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パロディ小話『若紫(源氏物語より)』カル&カサス編
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こちらはWEB拍手にて公開しておりました、人気投票三位の小話です。
ギャグです。原作(源氏物語)好きの人にはおすすめできません。
ご注意ください。
キャスト→源氏の君:従者カサス。若紫:黒猫カル。
********************************************
加持のために北山を訪れていた源氏の君は、とある屋敷から響く童女の声に足を止めた。
そしてそっと、垣根越しに屋敷の様子を窺う。
簾を上げた端近に、一人の童女が立っていた。
空を見上げながら、「犬君の馬鹿…」と何やら恨み言を言っている。
「せっかく捕まえたのに…。なんで逃がすんだよ…」
質素ながらも品のある色合わせの衣を纏った、美しい黒髪の童女。
その姿に、源氏の君は目を離せなかった。
なんて愛らしい…。
何か悲しいことがあったのか、瞳がわずかに潤んでいる。
「…後から遊ぼうと思ってたのに…。ちくしょう…」
そんな口汚い言葉も、今の源氏の君の耳には届かなかった。
(な! なにあれなにあのコ!! 超どストライクなんですけどー!!)
源氏の君は人目もはばからず、垣根越しに童女の姿を窺う。
その息がはあはあと熱くなっているのは、気のせいではない。
「あー、もう。また捕まえにいくか…。雀」
(可愛い可愛いちょう可愛い!! あー、成長したらきっと絶世の美女になるぞアレ!! うわあ今から唾付けておきたいっつーか、今だからこそ!!)
今の、あの幼げで、無垢で愛らしい姿がたまらない! と。
そんな変態的思考に浮かされる源氏の君。
(どこのお姫さんだろあのコ。あの品、ただの娘には思えないな…。よし!!)
そして源氏の君は配下の者にこの家のことを調べさせ、あの童女が兵部卿宮の愛人の娘であることを突きとめる。
童女は正妻の悋気から逃れてこの北山で暮らしていたのだ。
そして源氏の君は、後見である祖母に童女・若紫を妻として引き取りたいと申し出たが。
「うせろロリコン」
と一蹴されてしまう。
が、源氏の君は諦めなかった。
ロリコン? いいえ、違います。
若紫に恋をしちゃったんです!! と開き直って。
やがて若紫の祖母が亡くなり、父である兵部卿宮に引き取られるという噂を聞いて。
源氏の君はまるで盗賊のように、若紫の屋敷に忍び込む。
突然現れた変…もとい、貴公子に、若紫は絶叫した。
「にゃーっ!! かえれ変態!!」
「若紫ちゃん(キリッ)、俺の北の方になってください!!」
「無理っ!」
「年のことなら、俺気にしないから!!」
「お前が気にしなくても、俺がいやにゃの!!」
「大丈夫。他の女とは全部手を切った。これからは君だけを、一途に愛します!!」
「いーやーにゃー!!」
どたんばたんと御簾の内での攻防戦。
やがて、このままではここで既成事実作られる! と思った若紫は……
「おっ、俺はホントは女じゃないのにゃ!! 男なのにゃ!!」
と叫んだ。
「え…?」
「ち、父上の北の方が怖い人で。北の方には男の子がいないから、俺が男だってばれたらなにされるかわからないって、女として育てられてただけにゃ!!」
本当は、誰にも言っちゃいけないって言われていたけれど。
このままじゃ、コイツに犯られる!!
「だから、お前の北の方なんて無…」
「なぁんだ、そんなこと!!」
「え?」
「大丈夫っ!! 俺は気にしないよ、若紫ちゃん!!」
気にしろよおおおおおおおおおおおおおおっ!! と。その日。
屋敷には、若紫の絶叫が響き渡ったという。
ギャグです。原作(源氏物語)好きの人にはおすすめできません。
ご注意ください。
キャスト→源氏の君:従者カサス。若紫:黒猫カル。
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加持のために北山を訪れていた源氏の君は、とある屋敷から響く童女の声に足を止めた。
そしてそっと、垣根越しに屋敷の様子を窺う。
簾を上げた端近に、一人の童女が立っていた。
空を見上げながら、「犬君の馬鹿…」と何やら恨み言を言っている。
「せっかく捕まえたのに…。なんで逃がすんだよ…」
質素ながらも品のある色合わせの衣を纏った、美しい黒髪の童女。
その姿に、源氏の君は目を離せなかった。
なんて愛らしい…。
何か悲しいことがあったのか、瞳がわずかに潤んでいる。
「…後から遊ぼうと思ってたのに…。ちくしょう…」
そんな口汚い言葉も、今の源氏の君の耳には届かなかった。
(な! なにあれなにあのコ!! 超どストライクなんですけどー!!)
源氏の君は人目もはばからず、垣根越しに童女の姿を窺う。
その息がはあはあと熱くなっているのは、気のせいではない。
「あー、もう。また捕まえにいくか…。雀」
(可愛い可愛いちょう可愛い!! あー、成長したらきっと絶世の美女になるぞアレ!! うわあ今から唾付けておきたいっつーか、今だからこそ!!)
今の、あの幼げで、無垢で愛らしい姿がたまらない! と。
そんな変態的思考に浮かされる源氏の君。
(どこのお姫さんだろあのコ。あの品、ただの娘には思えないな…。よし!!)
そして源氏の君は配下の者にこの家のことを調べさせ、あの童女が兵部卿宮の愛人の娘であることを突きとめる。
童女は正妻の悋気から逃れてこの北山で暮らしていたのだ。
そして源氏の君は、後見である祖母に童女・若紫を妻として引き取りたいと申し出たが。
「うせろロリコン」
と一蹴されてしまう。
が、源氏の君は諦めなかった。
ロリコン? いいえ、違います。
若紫に恋をしちゃったんです!! と開き直って。
やがて若紫の祖母が亡くなり、父である兵部卿宮に引き取られるという噂を聞いて。
源氏の君はまるで盗賊のように、若紫の屋敷に忍び込む。
突然現れた変…もとい、貴公子に、若紫は絶叫した。
「にゃーっ!! かえれ変態!!」
「若紫ちゃん(キリッ)、俺の北の方になってください!!」
「無理っ!」
「年のことなら、俺気にしないから!!」
「お前が気にしなくても、俺がいやにゃの!!」
「大丈夫。他の女とは全部手を切った。これからは君だけを、一途に愛します!!」
「いーやーにゃー!!」
どたんばたんと御簾の内での攻防戦。
やがて、このままではここで既成事実作られる! と思った若紫は……
「おっ、俺はホントは女じゃないのにゃ!! 男なのにゃ!!」
と叫んだ。
「え…?」
「ち、父上の北の方が怖い人で。北の方には男の子がいないから、俺が男だってばれたらなにされるかわからないって、女として育てられてただけにゃ!!」
本当は、誰にも言っちゃいけないって言われていたけれど。
このままじゃ、コイツに犯られる!!
「だから、お前の北の方なんて無…」
「なぁんだ、そんなこと!!」
「え?」
「大丈夫っ!! 俺は気にしないよ、若紫ちゃん!!」
気にしろよおおおおおおおおおおおおおおっ!! と。その日。
屋敷には、若紫の絶叫が響き渡ったという。
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