太陽と月

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続く朔日

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開けられたドアの正面窓際に置かれたベットで眠る朔也。
生体情報モニタは確かに朔也が生きていることを証明している。

しかし、いつものように陽を抱き上げ額にキスする朔也はいない。

病室に入ってもドアの近くで立ち尽くし陽はベッドに近付けずにいる。咲恵が一歩前に出て

『陽くん、朔也君を起こしてあげて』

柔らかな笑顔で陽にミッションを与える。正に恐る恐ると言った様子でベッドに近づき、小さな声で朔也の名を呼ぶ陽は、陽なりに何かを感じ取ったのだろう。

体を小刻みに震わせ、瞳はに涙を溜めている。

『陽くんが呼べば、きっと朔也君は起きてくれるわ』

咲恵が更に促すと、先ほどよりも少し大きな声で

『さくや、あたまいたい?おなかいたい?』

それでも反応のない朔也に、今度は手を握り再度名を呼ぶ

『さくや、おきて』

陽なら朔也の目を醒ますことができる。そんな奇跡を信じていた佐伯も咲恵も落胆の表情を隠せない。
しかも悪戯に陽を傷つけてしまっただろう。
決して安易な気持ちで連れて来たわけではないが、やはり陽が傷つくのは辛い。

そんな2人の表情には気付かない陽は、咲恵から与えられたミッションをどうにか果たそうとしている。

『さくや おきて』

何度か同じ言葉を繰り返した陽だが、ついに無言になってしまう。
瞳に溜まった涙が一筋伝い、無機質な病室の床にポタリと落ちると、ごしっと袖で涙を拭い、思わぬ行動に出のだ。

『さくや、おきて』

言葉は先ほどまでと変わらないが、眠る朔也の額にキスをしたのだった。

いつもは朔也にしてもらうそれだが、そう言えば、ここぞと言う時には陽からキスをしていたことが何度かあった。

陽にとって、今がと言う時なのだろう。
一見熱烈に見える長いキスの後



奇跡は起きた。



閉じられたまま動かなかった朔也の瞼が、覚醒のために動き始めたのだ。

『若っ!』

半ば諦めていた佐伯は、ここが病室だと言うことも忘れ、つい大きな声を出し、咲恵に窘められる。

ただし、その大きな声で朔也は完全に覚醒したのだろう。
瞼がゆっくりと持ち上げられ朔也の瞳に一番に映ったのは目を真っ赤に腫らした愛しい人の泣き顔だった。

長いこと声を出していなかった朔也が、少し掠れた声で陽を呼ぶ。

そして、ここでも冷静なのは咲恵だけ。ナースコールを押し朔也の覚醒を報告すれば、タイミングよくナースステーションに居合わせた鴨志田が転がるような勢いで病室に現れたのだった。

『お目覚めですね、天海さん』
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