時間が過ぎていて、気が付いたらデモナベスタガーデンの検査室に立っていたのだ。
正直に言おう。とても驚いている。
私はキリキリと痛むお腹、それこそ胃の辺りを摩り、うう、と唸った。
「ふふ、緊張しすぎだよ、アイラ」
「うう……サディさぁん」
「ボクもリオンのことは知ってるけど、なんだかんだ可愛いヤツだから、そんなに心配しなくても大丈夫だって」
サディさんは相も変わらずキラキラした笑顔で言うけれど、神王様であるリオン様が可愛いとか、そんなこと信じられるわけないじゃない。
これはもう、愛しのマロンに癒やしてもらわなくちゃ。
正気でいることが辛くなった私は、検査台の上で丸くなって眠っているマロンの体に顔を埋めた。
「お願い、吸わせてぇ」
「あちゃあ、これは重症だね」
人目を憚らず猫吸いを始めた私を見て、サディさんが困ったように声を上げる。お願いします、今のところは見逃してください。こうでもしないとやってられないんです。
そんな心の叫びなど知る由もないであろうサディさんは、うーうー唸る私の頭をそっと撫でてくれた。くそう、これがイケメンにのみ許された行為か。
「……ニャァ」
マロンのお腹を全力で吸っている私の耳に、彼女の不満げな声が届く。ああ、そろそろやめないとマロンのご機嫌が斜めになっちゃうな。
私はのろのろと顔を上げて猫吸いをやめた。だけどその代わりにマロンのふかふかボディを捏ね回す。もちろんこれに対しても嫌そうな鳴き声を上げたので、いい加減手を離した。
「もっと癒やされたかった」
「はいはい。ああ、アイラ。キミ、顔中毛まみれだよ。ほら、払ってあげるから」
サディさんが私の顔に付いているマロンの毛をパタパタと払ってくれる。無造作に見えてとても丁寧な手つきだった。あれ、サディさんって私のお母さんだったっけ?
そんなものすごく失礼なことを考えていたんだけど、サディさんの手が首の方に伸びてきた時にハッとなる。ちょっと、いくらサディさんがイケメンであっても、男性が女の体に安易に触れちゃいけないでしょ!
「ちょ、サディさん! そこから下は自分でしますから!」
私が慌てて首をガードすると、サディさんは目を丸くしてきょとん、となる。その表情はやたら可愛らしいけれど、私は騙されない。貴方が今やろうとしていたことは、前世基準で言うと立派なセクハラなんです!
いや、サディさんにそんなつもりがないことは分かっているけれど、ここで私がきちんと拒否しないと第二第三の犠牲者が出てしまう。そもそもサディさんってば女性を虜にする魔性の笑みの持ち主なんだから、もう少し他人に対する振る舞い方を考えて欲しい。
貴方そのうち女の人から背中を刺されますよ、と思わず口から出そうになったけど、それはさすがに我慢した。
私がそんなことを考えているなど知る由もないサディさんは、えー、と不満げな声を上げる。
「本当に大丈夫かい? キミ、この間も結構毛まみれになってたけど」
「あ、あの時のことは忘れてください!」
サディさんが言っているのは、彼がいることも忘れてテンション高くマロンを吸っていた時のことだろう。あれを見られたのは本当に恥ずかしかった。サディさんも歯の浮くような台詞を言うし。
あ、思い出したら顔が熱くなってきた。
私は片手で顔を仰ぎながら、体に付いた毛を無心で払う。うん、見える範囲はどうにか取れたかな。少なくとも、人前に出るのに見苦しい格好ではないはずだ。
必死に服装と呼吸を整えていざ最終確認を、と思ったところで、無情にも検査室の扉が開く。私は慌てて背筋を伸ばした。
「アイラさん、サディ、お待たせしました」
ジャル様はいつも通り穏やかに告げると、一人の人物を検査室に招き入れる。
その人物はアイラを胡乱な目で見ると、ふんっ、と実に偉そうにふんぞり返って口を開いた。
「お前が話に聞いた村娘か。件の獣の飼い主、とか言っている」
腕を組んでこちらを半眼で睨み付けてくる人に、私は困惑してしまった。いきなりあんまりな態度を取られたことも理由としてはあるけれど、それよりも、彼の見た目に衝撃を受けたのだ。
透き通るような白い肌に、後頭部で一つに結い上げた金の髪。金色の目はほんのちょっぴり吊り上がっているけどまん丸で、まるで猫のような印象を抱かせる。
着ている服もシンプルなのに豪華だ。光沢のある白地の布に、金糸で細かい刺繍が施されている。一見して神々しさを感じさせると言えるだろう。
思わず溜め息をついてしまうほどに美しい。なんだか清廉な空気が漂っているような気もするし、だからこそ間違いなく彼が神王様なのだと理解できる。
……理解できる、んだけど。
「おい、聞いてりゅ……やべっ、舌噛んだ」
少々高圧的な口調だけれど、若干舌っ足らず。
「い、いいか! 今聞いたことは忘れろ!」
真っ白な肌は、顔も腕も、今では果物のアプレみたいに真っ赤に染まっていて。
「う、うう、そんな目で見るなぁっ!」
涙目になりながら、ジャル様の後ろに隠れてしまった。
「リオン。君ももう立派な神王なのですから、もっと堂々としなさい」
ジャル様は隠れてしまった神王様……リオン様に声を掛ける。しかしリオン様は、ジャル様の足にしがみついて離れようとしなかった。
リオン様の対応に追われているジャル様を横目に、サディさんが私にこっそりと耳打ちする。
「ね? 可愛いヤツだろ?」
「……はい、そうですね」
きっとものすごく失礼なことなんだろうけれど、私はリオン様を見て頬が緩むのを感じていた。
だってリオン様、どう見ても小さな子供なんだもの!
子供特有のちょっと甲高い声が可愛い。
子供らしい丸い輪郭も、ぷくぷくのほっぺたも可愛い。お目々も大きくてくりくりだ。
髪の毛も細くて柔らかそう。羨ましいくらいにツヤツヤだ。
私よりもずっと低い身長も可愛い。たぶん百二十インテもないと思う。あ、この子、厚底のサンダルを履いてる。……うん、見なかったことにしよう!
二エルトくらいあるジャル様と並ぶと、もう完全に親子にしか見えない。
「こらっ、リオン!」
ジャル様が小さな子供を叱りつけるような声を上げる。どうやら私が目の前の微笑ましい光景に意識を飛ばしている間に、リオン様はジャル様の背中に移動していたようだ。
「いやもうこれ猫じゃん」
飼い主の体をよじ登る猫じゃん。
私の呟きが耳に届いたのか、マロンがにゃん、と声を上げる。そしてリオン様と張り合うつもりなのか、私の胸を目掛けて飛び掛かってきた。
「ちょ、マロン!」
マロンは私の声などお構いなしによじよじと体を登る。そして前屈みで不格好な体勢になった私の右肩に、すとんと落ち着いてしまった。
「ニャー」
「ああっ、マロンちゃん! アイラさんが辛そうだから、肩に乗るなら私にしなさい!」
満足げなマロンに対してジャル様が慌てて言うけれど、なんだかズレているような気がする。たぶん気のせいじゃない。
「ニャオ!」
ジャル様の申し出を聞いたマロンは元気に鳴くと、ぴょい、とジャル様の肩に飛び乗った。勢い良く飛ぶために踏ん張ったためか、私の肩と背中に爪が刺さってちょっと痛い。
小さく呻き声を上げつつ上体を起こす。私の視線の先には、ジャル様の広い肩に座ってくあ、とあくびをしているマロンの姿があった。
「あっ、ずるい!」
ジャル様の背中にしがみついているリオン様が場違いな抗議の声を上げるも、お猫様であるマロンが聞くはずもなく。
マロンは長い尻尾でリオン様の顔をはたいてから、なーお、と、まるで彼を煽るかのように鳴いた。
正直に言おう。とても驚いている。
私はキリキリと痛むお腹、それこそ胃の辺りを摩り、うう、と唸った。
「ふふ、緊張しすぎだよ、アイラ」
「うう……サディさぁん」
「ボクもリオンのことは知ってるけど、なんだかんだ可愛いヤツだから、そんなに心配しなくても大丈夫だって」
サディさんは相も変わらずキラキラした笑顔で言うけれど、神王様であるリオン様が可愛いとか、そんなこと信じられるわけないじゃない。
これはもう、愛しのマロンに癒やしてもらわなくちゃ。
正気でいることが辛くなった私は、検査台の上で丸くなって眠っているマロンの体に顔を埋めた。
「お願い、吸わせてぇ」
「あちゃあ、これは重症だね」
人目を憚らず猫吸いを始めた私を見て、サディさんが困ったように声を上げる。お願いします、今のところは見逃してください。こうでもしないとやってられないんです。
そんな心の叫びなど知る由もないであろうサディさんは、うーうー唸る私の頭をそっと撫でてくれた。くそう、これがイケメンにのみ許された行為か。
「……ニャァ」
マロンのお腹を全力で吸っている私の耳に、彼女の不満げな声が届く。ああ、そろそろやめないとマロンのご機嫌が斜めになっちゃうな。
私はのろのろと顔を上げて猫吸いをやめた。だけどその代わりにマロンのふかふかボディを捏ね回す。もちろんこれに対しても嫌そうな鳴き声を上げたので、いい加減手を離した。
「もっと癒やされたかった」
「はいはい。ああ、アイラ。キミ、顔中毛まみれだよ。ほら、払ってあげるから」
サディさんが私の顔に付いているマロンの毛をパタパタと払ってくれる。無造作に見えてとても丁寧な手つきだった。あれ、サディさんって私のお母さんだったっけ?
そんなものすごく失礼なことを考えていたんだけど、サディさんの手が首の方に伸びてきた時にハッとなる。ちょっと、いくらサディさんがイケメンであっても、男性が女の体に安易に触れちゃいけないでしょ!
「ちょ、サディさん! そこから下は自分でしますから!」
私が慌てて首をガードすると、サディさんは目を丸くしてきょとん、となる。その表情はやたら可愛らしいけれど、私は騙されない。貴方が今やろうとしていたことは、前世基準で言うと立派なセクハラなんです!
いや、サディさんにそんなつもりがないことは分かっているけれど、ここで私がきちんと拒否しないと第二第三の犠牲者が出てしまう。そもそもサディさんってば女性を虜にする魔性の笑みの持ち主なんだから、もう少し他人に対する振る舞い方を考えて欲しい。
貴方そのうち女の人から背中を刺されますよ、と思わず口から出そうになったけど、それはさすがに我慢した。
私がそんなことを考えているなど知る由もないサディさんは、えー、と不満げな声を上げる。
「本当に大丈夫かい? キミ、この間も結構毛まみれになってたけど」
「あ、あの時のことは忘れてください!」
サディさんが言っているのは、彼がいることも忘れてテンション高くマロンを吸っていた時のことだろう。あれを見られたのは本当に恥ずかしかった。サディさんも歯の浮くような台詞を言うし。
あ、思い出したら顔が熱くなってきた。
私は片手で顔を仰ぎながら、体に付いた毛を無心で払う。うん、見える範囲はどうにか取れたかな。少なくとも、人前に出るのに見苦しい格好ではないはずだ。
必死に服装と呼吸を整えていざ最終確認を、と思ったところで、無情にも検査室の扉が開く。私は慌てて背筋を伸ばした。
「アイラさん、サディ、お待たせしました」
ジャル様はいつも通り穏やかに告げると、一人の人物を検査室に招き入れる。
その人物はアイラを胡乱な目で見ると、ふんっ、と実に偉そうにふんぞり返って口を開いた。
「お前が話に聞いた村娘か。件の獣の飼い主、とか言っている」
腕を組んでこちらを半眼で睨み付けてくる人に、私は困惑してしまった。いきなりあんまりな態度を取られたことも理由としてはあるけれど、それよりも、彼の見た目に衝撃を受けたのだ。
透き通るような白い肌に、後頭部で一つに結い上げた金の髪。金色の目はほんのちょっぴり吊り上がっているけどまん丸で、まるで猫のような印象を抱かせる。
着ている服もシンプルなのに豪華だ。光沢のある白地の布に、金糸で細かい刺繍が施されている。一見して神々しさを感じさせると言えるだろう。
思わず溜め息をついてしまうほどに美しい。なんだか清廉な空気が漂っているような気もするし、だからこそ間違いなく彼が神王様なのだと理解できる。
……理解できる、んだけど。
「おい、聞いてりゅ……やべっ、舌噛んだ」
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「い、いいか! 今聞いたことは忘れろ!」
真っ白な肌は、顔も腕も、今では果物のアプレみたいに真っ赤に染まっていて。
「う、うう、そんな目で見るなぁっ!」
涙目になりながら、ジャル様の後ろに隠れてしまった。
「リオン。君ももう立派な神王なのですから、もっと堂々としなさい」
ジャル様は隠れてしまった神王様……リオン様に声を掛ける。しかしリオン様は、ジャル様の足にしがみついて離れようとしなかった。
リオン様の対応に追われているジャル様を横目に、サディさんが私にこっそりと耳打ちする。
「ね? 可愛いヤツだろ?」
「……はい、そうですね」
きっとものすごく失礼なことなんだろうけれど、私はリオン様を見て頬が緩むのを感じていた。
だってリオン様、どう見ても小さな子供なんだもの!
子供特有のちょっと甲高い声が可愛い。
子供らしい丸い輪郭も、ぷくぷくのほっぺたも可愛い。お目々も大きくてくりくりだ。
髪の毛も細くて柔らかそう。羨ましいくらいにツヤツヤだ。
私よりもずっと低い身長も可愛い。たぶん百二十インテもないと思う。あ、この子、厚底のサンダルを履いてる。……うん、見なかったことにしよう!
二エルトくらいあるジャル様と並ぶと、もう完全に親子にしか見えない。
「こらっ、リオン!」
ジャル様が小さな子供を叱りつけるような声を上げる。どうやら私が目の前の微笑ましい光景に意識を飛ばしている間に、リオン様はジャル様の背中に移動していたようだ。
「いやもうこれ猫じゃん」
飼い主の体をよじ登る猫じゃん。
私の呟きが耳に届いたのか、マロンがにゃん、と声を上げる。そしてリオン様と張り合うつもりなのか、私の胸を目掛けて飛び掛かってきた。
「ちょ、マロン!」
マロンは私の声などお構いなしによじよじと体を登る。そして前屈みで不格好な体勢になった私の右肩に、すとんと落ち着いてしまった。
「ニャー」
「ああっ、マロンちゃん! アイラさんが辛そうだから、肩に乗るなら私にしなさい!」
満足げなマロンに対してジャル様が慌てて言うけれど、なんだかズレているような気がする。たぶん気のせいじゃない。
「ニャオ!」
ジャル様の申し出を聞いたマロンは元気に鳴くと、ぴょい、とジャル様の肩に飛び乗った。勢い良く飛ぶために踏ん張ったためか、私の肩と背中に爪が刺さってちょっと痛い。
小さく呻き声を上げつつ上体を起こす。私の視線の先には、ジャル様の広い肩に座ってくあ、とあくびをしているマロンの姿があった。
「あっ、ずるい!」
ジャル様の背中にしがみついているリオン様が場違いな抗議の声を上げるも、お猫様であるマロンが聞くはずもなく。
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