アラフォー幼女は異世界で大魔女を目指します

梅丸みかん

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第一章 塔の上から見た異世界

44, そろそろ

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『ふむ、親を亡くしたのなら眷属にするといいかもしれぬ。そうすればお互いの気持ちが通じ合う。それに、魔獣は魔力が強い者に従う性質がある。ミカなら問題なかろう。名を与え、魔力をその一角玄虎の子に注ぐのじゃ』

 名前? えっと、じゃあ……いっかくげんこ……の「ゲン」にしよう。
 ネーミングセンスがないとは言わせない……

「ゲン、あなたの名前は『ゲン』よ。私の眷属になって」
 私の魔力がふわりと放たれると、微かな光が一角玄虎の子ゲンの体に纏ったのだった。


 ゲンの体の周りを覆っていた光が消えると、翡翠の瞳が真っ直ぐに私の方を見つめていた。

「ゲン、私はミカ。これからは私が守ってあげる。だから、大丈夫だよ」
 私はその瞳に訴えかける様に言葉を放った。

『まもる……? にんげんが……でも、このにんげん…。はぼくよりつよい。だから、ぼくはきっとさからえない……もうじゆうにそとにでられないのかな……』
 え? ゲンの声が聞こえる?

「師匠! なにこれ? この魔獣、喋れるの?」
『心が繋がったのじゃ。実際にこの魔獣が話しているわけではない。直接この魔獣の気持ちが言葉に変換されて伝わるというだけじゃ。そして、ちゃんと魔獣に向き合えば、ミカの気持ちも伝わるはずじゃ』

「おおっ! すごい……でも、待てよ? なんかこの子ってば悲壮感が漂っているんだけど。まるで捕えられてしまった……みたいな?」

 ゲンと心が繋がったせいなのか、ゲンの感情が私の中に流れてくる。

『きっと、親から人間について悪い噂でも聞いておるのじゃろう。ミカがちゃんと自分は他の人間とは違うということを理解すれば大丈夫じゃ』

「悪い噂?」
『人間は欲のために全てを支配しようとし、時には虐殺も厭わないとか……じゃな』

「そんな……こと……」
 ないとは言い切れない。

 日本では平和に暮らしてきた私だったけど、全世界の歴史を見れば”支配”や”虐殺”とか実際にあった出来事のようだし……

「ゲン、大丈夫だよ。私とあなたは友達になるの。ゲンが嫌だと思う様なことを命令することもないし、もちろん傷つけることも自由を奪うこともないから」
 私は、ゲンに向かって何とか私の気持ちを伝えようと試みた。

『ともだ…ち?』
「そう、あなたと私は友達」
 私は優しく声をかけ、満面の笑みを向けた。

 どうやら、心が繋がっているということは私の気持ちもゲンに伝わるようだ。

 ゲンは恐る恐る私の方に近づいてきた。
 私はそっとゲンの頭を撫でる。それに答える様にゲンは目を細め「キュウィン」と鳴いた。

 よかった……ゲンから私への恐れが消えたようだ。

『ともだち……ともだち……ミカは……ともだち』

 なんだろう? この生き物! 可愛すぎるんだけど!
 ゲンを抱え上げ、頬をすりすりする。

 ずっと触っていたくなる様なふわふわの毛は癒し効果抜群だ。
 ゲンもくすぐったそうにしている。

 私の頬をペロリと舐めるゲン。友好的な気持ちが伝わってくる。
『ぼくも……ミカ……まもる……』

「ゲン~、ありがとう……これからずっとよろしくね」
 私は思わぬ友達獲得に顔が緩みっぱなしだった。


『ミカ、そろそろじゃ』
 ゲンと心が通じたことに嬉々としていたら、師匠の声が私の耳に届いた。

「ん? そろそろって?」
『本体がそろそろ解放されるはずじゃ。あの小娘が人形妾の本体を返したくて、ミカを探している様じゃからな』

 ん? 私を探している? どういうこと?

「えっと、師匠? あの貴族令嬢に何したの? まさか、魔法でぶっ放したりしてないでしょうね?」
『そんな手荒な真似はしておらん。なに、ほんのちょこっとだけ脅しただけじゃ。ミカは明日にでもまた町に行ってうろちょろするだけでいい。黙っていても町の騎士がお主を見つけるじゃろう』

「町に? うん、そうだね。お肉も卵ももうほとんどないし、ゲンのご飯も必要だからちょうどいいし。でも、どうして町の騎士が私を探しているの?」
『そりゃあ、人形妾の本体を元の持ち主に返すためじゃ』

 なんでそういうことになったのかよくわからなかったけど、どうせ買い出しに行くつもりだったから町に行くのは問題ない。

 索敵魔法も小さな攻撃魔法も何とか習得できたので人攫い対策もバッチリだ。
 今度は爆音で町の人たちを驚かせてしまうようなことにならないようにしよう。

 きっと私なら大丈夫だ。……たぶん。
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