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第一章 パンダにされた弱小戦士

森の中での出会い

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 パンダにされたファンクは一人で旅をしているが、今後の事を考え続けていた。
(彼奴等は確か魔王軍を倒す為に行動しているからな……俺も彼奴等みたいに勇者になろうかな……いやいや、下手したら大変な事になるし……)
 ファンクが首を横に振りながら否定していたその時、モンスターであるスライムが姿を現した。
「スライムか。この力でやってみるか!」
 スライムがファンクに襲い掛かるが、彼は剣と盾を構えて立ち向かう。
「そこだ!」
 ファンクの剣がスライムを一刀両断し、スライムは破裂して素材と金貨になった。
「スライムの粘液と20ガルドか。しかも、一撃で倒したし、この姿も悪くないな」
 ファンクはスライムの粘液と金貨を回収してそれぞれの袋にいれる。因みにこの世界での通貨はガルドとなっているのだ。
「さてと、今後の事について考えないとな……」
 ファンクが再び考え始めたその時、スライムの群れが次々と襲い掛かってくる。
「やれやれ……考えさせる暇も無いみたいだな!」
 ファンクはため息をつきながらも見事な剣さばきでスライムの群れを次々と蹴散らし、素材と金貨を全て回収する。
「今ので大体ニ百ガルドは稼いだかな……ん?」
 ファンクは回収したガルドを数えていたその時、目の前に黒猫の獣人が昼寝しているのが見えた。
 彼女は格好からするとガンマンでジーンズとサスペンダーを着ているが、その様子から見るとのんびりしているみたいだ。
(ったく、呑気に寝ていやがって……こっちはそれどころじゃないのに……)
 ファンクが心の中でため息をつきながら通り過ぎようとしたその時、女性はいきなり目を覚まして背伸びをしながら起きた。
「うおっ!?」
 ファンクが驚いて尻もちを地面についた途端、女性はお腹を掻きながら彼に視線を移す。
「あっ、パンダだ!」
「正確にはパンダにされたけどな。なんでこんな所で寝ていたんだ?」
「分かんない」
 ファンクの質問に女性は首を傾げ、彼はズッコケてしまった。
「まあいい。俺はファンク。元は人間で勇者パーティーに入ってから、理由あってこの姿になったんだよ」
「そうなんだ……私はアミ。黒猫族のガンマンで賞金稼ぎをしているの」
 ファンクとアミは自己紹介する中、彼女は彼に飛びついた。
「おいコラ!」
「ふかふかで気持ちいい!フニャ~ン!」
 アミはすっかりファンクに懐いてしまい、彼の身体をスリスリと擦り付けながら笑顔になってしまう。
(くっそー……あいつめ……とんでもない魔術を掛けやがって……こんな事を分かって考えたんだな……そもそもなんでパンダなんかにしたんだよ!)
 ファンクはバリウスに対して心から怒る中、アミは彼から離れてすぐに手を取る。
「そう言えば、ずっと一人で考え事をしながら歩いていたでしょ?なら、私も行動するから」
「本当か?まあ、俺としては助かるが……」
「仲間は多い方がいいからね。さっ、行くわよ!」
 アミはファンクの手を引っ張りながら駆け出し、彼もまた走り始める。
(やれやれ。忙しくなりそうだな……)
 ファンクは呆れ顔で心から苦笑いする中、彼等は森の中を駆け出した。

     ※

 森の中を抜けた二人は、平原へと移動してモンスターがいないか確認し始める。
「彼奴等に追いつく為にはレベルアップが必要となるからな。その為にも今の状況を脱さなければまずいだろう」
「うん。私としても強くならないといけないからね。さて、まずはどうするか……」
 アミがどうするか考え始めたその時、スライム、鳥のモンスターのリトバド、狼のウルフが姿を現した。
「まあ、地道に強くなるしか無いかもな!」
「それもそうね!」
 ファンクの意見にアミも同意し、二人はそのままモンスター達に襲い掛かる。
「波動斬!」
 ファンクは剣から波動の斬撃を繰り出し、多くのスライム達を切り裂き倒した。
「凄い……パンダになってから威力が上がっている……あながちパンダになったのは間違いじゃなかったのかな……」
 ファンクがパンダの姿に感心している中、アミは銃を構えてモンスター達に狙いを定め始める。
「バレットショット!」
 放たれた弾丸はリトバド達に次々と当たり、爆発して数を減らす事に成功する。
「銃使いか……なかなかやるな」
 アミの戦う姿に感心したファンクはすぐに前を向き、襲い掛かるウルフに視線を移す。
「はっ!」
 ファンクは跳躍したと同時に急降下し、強烈キックでウルフに直撃して大ダメージを与えた。
(できた……俺が苦戦していたあのウルフに攻撃を当てた……)
 ファンクは自身の行動に心から感激する中、ウルフは消滅して素材と金貨になった。
(これで全部か……パンダになってからモンスターが楽に倒せるなんて思わなかったな……)
 モンスターを全て倒し終えた後、ファンクは自身の掌を見つめながら冷静に考える。
 以前ならばモンスターに飛ばされて苦戦は強いられていたが、今では簡単に倒せるぐらいの実力を持っているのだ。
(まあ、深く考えなくてもここからやり直せば良いからな。まだまだここからだ!)
 ファンクは心の中で新たな決意を固めたその時、またしてもアミが彼に飛びついた。
「またかよ!」
「フニャ~ン!もっと抱っこ~!」
「おい、止めろ!恥ずかしいから!」
 ファンクの静止も聞かず、アミはスリスリと彼の身体を擦り付けまくる。
「これさえなければ良いパートナーなのに……」
 ファンクががっくりと項垂れる中、すぐに苦笑いしながらも彼女を抱き上げる。
「でも、共に戦ってくれるのは心強い。これからも宜しくな」
「うん!私も精一杯サポートするから!」
 ファンクの笑顔にアミも笑顔で応え、二人はそのまま平原の中を歩き始めた。
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