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第一章 パンダにされた弱小戦士

二人の新たな物語

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 ファンクとブラックウルフの戦いは激しさを増していて、お互い一歩も引かない激しい展開となっていた。
(やはりそう簡単にはいかないか!レベルが高いのも無理ないな……)
 ファンクが冷や汗を流す中、アミはブラックウルフに弱点がないか察知し始める。
(確かブラックウルフの弱点は……あっ!)
 するとアミはブラックウルフの弱点に気付き、急いでファングのいる方へ駆ける。
 ファンクはアミに気づいていない。
「ファンク!ブラックウルフに弱点は目!目を潰して!」
 ファンクはアミに言われるまま、ブラックウルフの目めがけて突進した。
 しかし、ブラックウルフはファンクが目の前まで来ると素早くバックステップ。
「グォン!(残念だけど)」
 ブラックウルフはファンクの突進をかわした後、ファンクの横をすり抜けてアミの方へ向かった。
「きゃっ!?ちょっ!」
 アミは慌ててファンクの方を振り向くと、ファンクはすぐに追いかけてブラックウルフの方へ走りだした。
「グルル!(かかったな!)」
 ブラックウルフは笑いながらファングを追い越し、後ろ足でアミにタックルをかました。
 ファンクはアミが倒れる寸前に横から突っ込み、アミに当たらないようにブラックウルフの右側にタックルする。
(よし!後は俺がブラックウルフを倒せば……!)
 ファンクはそのままブラックウルフの右足を噛んで締め上げようと、さらに噛みつこうと首を伸ばした瞬間――
 ファンクの目の前にブラックウルフの鋭い爪が見えた。
 ファンクはとっさに身を捻って右足に噛みついたまま左によけたが、避けきれずに右足を浅く切った。
 ファンクはすぐ右足を押さえながら距離を取る。
 しかし、ブラックウルフの方もダメージがあったようで、ファンクから離れていく。
(くっ……このままじゃ埒があかない……!)
 ファンクが冷や汗を流したその時、アミがもう一つの弱点を察知する。
「もう一つは光!そうなると……シャインバレット!」
 アミは光の弾丸を次々と発射し、ブラックウルフに直撃してダメージを与える。
 するとブラックウルフは怯んでしまい、そのチャンスをファンクは逃さなかった。
「今だ!」
 ファンクはすかさずブラックウルフに接近すると、そのまま斬撃を繰り出そうとする。
「破滅斬撃!」
 ファンクの斬撃でブラックウルフは切り裂かれて倒れてしまった。
「ふう……勝った……!」
 ファンクは勝利の雄叫びを上げ、アミの元へ駆け寄る。
「ファンク……大丈夫?怪我してる」
 アミが心配する中、ファンクは怪我をした足を舐めている。
(この程度ならすぐに治る。今は素材を集めることに専念しよう……)
 ファンクはそう考えながらブラックウルフから素材を剥ぎ取る。
「それにしても、あの弱点を見抜くの早かったね?」
 ファンクが言うと、アミは照れ臭そうに笑う。
「ううん、私の勘。ただ……何となくわかっただけ」
 アミがそう答えると、ファンクは微笑みながら頷く。
(なるほど。アミにはそう言う特殊能力があるのか?)
 ファンクは疑問に思いながらブラックウルフから剥ぎ取った素材を、ストレージに入れて収納する。
「後は回復しないと!」
 ファンクは秘薬を使って怪我を治し、すぐに立ち上がる。
「さっ、帰ろうか!」
「ええ!」
 ファンクはアミと共にその場からギルドへと戻り始めた。

     ※

「まあ……ゴブリンだけでなく、ブラックウルフも倒したのですね!」
 ギルドではファンクからの報告に、受付嬢は驚きながらも彼の行動を称賛していた。
「試験は無事に合格!貴方方二人は冒険者になります!」
「良かった……」
 ファンクは安堵のため息をつき、アミは笑顔になる。
「じゃあ早速ですが……昇格のクエストです!」
「え?もう……?」
 受付嬢の言葉に困惑する中、アミは別のことを考える。
(昇格のクエストかぁ……)
 アミは昇格クエストについて考えてみるが、どうすればいいかが分からない。
「昇格のクエストに関してですが、ある程度のクエストを成功するとその昇格クエストに受けられます!因みに、クエストに関してはこちらです!」
 受付嬢が指差す方を見ると、多くのクエストボードが貼り付けられていて、様々な依頼が多くあるのだ。
「それではご健闘をお祈りしています!」
 受付嬢はそう言いながら一礼する。
(どうしようか?昇格クエストを受けるべきか……?それとも)
 ファンクはアミの方を向き、アミも同じようにファンクの方を向いた。
「今はまだまだこれからだ。今日はゆっくり休んで、明日から頑張らないと!」
「そうね。無理は禁物だし、疲れを癒やさないとね」
 ファンクとアミがお互い笑顔になる中、受付嬢はある事を思い出す。
「あと、クエストクリアとして報酬金五千ガルド、更にブラックウルフ討伐の報酬もあります!」
「えっ!?どんなの!?」
 ファンクが思わず尋ねるが、受付嬢は少し言いづらそうにしながら答えた。
「それは……こちらが受け取りましたので」
 受付嬢の手元にはブラックウルフの素材が置かれていて、ファンクは唖然となった。
「そっ……そんなぁ……」
 ファンクはがっくりと項垂れる。
(折角……あのブラックウルフを倒したのに……)
 ファンクが肩を落とす中、アミは笑顔でファンクへ話しかける。
「じゃあこれで、ファンクの装備を整えるの!いいことじゃない!」
「……そうかもしれないけど……」
 ファンクは落ち込むが、すぐに前を向く。
「まあ、この先強くなるには持って来いだな。それにこれから先はさらなる強い敵もいる事だし」
「そう言う事。後は鍛冶屋に向かわないとね。確か鍛冶屋はギルドの隣にあるわ。早速向かいましょう!」
「うおっ!強く引っ張るなよ!」
 アミはファンクの手を引っ張りながら、そのまま鍛冶屋の方へ向かい出した。

     ※

 鍛冶屋に辿り着くと、そこには一人の親父がいて、ファンク達の方を向く。
「おお、パンダが来るなんて驚いたな」
「正確には姿を変えられましたけどね。俺はファンクです」
「私はアミ!」
 ファンクとアミは親父に対して自己紹介をする。
 親父は二人の顔を見ると、腕を組みながら頷く。
「そうか……お前達も冒険者になったか……」
 親父は二人を見据えながら話す。
「俺はガイン。鍛冶師だ。早速だが……武器や防具を作ってほしいんだろ?」
「「ええ!」」
 ファンクとアミは自身のそれぞれの武器と狼の素材をガインに渡す。
「それならすぐに終わらせるぜ!」
 ガインは素早く武器の改良を行い、あっという間に終わってしまった。
「もう終わったのですか!?」
「おうよ!こちとら素早く終わる鍛冶屋と呼ばれているからな!ウルフソードとウルフガンだ!」
「ありがとう!」
 ファンク達は武器を受け取り、代金を払う。
「そうそう。盾についての強化だが、とある素材が必要になる」
「どんな素材ですか?」
 ガインの話にファンクは興味津々になる。
「それは――」

      ※

 冒険者ギルドの受付で、受付嬢は依頼を処理している。
(今日は特に多いわね)
 受付嬢は依頼をこなしていく中、一人の冒険者が来たことに気づく。
(あっ、あれは……)
 受付嬢はその冒険者に見覚えがあり、顔を明るくする。
「お帰りなさい。長旅お疲れ様でした!」
 受付嬢の笑顔に冒険者はニッコリと笑顔で応えた。
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