追放パンダの成り上がり〜勇者パーティーを追放されてパンダにされた弱小戦士が最強パンダを目指します〜

蒼月丸

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第一章 パンダにされた弱小戦士

冒険者ギルドへ

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 ファンクとアミは平原の中を歩き終え、とある街『スハラート』へと辿り着く。そこは多くの人が賑わっていて、様々な店も多くある。
「賑やかな街だな」
「ええ。ところでファンク。所持金はいくらあるの?」
 アミは気になった事をファンクに質問し、彼は所持金を確認する。
「確か五千ガルドだったな。宿の料金は千ガルドだが、これじゃあ流石にまずいな」
「となると、冒険者になるしか無いわね!」
 アミはすかさず閃いたと同時に、冒険者になる事を提案する。
「冒険者だな。けど、冒険者になるには試験がある事を知っているだろうな?」
「知っているわよ。年齢や性別などの制限は無いけど、試験を受けなければならないからね。一定以上の力量があると認められない限り、冒険者としてギルドに登録することができない。昔から定められた法律と決められているわ」
 アミの質問返しの説明に、ファンクは思わず引いてしまう。
「そこまで知っているとは……」
「賞金稼ぎを舐めないでね。さあ、行くわよ!」
「おわっ!」
 アミはファンクを引っ張りつつ、そのまま冒険者ギルドへと駆け出し始めた。
(毎回思ったけど、こいつって怪力なのか?)
 ファンクは心からアミについて思う中、彼等はギルドの前に辿り着く。
「意外と早く着いたな」
「だね。入ろうか」
 ファンクとアミはそのままギルドの中に入った。

     ※

 ギルドの中は多くの冒険者達で賑わっていて、獣人族やエルフなど様々な種族が存在していた。
「まずは受付から行こうか」
 ファンクとアミは受付嬢のいる所へ移動し、登録申請をする。
「申請完了です!では、クエストの試験内容ですが、こちらになります!」
 申請はすぐに終わり、受付嬢はファンクとアミに試験のクエストを説明し始める。
「内容は『ゴブリン狩り』。ゴブリンについては簡単には倒せますが、群れで襲い掛かるので要注意となります」
「なるほど。ゴブリンの習性については確認しているから、問題ありません」
「分かりました。あと、こんな話もあります」
「「?」」
 受付嬢はとある話を持ち出し、ファンクとアミは首を傾げる。
「あれは数日前の頃でした。今回行く平原でとんでもない怪物が出たのが目撃されたみたいです」
「とある怪物?なんだそりゃ?」
 受付嬢の話にファンクは首を傾げる。
「その名は初心者殺しのブラックウルフです」
「ブラックウルフか……確かに危険度が高いし、油断はならない相手となるな……」
 ファンクは真剣な表情で考えつつ、すぐに前を向く。
「ブラックウルフには気を付けておくよ。じゃあ、行くか!」
「OK!」
 ファンクとアミはそのままクエストに向かい、受付嬢は彼等の後ろ姿を見ながら手を振った。

     ※

 ファンク達は目的地となるアブール平原へと向かう中、人々は彼等の姿に注目していた。
「なんか俺達をジロジロ見ているのが気になるが……」
「そりゃ、アンタがパンダになっているからね。まあ、そう言うのも無理ないと思うわ」
「そう言うお前も俺に飛び付いてスリスリしていただろ。頼むから勘弁してくれよ!」
「やだーい!」
 アミの拒否の叫びにファンクは項垂れてしまう。そりゃ、悪い癖を治そうとするのには時間が掛かるし、何よりも子供っぽいところがあるので否定はできない。
(やれやれ……こんな調子でクエストなんてやっていけるのか?アミは実力は良いが、癖がこれじゃあな……)
 ファンクがため息をついたその時、女性達が次々と彼の下に駆け付けてくる。
「すいません。今からクエストに行かれるのですか?」
「そうですが……」
「私、ゴブリンについて知っています!奴の弱点は……」
「私、武器の手入れを知っています!」
「わーっ!いっぺんに話さなくて良いから、一人ずつお願いします!」
「むぅ……」
 女性達はファンクに次々とアドバイスを送るが、その様子にアミは頬を膨らましていた。

     ※

「良いよね、ファンクは!女性達にモテモテで!」
 目的地となるアブール平原に着いた時、アミはまだ頬を膨らましていて、ファンクは苦笑いしていた。
「けど、有益な情報を得られたからね。その分は期待に応えないとな」
「分かってるよ。さて……敵についてだが……」
 ファンクが辺りを見回したその時、茂みの中から5匹のゴブリンが姿を現した。
「5匹ぐらいか!やれるか?」
「当然……この私の実力を見せてあげるわ!『フレイムバレット』!!」
 アミは呪文を唱えると、炎の魔法弾を複数発出現させる。そして、そのままゴブリンに向かって放つと、一匹残らず倒れ込む。
「……凄いな。今の魔法は?」
「……ファイアボールの魔法の上位互換みたいなものね。これでどうかしら?」
 アミは胸を張って、得意気な笑みを浮かべている。
(こういう所は子供っぽくて、俺はあまり好きじゃ無いんだけどな……)
 ファンクは苦笑いし、そのまま歩き出した瞬間、またゴブリンが次々と出てきてしまった。
「確か倒す数は……15匹……なら、俺に任せろ!」
 ファンクはすぐに駆け出したと同時に、強烈な斬撃を放つ。
「紅蓮斬撃!」
 ファンクの炎の斬撃が見事決まり、ゴブリン達は全滅した。
「ふう……とりあえず、これでクエストは達成かな。戻ろうか!」
「……うん!」
 ファンクとアミはそのまま帰ろうとしたが、彼等は気付いていない。
「う……ぐ……お……お……おおぉぉぉ……」
 突如、背後から唸り声のようなものが聞こえてくる事に。
「!?」
 ファンクは驚いて、振り返る。するとそこには……。

「……ブラックウルフ!?」
「……え……?」

 ファンクとアミは目を見開いて驚いていた。
(おいおい……!こいつはヤバいぞ……!まさかとんでもない展開になるとは……)
 ファンクは心の中でブラックウルフを警戒し、アミは怯えている。
(こいつも、あの有名なブラックウルフだって!?)
 ファンクは心の中で叫んでおり、ブラックウルフは彼を睨んでいた。
「まさか、こんな奴と遭遇するなんてな!やるしか無いか……!」
 ファンクは腰の剣を手に持つ。
「やるわよ!」
 アミはファイアーボールの魔法を唱える。
(やるしか無い……か!)
 ファンクは心の中で呟きつつ、アミの魔法が放たれようとしていた。
(しかし……コイツは強い……!)
 ファンクは警戒心を強くする中、アミの魔法は放たれる。
「FIREBALL!」
 炎がブラックウルフに当たるが、彼はまったくの無傷で、そのまま走り出す。
「くそっ!まだだ……!」
 ファンクは素早く駆け出してブラックウルフとの距離をつめると、剣を振るう。
「紅蓮斬撃!」
 炎属性の斬撃が放たれるが、ブラックウルフは無傷で、そのまま距離を詰めて、彼に鋭い爪を振るう。
「……ぐっ!」
 ファンクは左腕を切り裂かれ、負傷してしまう。
(俺の攻撃は全然効かないのか……!)
 ファンクは驚愕し、ブラックウルフは再び彼に飛び掛かるが、アミが割って入る。
「邪魔!」
 アミは鋭い爪を蹴り飛ばした瞬間、ファンクは彼女の前に出る。
「俺がやるよ。お前には危ない事はさせたくない」
「……うん!」
 アミは笑顔で彼を見上げ、ファンクは頷く。
(……こいつの笑顔を見るのは、本当に久しぶりだったな……)
 ファンクは思い出しながら、ブラックウルフを睨む。
(……こいつだけは、絶対に倒す!俺のために戦ってくれたあいつのためにも!)
 ファンクは剣を両手で握りしめ、ブラックウルフを睨む。
(こいつを倒すために……!俺はここで力を使い切る……!)
 ファンクは気力を高めながら、ブラックウルフに刀を振り下ろす。
「うおおおおおぉぉぉぉ!!」
 ファンクは気力を高めながら、ブラックウルフに剣を振り下ろす。
「うおおおおおぉぉぉぉ!!」
 ファンクは剣を振り下ろし続けながら、叫ぶ。
(こいつを……倒すんだああああぁぁぁぁ!!)
 ファンクは咆哮しながら刀を振り下ろし続ける中、ブラックウルフは徐々に追い詰められていく。
(……こいつ……!俺の攻撃を防ぐために、少しずつだが後ろに下がっていく……!やはりそう簡単にはいかない物だな!)
 ファンクはニヤリと笑いつつも戦闘態勢に入り、ブラックウルフとの戦いに集中力を高めた。
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