86 / 197
収束
86
しおりを挟む
早朝から本部を訪れ、若衆に案内された朔也と吾妻は桐島と半年ぶりの再会を果たす。
『オジキご無沙汰しております』
2人揃って頭を下げれば作務衣姿の桐島に茶室へと通された。
見知った3人の茶会はラフなものだ。3人で風炉釜を囲み金平糖を口に含んだ。
桐島により点てられた薄茶をすっと飲みきり特に茶碗を見ることもなく、桐島へと返す。
『まったく。お前達には侘びも寂びもないな』
苦笑気味の桐島に、取って付けたように
『結構なお点前で』
と頭を下げる。
しかし侘びも寂びもないのは桐島とて同様だ。
『何か土産があるから顔を出したんだろ?』
悪い笑顔は見慣れている。桐島が切り出したのだ。朔也も早々にそこに乗る。
『オジキ、嫁は見つかりましたか?』
吾妻が愛用のタブレット端末を何度かタップして動画を再生する。
前田達也の面接の際、監視カメラが録画していた映像だ。音声も拾っていることから容姿だけでなく店長との会話も記録されている。
『頭の弱そうなボクちゃんだな』
第一声がそれだ。あまり好印象は与えられなかったのだろうか。
『年の割に若く見えるな。それに別嬪さんだ』
可能な限り早く連れて来いと言う桐島に、朔也から1つ提案をする。
『オジキ、また逃げられないように何か手を打っては?』
離れと言っても十分な広さがあるここに、座敷牢を作ってはどうかと。
朔也からすれば、前田達也がどう扱われようとも興味はない。
ただ、みすみす逃げられるようなことは許せないのだ。できる限り長い間心身への苦痛をと望んでしまう。どのような苦痛を与えられるのかに興味はないし、それによって前田達也が命を落としたとしても構わない。
陽を捨てたことへの復讐。
陽の父親であることへの嫉妬。
それを消化するために鬼畜を鬼畜にあてがう。朔也の自己満足に過ぎない行動ではあるが、特に罪悪感もない。
『早速明日から改築工事に取りかかります』
ここの持ち主である八神には土門を通じて既に了承を得ている。
桐島に甘い八神からは
『桐島の思うままに』
と言われているのだ。
『ただの座敷牢では面白くないな』
桐島から、そんな要望がでるのは想定内であった。
様々なプランを提案し、桐島が望んだ座敷牢は、コンクリート打ちっぱなしの床に排水の設備。パーテーションのない剥き出しのシャワーとトイレ。
そして、人を吊ることができる強固な梁とそこに下ろす鎖りだった。
傘下の建設会社に5日で仕上げさせることを約束し、その日のうちに前田達也を受け渡すこととした。
『あぁ、天海。いくらだ?』
桐島は「前田達也」と言う道具を買うつもりなのだろう。
しかし朔也は人身売買に興味はない。
『改装費用は総裁からいただきますので』
それだけ言い残し、離れを後にした。
『オジキご無沙汰しております』
2人揃って頭を下げれば作務衣姿の桐島に茶室へと通された。
見知った3人の茶会はラフなものだ。3人で風炉釜を囲み金平糖を口に含んだ。
桐島により点てられた薄茶をすっと飲みきり特に茶碗を見ることもなく、桐島へと返す。
『まったく。お前達には侘びも寂びもないな』
苦笑気味の桐島に、取って付けたように
『結構なお点前で』
と頭を下げる。
しかし侘びも寂びもないのは桐島とて同様だ。
『何か土産があるから顔を出したんだろ?』
悪い笑顔は見慣れている。桐島が切り出したのだ。朔也も早々にそこに乗る。
『オジキ、嫁は見つかりましたか?』
吾妻が愛用のタブレット端末を何度かタップして動画を再生する。
前田達也の面接の際、監視カメラが録画していた映像だ。音声も拾っていることから容姿だけでなく店長との会話も記録されている。
『頭の弱そうなボクちゃんだな』
第一声がそれだ。あまり好印象は与えられなかったのだろうか。
『年の割に若く見えるな。それに別嬪さんだ』
可能な限り早く連れて来いと言う桐島に、朔也から1つ提案をする。
『オジキ、また逃げられないように何か手を打っては?』
離れと言っても十分な広さがあるここに、座敷牢を作ってはどうかと。
朔也からすれば、前田達也がどう扱われようとも興味はない。
ただ、みすみす逃げられるようなことは許せないのだ。できる限り長い間心身への苦痛をと望んでしまう。どのような苦痛を与えられるのかに興味はないし、それによって前田達也が命を落としたとしても構わない。
陽を捨てたことへの復讐。
陽の父親であることへの嫉妬。
それを消化するために鬼畜を鬼畜にあてがう。朔也の自己満足に過ぎない行動ではあるが、特に罪悪感もない。
『早速明日から改築工事に取りかかります』
ここの持ち主である八神には土門を通じて既に了承を得ている。
桐島に甘い八神からは
『桐島の思うままに』
と言われているのだ。
『ただの座敷牢では面白くないな』
桐島から、そんな要望がでるのは想定内であった。
様々なプランを提案し、桐島が望んだ座敷牢は、コンクリート打ちっぱなしの床に排水の設備。パーテーションのない剥き出しのシャワーとトイレ。
そして、人を吊ることができる強固な梁とそこに下ろす鎖りだった。
傘下の建設会社に5日で仕上げさせることを約束し、その日のうちに前田達也を受け渡すこととした。
『あぁ、天海。いくらだ?』
桐島は「前田達也」と言う道具を買うつもりなのだろう。
しかし朔也は人身売買に興味はない。
『改装費用は総裁からいただきますので』
それだけ言い残し、離れを後にした。
10
あなたにおすすめの小説
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
Take On Me
マン太
BL
親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。
初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。
岳とも次第に打ち解ける様になり…。
軽いノリのお話しを目指しています。
※BLに分類していますが軽めです。
※他サイトへも掲載しています。
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる