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収束
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翌朝、日も登りきらないうちに、吾妻と店長は前田達也を引き連れ、桐島の住まいを訪れた。
座敷牢の入口で3人を出迎えた桐島は前田を見て瞠目する。
成功だ。吾妻も店長も、ほくそ笑む。
座敷牢を見て漸く身の危険を感じたのだろう前田の華奢な体が面白いほどに震え出した。
『お、俺帰ります』
ここまで何も気付かなかった愛すべき愚か者は踵を返そうとするが、既に逃げ場などない。
『そんなこと言わずに、こっちへおいで』
情欲の灯った瞳を隠そうともせず桐島が手招きをしている。
大きな南京錠が付けられた座敷牢の入口を開け前田を誘うのだが、足を踏ん張って、なかなか歩を進めようとはしない。
業を煮やした店長によって半ば強引に座敷牢へと押し込められ、コンクリートが打ちっぱなしの床へと倒れこんだ。
『お、俺は』
売り専ボーイになりたかったのだと喚く前田に、その資格はないと言い放ったのは吾妻だ。
『人を見る目のある店長は端からお前を採用するつもりはなかったんだよ』
冷たく言い放った吾妻の隣で店長も頷いている。
『なぜ俺がこんな目に遇わなきゃならないんだ』
喚き散らす愚か者に吾妻の声は更に低くなる。
『思い当たることが多すぎて解らないか?』
これで、陽が救われるわけではない。これまで前田達也によって傷つけられた者達に代わって報復をなどと烏滸がましいことを考えているわけでもない。
ただただ、目の前の愚か者を貶めたかっただけなのだ。
世間の道理を知らない人間が世間に混じるべきではない。
その為に座敷牢を作ったのだから。
『それではオジキ』
全ての引き渡しを終え、吾妻と店長は桐島に軽く頭を下げる。
『近々上映会だ。期待してくれ』
有りがたくない、興味もない近い将来の誘いを受け苦笑を隠すように桐島の住まいを後にした。
仕切りに遠慮する店長を麻生が運転する自動車に同乗させた帰り途、走り出して暫くしてから先に口を開いたのは店長だった。
『人は己の愚かさに気付けないと、どこまでも堕ちるのですね』
そして、堕ちたことにすら気付かないのだと。
前田達也もそうだろう。どこまでも堕ちて、抜け出せなくなって後はそこで生きるしかないのだ。
世間を甘く見過ぎていた前田達也は、これから世間の厳しさを正に身をもって知るだろう。これからは随分と狭い世間で生きていかねばならないのだが。
1つ仕事が終わり愁眉を開いた吾妻は、重い空気を払拭しようと店長に軽口をたたく
『桐島のオジキの上映会、店長は見に行ってやれよ』
ギクリと固まった店長は、曖昧に笑いやり過ごすことで精一杯だった。
座敷牢の入口で3人を出迎えた桐島は前田を見て瞠目する。
成功だ。吾妻も店長も、ほくそ笑む。
座敷牢を見て漸く身の危険を感じたのだろう前田の華奢な体が面白いほどに震え出した。
『お、俺帰ります』
ここまで何も気付かなかった愛すべき愚か者は踵を返そうとするが、既に逃げ場などない。
『そんなこと言わずに、こっちへおいで』
情欲の灯った瞳を隠そうともせず桐島が手招きをしている。
大きな南京錠が付けられた座敷牢の入口を開け前田を誘うのだが、足を踏ん張って、なかなか歩を進めようとはしない。
業を煮やした店長によって半ば強引に座敷牢へと押し込められ、コンクリートが打ちっぱなしの床へと倒れこんだ。
『お、俺は』
売り専ボーイになりたかったのだと喚く前田に、その資格はないと言い放ったのは吾妻だ。
『人を見る目のある店長は端からお前を採用するつもりはなかったんだよ』
冷たく言い放った吾妻の隣で店長も頷いている。
『なぜ俺がこんな目に遇わなきゃならないんだ』
喚き散らす愚か者に吾妻の声は更に低くなる。
『思い当たることが多すぎて解らないか?』
これで、陽が救われるわけではない。これまで前田達也によって傷つけられた者達に代わって報復をなどと烏滸がましいことを考えているわけでもない。
ただただ、目の前の愚か者を貶めたかっただけなのだ。
世間の道理を知らない人間が世間に混じるべきではない。
その為に座敷牢を作ったのだから。
『それではオジキ』
全ての引き渡しを終え、吾妻と店長は桐島に軽く頭を下げる。
『近々上映会だ。期待してくれ』
有りがたくない、興味もない近い将来の誘いを受け苦笑を隠すように桐島の住まいを後にした。
仕切りに遠慮する店長を麻生が運転する自動車に同乗させた帰り途、走り出して暫くしてから先に口を開いたのは店長だった。
『人は己の愚かさに気付けないと、どこまでも堕ちるのですね』
そして、堕ちたことにすら気付かないのだと。
前田達也もそうだろう。どこまでも堕ちて、抜け出せなくなって後はそこで生きるしかないのだ。
世間を甘く見過ぎていた前田達也は、これから世間の厳しさを正に身をもって知るだろう。これからは随分と狭い世間で生きていかねばならないのだが。
1つ仕事が終わり愁眉を開いた吾妻は、重い空気を払拭しようと店長に軽口をたたく
『桐島のオジキの上映会、店長は見に行ってやれよ』
ギクリと固まった店長は、曖昧に笑いやり過ごすことで精一杯だった。
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