太陽と月

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収束

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本部の離れ、桐島の住まいにはハイクオリティな座敷牢が出来上がった。
これを見て誰がたった5日間の突貫工事で仕上げたと創造するだろうか。

最終的には桐島からの要望で4面ある壁のうち3面は鏡張りとなり残り1面には磔台、部屋の中央には分娩台も設えられた。
ハード面は顧客桐島の要望通りに完成した。

そしてソフト面はと言えば、猶予として与えた5日で、きっちり前田達也を仕上げてきたあたり、やはりあの店長はただ者ではない。

『後ろだけで達することができるぐらいには仕上がっています』

朔也と吾妻の眼前で姿勢よく立つ店長は顔色1つ変えず、あくまで事務的に報告をする。いったいどんな方法を使ったのかと興味本位で聞いてもみたが

『企業秘密ですよ』

と珍しくおどけた表情を見せた店長が空恐ろしくも思えた。

因みに前田達也を呼び出す際には、虚偽の採用連絡と共に「君には特別なポジションを用意している」と伝えただけで、ホイホイと現れたそうだ。
元々店長は採用するつもりはなかったようだが、やはり軽薄で浅慮な男なのだろう。

研修場所への移動名目で借り上げたラブホテルの一室に留め置き特別なポジションに付く為の特別な研修を用意したのだ。真実ではないが嘘でもない。

開店準備で多忙を極めているはずの店長に余計な仕事をさせたため、公ではないボーナスを渡す。

深々と頭を下げた店長は、あ、それと。と言葉を続けた。

「ナカを柔らかくにするために道具は使いましたが」

まだ男を受け入れさせてはいないと言う。すぐにでも男の相手は可能だが、正真正銘の初物だと。

朔也も吾妻も、正直なところ前田達也が初物だろうと傷物だろうと興味はない。
しかし店長からすれば、吾妻から依頼されたは一点の曇りなく完了させたかったのだろう。

真っ当な生き方をする人間に言えば鼻で笑われるようなことだが、店長はこんな形で組織への忠誠心を表したのだ。

用意された座敷牢で、どんなに仕事をしても金銭での報酬は発生しないが、衣食住は保証されている。
前田達也には賄い付きで住み込みの肉体労働のアルバイトと思ってもらえばいい。
本人がそう思わなくても、他の選択肢はないのだが。

吾妻は明朝、店長と共に桐島の住まいへと向かい、そのままを引き渡すこととなった。

商売上、建設な商品ではないが朔也が抱えていた違和感は、収束に向かう。

変化は乏しいが、朔也が満足げな表情なのは付き合いの長い吾妻には解る。

元よりヤクザなのだから人の道に外れる行為なのだと責められることはない。

桐島は新しい嫁を迎えられる。朔也は違和感の正体を暴き、それを排除する。
前田達也により、その利害関係が一致しただけ。ただそれだけなのだ。
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