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04-リナリアの困惑
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いや、酷いのはどっちだ。泥酔した女性を部屋に連れ込むなんて。そう言いたかったが王子様相手に文句を言うなんて不敬に当たる。それに、油断していた私にも非があるのだ。
それよりもリナとか呼ぶのは辞めて欲しい。私達は愛称で呼び合う仲ではなかったよね。
「リナ、この世界でも君に会えるなんて嬉しいよ」
私はあまりの驚きで金縛りに会ったように動けない。
え? どういうこと? この世界でもって言った?
頭の中が混乱して第三王子の言ったことの意味がすぐには理解できなかった。
この世界でもってことは、別の世界でもってこと……? つまり、前世……
ハッとして私は第三王子を凝視する。
「まさか……」
「やっと気がついてくれたようだね。そう、俺は斗真だ。君は莉奈だろ? 前世で俺の恋人だった」
「斗真……? どうして……」
私は言葉を失った。
「やっぱり君は前世の記憶があるんだね。俺と同じように……俺はずっと莉奈を捜していたんだ。転生したと知った時、もしかしたら莉奈もこの世界に転生したんじゃないかと思って。そしてやっと見つけた。莉奈、会いたかった」
斗真の言葉が私の中に流れてきたが困惑したまま微動だにできなかった。
気がついたら私は斗真の腕の中に包まれていた。
ドンッ!
すぐさま私は斗真の胸を押し返し距離を取った。
「莉奈……なぜ……?」
困惑する斗真が哀しそうに眉尻を下げた。
「何を言っているの? 私が前世持ちだと言うことが分かっているのなら、貴方に騙されたことを思い出したって当然分かるわよね。もう騙されないわ。遊びだったくせに……」
「違う! アレは違うんだ!」
「何が違うのよ! 我が物顔で斗真のマンションにいた女は婚約者って言っていたわ! あのマンションにはカードキーがないと入れなかったはずよ! 斗真が彼女に渡したんでしょ!」
次から次へと涙が溢れてくるのが分かった。
そう、確かに私は前世で井上斗真と言う名の男性と付き合っていた。でも結局裏切られたのだ。
私はその事もあって前世を思い出してから恋愛や結婚に夢を抱けなくなっていた。この世界の両親は私を花嫁修行の一環として王宮に送り出してくれたが、私は一生侍女として働くつもりで努めている。
この世界では貴族出身の女性が働くことは少ない。働くとすれば侍女や女官としてなのだ。
それでも、一生働くことは稀で殆どの女性は結婚相手を探すためという裏の目的があるのだ。
王宮には女性ばかりではなく、騎士や文官、従者など多くの貴族男性も働いている。
所謂、職場結婚を狙っているのだ。
前世でも、既婚者の多くは職場での出会いが切っ掛けだと言われていた。私自身、斗真と出会ったのは職場だった。
私は看護師で斗真は医者。それもイケメン医者。
その事から察せられるだろうが、モテモテでいつも女性の影が絶えなかった。
そして、今世でも第三王子でイケメン。もちろんモテモテ。
ずるくないだろうか?
何で私は子爵令嬢でこんな平凡な容姿なのだろうか?
そりゃあ、前世に比べればかなりの美少女よ。
でも、周りがそれ以上の美少女ばかりなので全然目立たない。
いや、目立ちたいわけではないのだが、やはり第三王子に比べれば私は路肩の石の様なものに思える。
前世の私は? と言うと、同じくそんなに目立つ存在ではなかった。
総合病院で看護師として働いていたが、そこで働く女性の数も多かった。
圧倒的に女性の多い職場。その中でも目立たない私は医師の中でも若くて将来有望、見た目も極上の斗真は誰から見ても憧れの存在だった。
何故私と付き合っていたのか未だに謎である。
きっと最後に裏切られたことから考えると、私とのことは遊びに過ぎなかったのだと思う。
切っ掛けは酔った勢いでのベッドイン。
そう、私は前世でも同じ事をしてしまっていたのだ。
自分の成長のなさに呆れてしまう。
ああ、何だか思い出したら益々哀しくなってきた。
どうせ遊ぶんだったら、こんな真面目女じゃなく遊びに適した女にすればよかったじゃないか!
私が男性と付き合ったのは斗真と初めてで、私の初めては全て斗真に捧げたというのにあんまりじゃないか!
私の頭の中には斗真と付き合い始めた時からあの裏切られた時の瞬間までの映像が蘇ってきたのだった。
それよりもリナとか呼ぶのは辞めて欲しい。私達は愛称で呼び合う仲ではなかったよね。
「リナ、この世界でも君に会えるなんて嬉しいよ」
私はあまりの驚きで金縛りに会ったように動けない。
え? どういうこと? この世界でもって言った?
頭の中が混乱して第三王子の言ったことの意味がすぐには理解できなかった。
この世界でもってことは、別の世界でもってこと……? つまり、前世……
ハッとして私は第三王子を凝視する。
「まさか……」
「やっと気がついてくれたようだね。そう、俺は斗真だ。君は莉奈だろ? 前世で俺の恋人だった」
「斗真……? どうして……」
私は言葉を失った。
「やっぱり君は前世の記憶があるんだね。俺と同じように……俺はずっと莉奈を捜していたんだ。転生したと知った時、もしかしたら莉奈もこの世界に転生したんじゃないかと思って。そしてやっと見つけた。莉奈、会いたかった」
斗真の言葉が私の中に流れてきたが困惑したまま微動だにできなかった。
気がついたら私は斗真の腕の中に包まれていた。
ドンッ!
すぐさま私は斗真の胸を押し返し距離を取った。
「莉奈……なぜ……?」
困惑する斗真が哀しそうに眉尻を下げた。
「何を言っているの? 私が前世持ちだと言うことが分かっているのなら、貴方に騙されたことを思い出したって当然分かるわよね。もう騙されないわ。遊びだったくせに……」
「違う! アレは違うんだ!」
「何が違うのよ! 我が物顔で斗真のマンションにいた女は婚約者って言っていたわ! あのマンションにはカードキーがないと入れなかったはずよ! 斗真が彼女に渡したんでしょ!」
次から次へと涙が溢れてくるのが分かった。
そう、確かに私は前世で井上斗真と言う名の男性と付き合っていた。でも結局裏切られたのだ。
私はその事もあって前世を思い出してから恋愛や結婚に夢を抱けなくなっていた。この世界の両親は私を花嫁修行の一環として王宮に送り出してくれたが、私は一生侍女として働くつもりで努めている。
この世界では貴族出身の女性が働くことは少ない。働くとすれば侍女や女官としてなのだ。
それでも、一生働くことは稀で殆どの女性は結婚相手を探すためという裏の目的があるのだ。
王宮には女性ばかりではなく、騎士や文官、従者など多くの貴族男性も働いている。
所謂、職場結婚を狙っているのだ。
前世でも、既婚者の多くは職場での出会いが切っ掛けだと言われていた。私自身、斗真と出会ったのは職場だった。
私は看護師で斗真は医者。それもイケメン医者。
その事から察せられるだろうが、モテモテでいつも女性の影が絶えなかった。
そして、今世でも第三王子でイケメン。もちろんモテモテ。
ずるくないだろうか?
何で私は子爵令嬢でこんな平凡な容姿なのだろうか?
そりゃあ、前世に比べればかなりの美少女よ。
でも、周りがそれ以上の美少女ばかりなので全然目立たない。
いや、目立ちたいわけではないのだが、やはり第三王子に比べれば私は路肩の石の様なものに思える。
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そう、私は前世でも同じ事をしてしまっていたのだ。
自分の成長のなさに呆れてしまう。
ああ、何だか思い出したら益々哀しくなってきた。
どうせ遊ぶんだったら、こんな真面目女じゃなく遊びに適した女にすればよかったじゃないか!
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